- Amazon.co.jp ・本 (366ページ)
- / ISBN・EAN: 9784760139620
作品紹介・あらすじ
イルカ殺しはかわいそう、でも、焼肉もマグロ丼も大好き。この矛盾、いったいどうしたらいい?人間のある重要な側面についての、魅力的で、思慮に富む、痛快な探求の書。
感想・レビュー・書評
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訳が良いのか軽妙でテンポが良く読みやすかった。
人間と動物の関係はこの本一冊で大体は網羅できるのでは?
なぜ人間だけがペットを愛するのだろう?
章のタイトルも良い。
動物実験から食用、ペット、闘鶏、菜食主義…
菜食主義は10代女性に多く摂食障害の話も腑に落ちるところがあり読んで良かったと思った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
イルカ殺しはかわいそう、でも、焼肉もマグロ丼も大好き。この矛盾、いったいどうしたらいい?この疑問にありとあらゆる角度で迫ったのが本書であるといえます。第6章と7章は個人的に非常に参考になりました。
この本は先日書店で見かけたのと、新聞でも書評がいくつか掲載されていたので、手にとって読んでみました。自分もまぁ、肉を食べることに関しては、まったく嫌いじゃないんで、しかし、最近は控えていますね。それはさておき、めちゃくちゃこの本は分厚いんですけれど、人と動物についてのかかわり方に関して、一石を投じるものであることは間違いがないようです。
ペットを愛でつつ、肉を食べる。諸所の矛盾を巡って、この本がいったいどのような回答をしているのか?それは本書を読んでいただくとして、はっきりいって、前半はあまり面白くないです。しかし、第六章『見る人しだい―闘鶏とマクドナルドのセットメニューはどっちが残酷?』と第七章。『美味しい、危険、グロい、死んでる―人間と肉の関係』この2章に関しては僕が本当に読みたかったことが書いてあって、僕個人の感想はここだけ読めば後ははっきり言ってどうでもいいです。
その中でも、肉は美味しいがリスクの高い食べ物で、そのリスクを減らすために調理法が工夫されていたり、さまざまなスパイスを施されて来たんだという記述にはやっぱりそうか、なるほどなぁ、と思ってしまいました。
「自分の体も肉で出来ている」
この言葉の意味を本当に理解するには、まだ少し時間がかかりそうですが、肉食と人間。人間とペットとの関係。そういったものについて何らかの疑問を盛っていらっしゃる方は読んでみるのもいいかもしれませんが、正直、量が分厚いのと、価格の関係上、中身を書店か何かで一度検討することをお勧めします。 -
今の家畜動物が置かれてる環境や、過保護ペットは明らかに「行き過ぎ」ていて、多分それは資本主義のせい
一方で菜食主義やアニマル・ライツの「行き過ぎ」感にも言及されてて面白い
もうこの世は「ほどほど」には戻れないのかもね
面白かったけど「いのちへの礼儀/生田武志」のほうが良かったかな -
3.9/411
『捕鯨にイルカ猟、熊との共生、捨て犬・捨て猫、外来種の持ち込み……人間と動物の関係はいま大きな問題になっている。米国の気鋭の動物心理学者が、最新の研究成果から、人間の動物に対する誤解の数々を指摘する。山形浩生訳。』(「柏書房」サイトより)
原書名:『Some We Love, Some We Hate, Some We Eat : Why It's So Hard to Think Straight about Animals 』
著者:ハロルド・ハーツォグ (Harold A. Herzog Jr. )
訳者:山形 浩生, 守岡 桜, 森本 正史
出版社 : 柏書房
単行本 : 366ページ
発売日 : 2011/6/1
目次
はじめに なぜ動物についてまともに考えるのはむずかしいんだろう?
第一章 人間と動物の相互関係をめぐる新しい科学
第二章 かわいいのが大事 人間のようには考えてくれない動物についての、人間の考え
第三章 なぜ人間は(そしてなぜ人間だけが)ペットを愛するんだろう?
