図書館のプロが教える〈調べるコツ〉: 誰でも使えるレファレンス・サービス事例集

  • 柏書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784760129904

作品紹介・あらすじ

現場が生んだ、汎用性の高い事例37点を収録。

感想・レビュー・書評

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  • レファンレスサービスの事例集で、舞台は架空の図書館。
    図書館員さんたちの学習会から生まれたそうで、読みやすく工夫が凝らされイラストも多くて読んでいて楽しい。

    「そんなこと聞いてもいいの?」
    「図書館で調べるって、どうやるの?」という方。本書の中にヒントがあるかも。
    例えばどんな事例かと言うと・・
    「干支を英語で説明したい」
    「トイレットぺーパーの幅はどうやって決められたの?」
    「昭和二十三年に使われていた小学校の国語教科書の冒頭は」
    「身近なもので線香花火を作る方法は?」
    「ミロのヴィーナスの復元図が見たい」
    「世界のエコマークの概要を知りたい」
    「第二次世界大戦時に神奈川県内にあった外国人収容所は?」
    等々。まだまだたくさんのヴァリエーションが掲載されている。

    これらの質問や相談に、どのように調査して答えにたどり着いたかが分かる。
    ネットで安易に答えを検索せず、まず蔵書からプラスネット検索で確認。
    いくつもの資料にあたる道のりは一見遠回りに見えても、どれも重要なキーワードとして生き残っていき、次なる段階へとステップをあげていく。
    こんなにたくさんの分類が司書さんの頭には入っているのかと、もう惚れ惚れとする。

    事典の種類を知るだけでも読む意味がある。
    絵本や児童書も、調べもののツールとして優秀なのよ、皆さん。
    でも全部を頭に入れるのは難易度が高すぎるから、まずはカウンターで聞いてみること。
    大丈夫、こちらの曖昧な質問にもちゃんと答えてくれるから。
    私はそれでどれほどお世話になったか数えきれない。
    あまりにも身近で気がつかないけど、分からないものを分かるまで調べてくれるところ。
    しかも無償で。プロの司書さんたちに感謝です。
    皆さんも読んでみてね。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      nejidonさん
      んー、単に当たった方が災難なだけだったような気がします。

      最近、業務委託されて、親切だけど質が落ちてるような、、そんな...
      nejidonさん
      んー、単に当たった方が災難なだけだったような気がします。

      最近、業務委託されて、親切だけど質が落ちてるような、、そんな失礼なコト言っちゃ駄目か、、、
      2020/10/04
    • kuma0504さん
      あゝお陰で思い出しました。第一次安倍内閣の施政方針演説で、出典を明らかにせずに福沢諭吉の言葉を引用していたのですが、それがどうしても分からず...
      あゝお陰で思い出しました。第一次安倍内閣の施政方針演説で、出典を明らかにせずに福沢諭吉の言葉を引用していたのですが、それがどうしても分からずに図書館を煩わせました。約二時間ぐらい探してくれて、ついに分らず、のちにメールが来たのです。

      こちらは岡山県立図書館でございます。
      いつも当館をご利用いただき、ありがとうございます。
      先日のお問い合わせについて、ご回答申し上げます。

      安倍総理の施政方針演説における福沢諭吉の言葉、
      「出来難き事を好んで之を勤るの心」の引用の出典は以下のとおりです。

      『福沢諭吉全集 第10巻』(岩波書店,1960)のp555の1-2行目
      演題は「成学即身実業の説、学生諸氏に告ぐ」です。

      冒頭に「左の一篇は去る十三日東京芝区三田二丁目慶應義塾邸内に
      於て、福沢先生が同塾学生に向て演説の筆記なり」とあります。

      なお、県立図書館に所蔵がないため、未確認ではありますが、
      岩波文庫の『福沢諭吉教育論集』にも上記論題の掲載があるようです。
      (こちらは倉敷市立中央図書館には所蔵があります。)

      どうぞご確認くださいませ


      この引用は、士族の心構えを称賛するために使われたのですが、その文書を実際読むと、最後の結論は、実はそういう伝統的な学問を否定して「実学」を奨励したものだったのです。そのせいか、マスコミは小泉首相の時のように、この元本を一切報道せずに、よって「米百姓」のように元本が売れることもなかったのです。わたしはブログで明らかにしましたが、世の中に全く影響のないブログなので、このことを知っている人はほとんどいないとおもいます。

