戦国の貧乏天皇

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著者 : 渡邊大門
  • 柏書房 (2012年10月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784760141531

戦国の貧乏天皇の感想・レビュー・書評

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  • 数々の天皇研究の中でも忘れられた様に取り上げられない事が多い戦国時代における天皇の暮らしぶりを研究した本著。

    葬儀があげられない。践祚されても即位の儀があげられない。年中行事も満足にあげられない…など確かに歴代の天皇家から見れば貧乏なんだろうけれど、「パンが無ければケーキを食べれば」レベルの貧乏に思えてしまう。
    その貧乏の原因は何かというと即ち幕府や戦国大名から信望を得ていないということい尽きるように思えるのだが、それでも武家は天皇から冠位を授けられる様に必至なのがまた不思議。

  • 室町~戦国時代の天皇はどう乱世を生きてきたのか。
    幕府、公家、守護、国司・・・戦乱と混乱の中、即位の式を行うまで何年も、
    また、葬儀を行うまで何日もかかるという、事態!
    お金が無い!・・・税も領のあがりも集まらない。
    横取りされる、戦乱での遅収、凶作、地震・・・。
    多くの史料で検証された、大変な時代に生きた天皇の苦難の道のりです。

  •  実権を失ったにも関わらず、よくも天皇家は生き残ったものである。異国では支配者が変われば王族は皆殺しで断絶という例もあるだろう。なぜ日本の天皇家は鎌倉以後八百年も生き延びることができたのだろうか。

     公家政治の平安時代が終焉を迎え、武家政治を開いた鎌倉幕府を経て室町幕府、そして戦国時代に至って天皇家は不遇の一途を辿る。表題の通り貧しく、壊れた内裏も直せず、即位式を行えないので譲位もできない、葬式もなかなかあげられない。
     それでも天皇家の威光というものは存在し、それを利用しようとする武家と丁々発止の化かし合いを繰り広げ、また隙あらば保身に走る公家達を取りまとめ、したたかに生き延びたのが戦国の貧乏天皇である。

     明治以前では最後に表舞台に立ったの天皇が後醍醐天皇で、鎌倉幕府を滅ぼすもわずか3年で破綻、政権は室町幕府に引き継がれる。それでも「天皇」という存在は残された。雑な推論だが日本式の「神輿を担ぐ」という習慣がそこにあるのかもしれない。本当の権力者は表に立たない。やっかみを集めるからである。誰からも文句のつけられない存在、それでいて実権は持たない、そういう存在が日本には必要とされていたのだろう。

     天皇や公家は貧しいながらも学業を尊び、窮乏の中でも前例を極力崩そうとはしなかった。その姿勢は滑稽でもあり、一方で日本の貴重な古来文化(源氏物語などの創作、あるいは日記文学など)を現在に残すことに貢献した。彼らの必死な生き様が私達の文化の背景にあるのだと思うと、滑稽と笑ってばかりもいられない、感謝の念が絶えないのである。

  • 中世の天皇研究は最近まで進んでいなくて、多くの事績が語られていない・研究がなされていない天皇の生々しいエピソードがこれからの時代に取り上げられていく

  • 天皇が表に出てくるとき、日本の歴史はきな臭くなるとは高校時代の日本史の教師から聞いた話。
    ふとそれを思い出した+図書館の新刊コーナーでこの本を見つけたので読んでみた。
    基本的には学術書だと思うが…。
    学術書としては時系列で論じたいのか、トピックスで論じたいのかがいまいち判然とせず、事象があっち行ったりこっち行ったりする感じは否めなかったかな。
    ただ、歴史的なトピックスについては盛りだくさんなのでそれは楽しめた!

  • 実際的な権力がなくても、なぜ天皇という存在は続いてきたのか。戦国時代の天皇の様子を読んでみても、やっぱり解らなかった。
    意識していなくても、私たちの中には、天皇を頂点とする秩序が揺るぎないものとして刷り込まれているのかもしれない。それをひっくり返すのは、本当におおごとなのだろう。それがひっくり返された国と、そうならなかった日本と。違いは何なんだろう。

  • 「この間の戦争というのは応仁の乱」と長い歴史を自慢する京都人を表す意味で良く使われるフレーズであるが、その先の戦争の最中に天皇の地位にあった後土御門天皇(103代、1464-1500)、後柏原天皇(104代、1500-1526)、後奈良天皇(105代、1526-1557)の3人の苦しい台所事情を解きほぐすのが本書である。とにかくどのページを開いても驚くべき事実の羅列であり、一気読みをしてしまった。

    武士が権力を握るものの必ずしもその基盤は盤石では無く、即ち徴税権は確立しておらず、かと言って天皇制も武士権力の後ろ盾ではあるものの財政的な裏付けに欠けるという、世を挙げて混乱していた時代と言える。

    この混乱の時代において即位する天皇の悲哀と言えば、まずは即位式を執り行う費用の捻出が出来ない、大事な皇位継承の儀式である大嘗祭もできない、世の中の平安を祈るための改元も思うに任せられない、そして存命中にスムーズに皇位継承しようとすると希望するも即位式の費用が無いからと辞意も留められ、揚句の果てには大葬の礼すら費用が調達できず死後1カ月以上も延期されるに至ってはまさに窮乏のもたらす悲哀としか言いようが無い。

    祭祀を出来る限り簡素化して費用を最小化していたようではあるものの、そこで大きな障害となるのは先例主義である。天皇の祭祀・儀式はその形式が一体何時頃完成していたのかは本書では明らかにしては居ないが、先例主義がはびこって居たのは間違い無い。

    まさに笑い話でしかないが、応仁の乱で戦火が迫って来たために後花園上皇(後土御門の父)と後土御門天皇は、難を避けるために、御所を離れて室町邸へと移ろうとした。危急の事態に際して、本来の御輿ではなくて乗物(恐らく牛車か?)を使おうとしたところ、「稀代の例」ではないかと問題視されたそうだ。調査の結果、嘉吉の乱で先例が確認されたため、無事に乗物で避難することができたというが、もしも間に合わなければどうしていたのであろうか?

    日本の官僚の先例主義については良く批判の対象になるが、今から500年も前の戦争に際してでさえ、公家を中心としてこれだけ先例主義がハバを利かせていたのだからまさに筋金入りと言えるし、日本の伝統・文化は一朝一夕では変わらないはずだ。

  • 戦国時代の天皇に焦点をあてたものは、これまで読んだことがなかったので、興味深かった。

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戦国の貧乏天皇の作品紹介

43日間も遺骸が放置された天皇がいた。21年間も即位式をしてもらえない天皇がいた。足利将軍家は頼りにならず、公家たちは地方へ逃げ出した…。戦国時代の天皇研究。

戦国の貧乏天皇はこんな本です

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