第四章 友だち、敵、ファッションアイテム? 人と犬のいろんな関係
第五章 「高校一の美女、初のシカを仕留める!」 動物との関係と性差
第六章 見る人しだい 闘鶏とマクドナルドのセットメニューはどっちが残酷?
第七章 美味しい、危険、グロい、死んでる 人間と肉の関係
第八章 ネズミの道徳的地位 動物実験の現場から
第九章 ソファにはネコ、皿には牛 人はみんな偽善者?
訳者解説(山形浩生) -
動物倫理学、人類動物学の第一人者といわれるハラルド・ハーツォグの本。小難しそう、かつ、気が滅入りそうなテーマだが、小気味良く論が展開されるので読みやすかった。山形浩生さんら翻訳陣のおかげでもあると思う。
極端なアニマル・ライツの動きを牽制しつつ、人間の心理の奥底まで洞察している。人間は常に矛盾した考えをもっている偽善者でもあることを自覚しながら、動物と接することで次のステップにいるのではないか。読んでいて心揺さぶられるのを感じた。
「肉食の終わり」(ジェイシー・リース)と併読すると、肉食や動物との関係を縦横の軸でとらえられると思う。 -
さまざまな事例を挙げて動物倫理について論じている。
すごくわかりやすかった。
結局、結論は出ない、難しい問題だが、問題提起として十分学ぶことができた。 -
タイトル通りの本。翻訳ものにしては非常に読みやすかった。訳に当たって一部、文化的に理解しづらい箇所は著者の許可を得て削除するなどの工夫をしたらしい。
著者は心理学者。「ソファにネコ、皿に牛」といった表現や「人間の難病を解決するために何百万匹もの動物で実験がされる」など、人間が動物に抱く感情と行動の矛盾の数々を例に挙げる。
個人や文化による価値観の違い、と一言で片付けられない、複雑な人間の感情がある。太古の昔から人間も他の動物の肉を食べて生き続けたわけで、「動物の肉を美味しいと感じる」DNAは刻み込まれている。
人によって様々な動物に対する様々な感情がある。そして「それでも肉を食う」と結論づけるしかない、というテーマだ。 -
人類動物学という、人間が動物について考える態度を通じて人間の心理について考えるテーマの本。人間がいかに矛盾した道徳観を抱えているか指摘しつつも、それらを糾弾するのでなく最終的に肯定している。物事を考える上で様々な示唆に富んでいる。
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とても考えさせられたし、肉を食べること、というよりは人間と動物の関係について、多方面からの考察で良く書かれていた。
著者は、人間と動物とのかかわり方に矛盾を感じており、ベジタリアンやビーガンの人、獣医、動物愛護運動家、医療関係の研究者たち、闘鶏家たちの考え方を紹介している。
例えば、ペットとして猫を飼う一方で、実験動物として何百万匹のハツカネズミが毎年使われている。ハツカネズミは良くて、サルを使うのは間違っているのか。牛を殺して食べることは倫理的に許されるのか。娯楽で狩猟をする人が動物愛護団体にさほど非難されないのはなぜか。数人の難病の患者を救うために100万匹のネズミを使った実験は許されるべきか。世の中にはいろいろな研究をしている人がいるものだ、と感心してしまった。
私は肉を食べるが、欧米で暮らしていると、周りにベジタリアンが多い。統計通り、10人に一人くらいか。正直なところ、どうしても彼らに偽善的な違和感を持ってしまう。肉を食べるというのは、道徳的な矛盾は避けられず、それを受け入れるかどうかなのだ。
本文とは関係ないが、表裏表紙の、ムツゴロウさんの描いた絵がなかなか良い。 -
原題は、"Some We Love, Some We Hate, Some We Eat" 図書館で借りて読んでいたのですが、なかなか面白いので途中で購入しました。(絶版なので、古書を購入)
食肉、ペット、実験動物など。動物と人との関係について考えるために多くの材料を与えてくれる本であると思います。