      ともかく、図書館の人にはお世話になりました。
      2020/10/05
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      kuma0504さん
      レファ協に載ってました!
      「2007年1月26日に安倍晋三総理大臣による施政方針演説があったが、その結びで「出来難...
      kuma0504さん
      レファ協に載ってました!
      「2007年1月26日に安倍晋三総理大臣による施政方針演説があったが、その結びで「出来難き事を好んで之を勤るの心」という福沢諭吉の言葉を引用している。その出典について知りたい。」
      https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000033507
      2020/10/05
  • 国立国会図書館のHPやツイッターで「レファレンス事項詳細」を出していて、質問者の問い合わせについて、図書館司書さんがどのようなプロセスを辿りどのような回答をしたかが公開されています。
    https://crd.ndl.go.jp/reference/
    必要な情報の出し方を知っている人、自分は知らなくても知っている人を知っている人って格好いいよなーー。
    たまに自分でも「国立国会図書館サーチ」をいじってみますがなかなかうまく行かない。
    児童書だとあらすじ検索もできるのですがどうも難しいですね。
    https://ndlonline.ndl.go.jp/#!/

    そこでこちらの「図書館のプロが教える<調べるコツ>」ですが、では実際に司書さんたちはどのように調べているのか?というやり方やコツを物語形式で紹介しています。舞台は神奈川県の架空の市立図書館で、勤務年次も得意分野も違う図書館司書さんたちが、市民のみなさんからくるお調べ物の依頼を調査します。執筆したメンバーである神奈川の図書館員さんたちは、自主的に「かながわレファレンス探検隊」の勉強会を実施しているということです。
    「干支を英語で説明したい」
    「小説に、小説の名前が書いてあったので、読んでみたい」
    「ミロのヴィーナスの復元図が見たい」
    「無筋基礎の災害について知りたい」
    などなど、小説、美術、法律、国際、歴史、専門分野の資料、郷土のことなど、様々な分野の依頼が来ます。
    ❐まずは、質問内容を的確に理解すること。求められている情報が何で、どの程度の事柄をどんな形でいつまでに必要か。
     「りんごについて」りんごという品種について知りたい?料理方法がしりたい?生産地が知りたい?歴史が知りたい?など、何が知りたいのか。
     好奇心でちょっとわかればいいのか?仕事や試験のためなので徹底的な資料が必要?
    ❐質問者が来たら、最初の段階で情報をなるべく詳しく聞き出す。「テレビで紹介されていた本を知りたい」だったら、「いつ見たか、どんな表紙だったか」など。
    ❐初動捜査
     1.OPAC(図書館蔵書検索システム。自分のパソコンやスマホからもアクセス可能)の蔵書検索で質問内容に総所蔵資料を探す。
     2.該当する資料が見つかると思われる書架にゆく。
     3.百科事典など参考図書で基本的な事柄を確認する。
     4.インターネット検索で手がかりを探す。
    ❐検索キーワードは色々変えよう。
    ❐一つの質問から、どこに出ているかの可能性を考えて、一つ一つ確認してゆく。
    ❐図書館員は体力・気力。知力は後からついてくる!
    ❐調べる言葉の正確な用語を確認しよう。
    ❐雑誌、児童書の登場人物、和歌などには「目録」があるので、まずは目録を確認する。
    ❐科学の調べ物など、子供の本に回答が出ていることもあるので、大人の本だけでなく子供の本も調べてみる。
    ❐表記のパターンを変える。
    ❐各種専門データベースや、雑誌や児童文学など専門の目録を見る。
    ❐国立国会図書館や国際子ども図書館の検索サービスが出ていたのでメモメモ。
    ❐国立国会図書館にしかない蔵書や資料は、提携している図書館に取り寄せて閲覧することもできる。
    ※今はデジタル資料サービスもありますね。
    https://dl.ndl.go.jp/ja/soshin_librarylist.html


    出版年が2006年なので「せっかくインターネットというものがあるのだから使ってみよう」と言っているけれど、いまだったらむしろインターネット検索で済ませてしまいそうですね。
    まあ図書館で調べると「うちの館にはありませんが、県立図書館、大学図書館、国立国会図書館にはあります」としか言いようがない場合もありますが、やっぱり知っている人を知っている、というもの大事な情報ですよね。(国立国会図書館には全部あるから、資料の提供までできる。やっぱり格好いい。)
    自分でも図書館の資料検索ページや、国立国会図書館サーチページでお試しにやってみたけどやっぱりうまく行かない。
    国立国会図書館のHPもうまく使えるようになりたいな−と思います。

