仏教は宇宙をどう見たか―アビダルマ仏教の科学的世界観 (DOJIN選書) (DOJIN選書 50)

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  • 化学同人
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  • Amazon.co.jp ・本 (234ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784759813500

作品紹介・あらすじ

仏教の思想を体系的にまとめた『アビダルマコーシャ』(倶舎論)。本書ではその前半部分で展開される「仏教的世界観の客観的叙述」を考察し、釈迦が考えたこの世界のあり方を読み解く。超越者の存在や奇跡などの超常的現象を考慮しない、原因と結果の関係で展開する機械論的宇宙。そこに示される物質、精神、エネルギー、時間、因果則などの概念とはいかなるものなのか。現代科学に通じるようで全く異なる世界観を提示し、仏教と科学の類似と相違を探った心躍る知的冒険の書。

感想・レビュー・書評

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  • 仏教哲学をまとめた『アビダルマコーシャ』(倶舎論)。
    仏教的世界観、因果律に基づく機械的宇宙論、物質、精神、エネルギー、時間などの概念とはいかなるものか。
    仏教が説く世界のあり方を読み解いていきます。
    仏教の世界観は、現代科学に通じる部分も多くあります。
    難解なアビダルマを、分かりやすく解説してくれています。
    が、やはり難解であることは確かです。

  • すごく分かりやすい、、すぎるかな、、でもなんか廣松渉の認識論やってるところが、亡霊のように、思い浮かぶのは、なぜかな、、

  • アビダルマ仏教の科学的世界観という副題が的確な本書の内容だ。仏教に基づく宇宙論ではない。しかし、仏教を理解する上で必須の知識となるアビダルマをここまでかみ砕いて分かりやすくした本もそうそうないだろう。参考文献も充実している。分類によって物の見え方、とらえ方が違うという点に、科学が全てではないという解放感をもたらしてくれた。

    ・倶舎論は世親作と言われているが、世親は自身の考えをそのまま書き表してはいない。
    ・分類は世界観の表出。同じものでも、ことなる世界観の人が分類すれば、異なる分類が生まれる。
    ・世俗的な善悪と、煩悩を消して輪廻をとめるための本当の善とは明確に区分されている。
    ・倶舎論では、「現在の法が実在しているのと同様に、未来の法も過去の法も実在している」と考える。
    ・生物を要素の集合体として見るのは仏教と科学に共通する生命観であり、だからこそ、両者が同じ問題に突き当たるのである。→生物と無生物の違いは何だ、という疑問
    ・倶舎論に限らず、インド文化の底流には、心を集中することで得られるパワーこそ、その活力源になるという確信がある。→心の集中力、自己制御力で人間の位階が定まる。

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著者プロフィール

1956年福井県生まれ。花園大学文学部仏教学科教授。京都大学工学部工業化学科および文学部哲学科仏教学専攻卒業。同大学大学院文学研究科博士課程満期退学。カリフォルニア大学バークレー校留学をへて現職。専門は仏教哲学、古代インド仏教学、仏教史。著書に『宗教の本性』(NHK出版新書、2021)、『「NHK100分de名著」ブックス ブッダ 真理のことば』(NHK出版、2012)、『科学するブッダ』(角川ソフィア文庫、2013)ほか多数。訳書に鈴木大拙著『大乗仏教概論』(岩波文庫、2016)などがある。

「2021年 『エッセンシャル仏教 教理・歴史・多様化』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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