融合するネットワーク

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著者 : 谷脇康彦
  • かんき出版 (2005年9月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (287ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784761262792

融合するネットワークの感想・レビュー・書評

  • ワシントンDCでは毎年年末に、情報通信関係の弁護士(ロビイスト)を集めた忘年会がホテルで開催される。出席者は1000人を超える。
     これだけの数のロビイストが、ラッシュ時のJR山手線のような騒然とした人いきれのなかで、ビジネスの相手やら旧友やら、されには見知らぬ人たちと名刺交換をしながらディナーをとる様は圧巻である。
     そのエネルギーは巨大であり、彼らが情報通信の分野で日々、知恵を絞り、すこしでも自分のクライアントに有利な議論を展開しようとしていることに驚く。そこで交わされる議論にじかに接していると、彼らがじつに雄弁で、深く論じ合っていることに、一再ならず感銘を受けた。
     2002年6月から3年間、私はワシントンDCの日本大使館で主として情報通信政策を担当した。赴任前も、日本の情報通信政策、とりわけ通信分野の競争政策に携わってきたので、そのころからアメリカの通信政策についてもフォローしてきているつもりでいた。
     しかし、私がワシントンDCでまず感じたのは、、その情報量の多さだった。日々の動きは、じつに多種多様なニューズレターで流れてくる。休むことなく大量に発表される連邦通信委員会ほか連邦政府機関やシンクタンクのレポート、コンファレンスや議会の公聴会、裁判所の判決などをひたすら追っていると、アメリカの政策の分からない部分が解決されるどころか、ますます大きくなった。
     そこで、アメリカのIT政策を追いかけるための視点が必要だと感じた。本書では、ブロードバンド政策を切り口として、錯綜するさまざまな議論を整理してみようと試みた。その試みが成功しているかどうかは読者の判断に委ねたいが、いずれにせよ、本書の目的は「分析の視点」を提示することにあった。いささかなりとも、その目的が達成されたのであれば、これにまさる喜びはない。
     日本のメディアで報道されるアメリカのIT政策関連のニュースは、そのときどきの、まちがいなく重要な問題が取り上げられている。しかし、その背景やニュアンスが理解できないと、なぜそういう議論が行われているのかというところまで理解することは難しい。
     本書では、議論の対象となっているそれぞれの問題について、たとえば法律のどの部分の解釈でもめているのか、その解釈の方向性が利害関係者にどのような影響をもたらすのか、決意したはずの議論が再度、一からはじめられたりする事情などを可能なかぎり時系列で追って、議論の流れがわかるように解説することを心がけた。

  • 2002年から3年間、米国ワシントンDCの日本大使館で勤務した。その際、感じたのは、米国のブロードバンド政策について概観できる本がなかなか無いということだった。そこで、通信政策の専門家の目で見た米国のブロードバンド政策全般について整理・紹介したのが本著です。内容的に難しいというご批判などもありましたが、資料としての価値はあるのではないかと自負しています。

  • 2008年7月に新設された総務省情報通信国際戦略局の情報通信政策課長の谷脇氏が2005年に出版した本。主に1996年の米国電気通信法施行以降の米国の通信市場の動向について、ワシントンDCのその場に身を置いたものとして解説しています。

    3年前の時点での解説なのでやや古い部分もありますが、私の専門でもあるVoIPについての議論もそれなりにページが割かれていて、そういうことがあったなと思い出します。改めて規制政策が競争に影響を与える様子とそのハンドリングの難しさがよく分かります。この頃には国土が広く人口密度もそれほど高くない米国には向いていないとされ、まだまだ遠い先のことだと言われていたFTTHの普及も、今ではVerizonとAT&T(SBC)がそれぞれ積極的に提供を始めています。

    2004年秋のVON (Voice On The Net)でパウエル元FCC委員長のインターネットの自由を歌ったキーノートスピーチを思い出しました。もうずいぶんと時間が経ちましたね。

    * 興味に加えて、ちょっとした知識がない人には、全く面白くないと思います。

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融合するネットワークの作品紹介

通信、放送、メディア、インフラ、コンテンツ…市場の変化にどう対応するのか?駐米日本大使館前参事官がみたアメリカの実情と日本の課題。

融合するネットワークはこんな本です

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