  • 資料紹介~『図書館のプロが教える<調べるコツ>‐誰でも使えるレファレンス・サービス事例集‐』(31-3) | BIRD
    https://bird.bukkyo-u.ac.jp/news/%E6%9C%AA%E5%88%86%E9%A1%9E/%E8%B3%87%E6%96%99%E7%B4%B9%E4%BB%8B%EF%BD%9E%E3%80%8E%E5%9B%B3%E6%9B%B8%E9%A4%A8%E3%81%AE%E3%83%97%E3%83%AD%E3%81%8C%E6%95%99%E3%81%88%E3%82%8B%EF%BC%9C%E8%AA%BF%E3%81%B9%E3%82%8B%E3%82%B3%E3%83%84e/

    「かながわレファレンス探検隊」と「インターネットで調べ隊」 - Copy&Copyright Diary
    http://shiraist.hatenablog.com/entry/20060910/p1

    図書館のプロが教える〈調べるコツ〉(専門書/単行本/総記/) 柏書房株式会社
    http://www.kashiwashobo.co.jp/book/b228415.html

  • 学生時代に拾い読みをしていたのですが、そのときおもしろかったので、今回は通読してみました。

    現役図書館員の学習会から生まれた本書。
    実際のレファレンス事例をもとに、探索プロセスをショートストーリー形式にまとめてあります。
    なので、「レファレンスってなーに?」という人でも気軽に読めるのが魅力です。
    一般の方向けに調べるためのコツやポイントを解説しているのですが、図書館ではこんな調べものもできるのだというPRにもなっていると思います。

    学生時代のレファレンス演習課題で苦戦した「宮部みゆきさんの小説に出てくる『うそつきらっぱ』という本を読みたい」というレファレンスも掲載されており、懐かしくなりましたw

  • レファレンスとは、本の探偵でありまして、
    司書としての経験と興味関心とひらめきが必要なのであります。
    そういうものなのヨ、こうして調べているのヨと、
    一般人にその職務の一端を知らしめる内容なのではありますが、
    “調査の流れ”は司書としても参考になりますし、
    “格言”はもう、うなずく言葉がたっぷり。
    肝に銘じます♪

  • 図書館で調べ物。

    「それは小難しいことを調べるのでは?」
    「特別な人がすることでは?」
    「手伝ってくれる人もいないのに…?」

    という思い込みを、あっさりぶっ飛ばしてくれる、図書館での調べ物の事例集であります。これから図書館を使う、全ての人に読んで欲しい。図書館では無償で、私たちが調べたい、知りたいと思うことを調べるお手伝いをしてくれます。

    もちろんそれは、「この本ありますか?」から、「昔好きだった歌手の好物を紹介したものがあれば、何だったか知りたいんですが。」なんていうものまでOKで…。

    「知らないままにしておかないで、これが分かっていればもっと面白かったのに」「この時にこのことを知っていたらもっと助かっただろうに…」
    という、情報や知識を持たなかったことから起きる
    不利益から、私たちを助けてくれる強い味方が図書館であって、調べ物の腕を自分が上げれば、司書の方に頼らずとも自分にぴったりの情報に巡り合うことができます。

    もうちょっと深く知りたいな…とか思ったら、それはもちろん「ここまで調べてあるんですが、もう少しディープな、専門的な資料ありませんか?」とか「もっと他にもないですか?」ってカウンターで言えば、きっと力になってくれるでしょうし。

    オナカを抱えて笑いながら、図書館の達人になれる本でした。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「ってカウンターで言えば」
      うーーん、素晴しい!
      私は殆どメールで問い合わせてます、恥かしがりなので、カウンターで何て、、、出来ません。。。
      「ってカウンターで言えば」
      うーーん、素晴しい!
      私は殆どメールで問い合わせてます、恥かしがりなので、カウンターで何て、、、出来ません。。。
      2013/02/18
    • 瑠璃花@紫苑さん
      >nyancomaru様

      いつもコメントありがとうございます。
      とっても嬉しいです。

      そうですよね。恥ずかしいですよね。
      解ります。私も...
      >nyancomaru様

      いつもコメントありがとうございます。
      とっても嬉しいです。

      そうですよね。恥ずかしいですよね。
      解ります。私もそうでした。

      でも、元公立図書館員として申し上げるなら
      もっと気楽に使って頂いて大丈夫。

      図書館員も人間ですから、照れたり
      ドキドキしたりします。

      「うまくお応えしたい!お力になれたらいいな
      ドキドキ…(*^_^*)」

      と思っています。

      ライブラリアンの願いはひとつ。
      いい資料に巡り合って頂きたい!
      という事なので

      「そんなのも知らないの?」

      なんて思われたりはしません。
      逆に自分の知らないフィールドのことを
      求めていらっしゃったら、こちらが尊敬する
      ことはよくありますが^^

