池袋シネマ青春譜

著者 :
  • 柏書房
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本棚登録 : 53
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784760124961

作品紹介・あらすじ

大学四年。季節は冬から春。卒業まであと一ヶ月。立教大学に通う克己は、それでもあいかわらず映画と芝居と麻雀に明け暮れる日々だ。こんなんで愛する梨恵子と幸せな家庭は築けるのか?一応は悩みつつも深入りしていく克己…。声高に語られてこなかった時代の誰にでもあったかもしれない青春を叙情豊かに描く、ドキュメンタリー・タッチの新感覚小説。あの人、この人続々登場です。

感想・レビュー・書評

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  • 友人がすすめてくれなければ読まない本だった。読み始めると自分の同年代の青春がそこに広がっていた。新宿と池袋の違いはあるが見つめていたもの、空気がすべて同じだ。女の子への不器用な接し方、傷つけ方まで同じである。作者の森達也とは会いたくないと心から思ってしまった。読んで懐かしいというよりもその時代の苦しさが胸の中を駆けめぐった一冊だ。

  • 図書館で借りてきた本。

    森達也の自伝的な小説、と検索した図書館のこの本のページに書いてあったので「ふーん」と思って借りた。

    もちろん、これはフィクションだから、すべてが真実なわけじゃない、というか、最近のわたしはこの人の影響をすっかり受けて「自分が見たままを書いたからと言ってそれが真実とは限らない」なんて言いたくなってしまうのだが(笑)

    読みながら、何か違和感を感じた。この人の書く文章っぽくないからだ。今のこの人ならこういう形容の仕方をしないだろうとか、こういう書き方をするのは初めて読んだ、と思いながら読んでいたのだが「二十数年後のあとがき」を読んで納得した。

    この小説、著者の二十年前の日記やメモがベースになっているという。「その意味では所々に、饒舌すぎる描写や稚拙な記述があるけれど」と書いてある、なるほど。だから、こういう書き方なんだ。

    そういえば、森達也の一連の本を読んで、というか読みながら「この人って、本当にバリバリのヘテロなんだよな」って思うことがすごく多い。ま、それはそれで別に構わないんだけど(笑)

    この本の中に

    「女が男を好きになる気持ちがどうしてもわからない。男が女に惹かれる気持ちはわかる。柔らかいしいい匂いがするし毛も少ない。でも男は、硬いしいい匂いもしないし毛も多い。どう考えても肉体的に惹かれる理由が分からない。口の中に舌を入れたいと思う気持ちがわからない」

    と言う部分があるんだけど、わたしもこの気持ちはよく分かる(爆)わたしも女が男に惹かれてSEXしたいと思う気持ちは分からないから。しかしね、一方

    「クラスメートだった彼女の家に招待されて、『今日はお父さんとお母さん夕方まで帰ってこないのよ』と言われてそれだけで勃起して、彼女の部屋で互いに裸になってベッドに潜り込んだときに異変に気が付いた。でもそのときの理由は分かっている。レースのカーテン越しに昼下がりの陽光が差し込んでいて、裸になった彼女の女性器を初めてまじまじと見たからだ。一瞬ではあったけれど、これほど至近距離で凝視したことは初めてで、普段はどちらかと言えば物静かで清楚な彼女の外見からは想像も付かないその獰猛な形状に、すっかり度肝を抜かれてしまったからだ」

    という文章もある。結局、その後は女性器を「見慣れる」ことによって勃起不全は解消されたそうだが、「見慣れる」というところがゲイとノンケの違いなのかなーなんて思ったりした(笑)

    ただ、この本の中には「ゲイばれ」した劇団員の人の話なんかもあって、まあ、主人公はそのことについて気持ち悪がりもしないし「そういう人だっているだろう」と思ってるのは分かるんだけど、そういうところ以外はなんのためらいもなく「誰もがチンチンを女のあそこに入れたがる」なんて書いてあるんで、わたしとしては「うーん」って感じだ。そういうところにどうしても違和感を覚えてしまうのは、まぎれもなく「女のあそこにチンチンを入れたがらない男」を知ってるというのもあるし、わたし自身が「男のチンチンを入れさせたくない女」(想像するだけでゾッとする!(爆)だからだろうね。

    しかし2004年に発行された本らしいのだが、図書館でいつから存在するのかは分からないけど、誰も借りた人がいないんじゃないか、と思わせるほど本のしおりのヒモが全く使われていない状態で、外観もものすごくきれいな本だった。

    この本、売れたのかなぁ??

  • これは同じ世代を生きてきた人になら,絶対自分もそのままこの本の中に生きているような気分になります。
    何とかしたいけどどうしようもできない,そんなもどかしい時代の空気がこの本の中には流れています。

  • 2010/3/23購入

  • 筆者の立教大での学生時代を元に書いた小説。現在の邦画を支える有名人が実名でたくさんでてきて、映画好きにはたまらない。それだけじゃなくて、就職か夢を追いかけるかで悩む主人公達にとても共感。青春小説として、とてもおもしろかったです。

  • ドキュメンタリー映画の監督としてはとても馴染み深い森達也さん。本は初めて読みました。彼の自伝的なフィクション。…けどいまいち面白くない。コレといって魅力的な要素(表現、言葉、事件)がなく平坦。森さん自身のことは好きなんだけどなぁ

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著者プロフィール

森 達也(もり・たつや)
1956年、広島県呉市生まれ。映画監督、作家。テレビ番組制作会社を経て独立。98年、オウム真理教を描いたドキュメンタリー映画『A』を公開。2001年、続編『A2』が山形国際ドキュメンタリー映画祭で特別賞・市民賞を受賞。佐村河内守のゴーストライター問題を追った16年の映画『FAKE』、東京新聞の記者・望月衣塑子を密着取材した19年の映画『i-新聞記者ドキュメント-』が話題に。10年に刊行した『A3』で講談社ノンフィクション賞。著書に、『放送禁止歌』(光文社知恵の森文庫)、『「A」マスコミが報道しなかったオウムの素顔』『職業欄はエスパー』(角川文庫)、『A2』(現代書館)、『ご臨終メディア』(集英社)、『死刑』(朝日出版社)、『東京スタンピード』(毎日新聞社)、『マジョガリガリ』(エフエム東京)、『神さまってなに?』(河出書房新社)、『虐殺のスイッチ』(出版芸術社)、『フェイクニュースがあふれる世界に生きる君たちへ』(ミツイパブリッシング)、『U 相模原に現れた世界の憂鬱な断面』(講談社現代新書)、『千代田区一番一号のラビリンス』(現代書館)、『増補版 悪役レスラーは笑う』(岩波現代文庫)など多数。

「2023年 『あの公園のベンチには、なぜ仕切りがあるのか?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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