      とはいえメールのレファレンスだと
      問い合わせる側が持っている情報や
      求めている内容を正確に伝えることが
      できるので、いいですよね。
      それに遠くまで行かなくていいし^^

      一人の図書館を愛する者として
      どんな方にとっても
      親しみのある、新しい世界や興味への扉で
      あってほしいし、頼れる情報源であって欲しい。

      私自身もその扉を、いつもワクワクして
      開ける人でいたいです。
      2013/02/19
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「いい資料に巡り合って頂きたい!」
      それは判ります!
      時折覗いている「レファレンス協同データベース」での回答の丁寧さに、感動するコトがありま...
      「いい資料に巡り合って頂きたい!」
      それは判ります!
      時折覗いている「レファレンス協同データベース」での回答の丁寧さに、感動するコトがあります。流石だなぁ~って
      「遠くまで行かなくていいし^^」
      はい、知りたいコトの関係地域の図書館にお尋ねしています。行ったコトのない遠方からの回答メールには、いつもワクワクします。
      「開ける人でいたいです。」
      そうですね、図書館も使われてナンボですから、我が家から一番近いと言ってもよい図書館は、某市長の効率化対策から無くなろうとしていて悲しい限りです、、、
      2013/04/01
  • 図書館で調べ物って何するの?という人にも、図書館で働く人にもおすすめです。
    図書館で実際に聞かれた質問に、どう答えていくか、という調べ物の過程が書かれています。図書館で作っている調べ方の案内は、「この質問の答えはここに載ってます」という回答部分のみの場合が多いけれど、この本は「最初は○を調べたけれどなくて、×を深く調べたらあった」というような、回答のプロセスが読み物風に書かれていて、推理小説の謎解きのようで面白いです。
    ベテラン司書さんの場合、「質問を聞いてすぐこちらを当たればいいと思った」と超能力の様な洞察力を発揮する方も多く、司書さんの頭の中を覗けるという意味で稀有な本でもあります。

  • 日常の「?」を図書館で調べる!

    レファレンスを勉強したい図書館の司書さんとか司書課程履修者向けなのかもしれないけれど、一般の図書館ユーザーも読めば、かなり面白いと思う。ただ、事例として紹介されている疑問に「そういえばどうして?」と思うのも面白いし、「え、そんな本があるの?」「そんなことが書いてあるの?」と発見するのも面白いはず。世の中ググるだけが、疑問の解決方法じゃないんですよ、という面白み。

    実際に使ってみようと思うレファレンスブックもたくさん紹介されている。
    『世界大百科事典』は、項目が多い(p. 73)、『國史大辞典』は図版も多く、国史関係を幅広く扱っている(p. 77)、日本語に関することなら『日本国語大辞典』(p. 82)、『暦日大鑑』は1873年1月1日以降の西暦と元号の他六曜が対照表になっている(p. 98)、国際子ども図書館HPには〈外国語に翻訳刊行された日本の児童書〉データベースがある(p. 123)、『日本大百科全書』(小学館)は、写真や図版が豊富(p. 160)、『理科年表』は科学全分野を網羅しているデータブック(p. 167)、国文学関係の論文は〈国文学論文目録データベース〉(p.210)、明治以前のことを調べるなら『古事類苑』(吉川弘文館)や『和漢三才図会』(p. 266)など。

  • わからないことは調べたい人向け。
    いろんな検索方法があるってことがわかった。
    いろんな疑問を抱く人がいるってことも・・

  • 大型書店の図書館情報学の棚に、この本がよく並んでいる。
    調べものがうまくなりたいなぁと思って、図書館で借りた。

    神奈川の図書館員の自主的な学習の有志である、かながわレファレンス探検隊による、「楽しく読みやすく自然に図書館での調査のコツを身につけ」られる本。

    おもしろかったし、役に立ちそう。
    私がよく行く図書館は、分館で蔵書も使えるデータベースも少ないから、調べものには不向きだと思っている。
    けれど、そこにある資料とインターネットを使って、芋づる式に、わらしべ長者的に、調べものはできる!という気にさせてくれる。
    数ページで読める事例が多く収録されていて、色々なことを知りたい人がいて、実際にそれを調べる方法があるんだなぁ、と感心してしまった。
    改暦に注意を要することや、国際こども図書館のデータベースや「ものと人間の文化史」シリーズが便利なことなど、初めて知った。
    これまで手に取らなかった資料も、中身を確認してみよう!
    ・司書も歩けば資料にあたる
    ・三点指示
    ・完璧なデータベースなどないと心得よ
    ・司書よ、好奇心を抱け!
    ・奇書おくべし
    ・見ぬ本は使えぬ

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