サーバント・リーダーシップ入門

  • かんき出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784761264734

感想・レビュー・書評

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  • ●サーバント・リーダーシップの定義
    リーダーである人は、「まず相手に奉仕し、その後相手を導くものである」という実践哲学をサーバント・リーダーシップといいます。サーバント・リーダーは相手に対し奉仕する人です。相手への奉仕を通じて、相手を導きたいという気持ちになり、その後リーダーとして相手を導く役割を受け入れる人なのです。サーバント・リーダーはつねに他者がいちばん必要としているものを提供しようと努めます。

    ●サーバント・リーダーシップの考え方
    リーダーシップはとてもシンプルな現象。信じてついていってもいいと思える人に、フォロワーたちが喜んでついていっている状態がリーダーシップという社会現象であり、そのように信じられる人に備わっているものが、その人に帰属されるリーダーシップの持ち味である。だから、リーダーシップのカギとなる言葉をひとつだけ挙げるとしたら、「その人を信じられるかどうか」になるだろう。つまりは「信頼」。信頼できる人なら、人はついていく。では、どういう人であれば信頼してついていくかというと、フォロワーのためを思ってくれる人だ。リーダーがフォロワーに尽くしてくれる、奉仕してくれると感じられるときに、フォロワーは心のそこからリーダーを信頼してついていくのである。

    ●サーバントという言葉は「奉仕する人」「尽くす人」と訳す。フォロワーに自発的についてきてもらおうと思ったら、リーダーがフォロワーに尽くすほうがよいのである。ただし、サーバントになるということは、下手に出て召使のように振舞うことではけっしてない。なんでもいいから相手に尽くすというものでもない。「ミッション(使命)の名の下に奉仕者となる」という高貴な面が、非常に重要なのだ。

    ●地位や肩書きによる管理の世界では、部下を部下と認め、その業績を評価するのは管理する側の人間だ。しかし、リーダーシップで人が動く場合、潜在的なリーダーを本当にリーダーだと認めるのは、フォロワーの側だ。

    ●リーダーシップはどこにあるのかという問いに対しては、「大半のフォロワーの頭のなかにある」という答えがあると同時に、「相互接触するリーダーとフォロワーたちの間にある」ということにもなるだろう。

    ●リーダーシップとは、フォロワーが目的に向かって自発的に動き出すのに影響を与えるプロセスである。

    ●上司と部下、だれがだれのために存在するのか。
    フォロワーはリーダーを信頼し、彼が描く大きな絵(ビジョン)に共鳴してリーダーについていく。そのときフォロワーが目指すものはリーダーのそれと同じ、もしくは近いものであり、一緒になって実現するのもフォロワーだ。リーダーはあくまでその手伝いをするのである。それがサーバント・リーダーシップの基本的な考え方である。

    ●「サーバント」と「リーダー」この2つの役割は融合し合えるのか?もし融合しうるとしたら、2つの役割が融合したその人物は、現在の実際の世界のなかで、うまく実り多く生きていけるか?ーYES。「サーバントとしてのリーダーシップは、最初は尽くしたい(奉仕したい)という自然な感情に始まる。その後に、自覚的に選択したうえで、導いてもいきたいという気持ちになっていくものなのだ。」最初に沸き起こるのは、「尽くしたい」あるいは「奉仕したい」という自然な感情である。まずそれを実践し、その後でリーダーとしての役割も果たさなければならないのだと考えるのである。これは親が自分の子どもに対して抱く思いと似ている。

    ●イチローの父の考え方
    「けっして前に出ることなく、後ろからくっついていくのが、私の最大の楽しみだった。親が後ろからついていけば、見守っていけば、子どもは安心して迷わずにまっすぐ歩けるものだと確信している」by鈴木宜之氏
    ガンジーやキング牧師のような超ド級の人を考えなくても、さりげなく萌芽的なサーバント・リーダーとして身近な人に接することができている人もいるのだ。恋人同士の間にも、サーバント・リーダーの萌芽的な現象が見られる。好きな人ができたとき、いきなり相手をぐいぐい引っ張っていきたいとはだれも思わないだろう。まずは「この人を喜ばせてあげたい。どうしてあげたら喜ぶだろうか」と、下心なしに尽くしたいと思うはずだ。そして「強い思い」を抱いて付き合いが深まるようになると、相手を守りたいという気持ちとともに、2人の関係を自分が(奉仕することを通じて)リードしていきたいと思うようになるのが普通である。もちろん「交換」に基づく関係ではない。

  • 頭の中でボンヤリ考えていたことを言語化してくれた。他人を導く上で参考になる考え方

  • サーバントとリーダーシップ。一見相反する概念に思えるが、この本ではサーバント・リーダーシップの理論と実践を学べる。理論は神戸大の金井壽宏先生から、実践は元資生堂相談役の池田守男さんから。
    ミドルとして、職場はもちろん、「サーバント・リーダーシップは企業経営や組織運営といった大きな場面だけで必要とされるものではなく、われわれの日々の生活のなかにも多く見られる現象である」(p83)ということで、家庭や地域でのサーバントも心がけたい。

  • サーバントリーダーシップは「引っ張るリーダー」とは異なった「支えるリーダー」というリーダーシップ像で、アメリカ・AT&Tの経営者であったロバート・K・グリーンリーフ氏が提唱した哲学。長期継続的に存在する(ゴーイングコンサーン)ことを前提とする企業経営において重視すべき考え方で、従来型の権限主導のリーダーシップを否定するものではないと感じました。危機的な状況や緊急事態などはむしろ権限主導のリーダーシップの迅速性が求められる場合もあり、相互補完的なものと捉えるのが良いと思います。また「サーバント」という言葉から「顧客や部下の召使いのように働けばいい」との誤解が想起されかねないが、「イニシアティブ」をとることが「サーバントリーダーシップ」の前提となっています。

  • サーバントリーダーシップは、自らの信じるビジョン、ミッションがあり、その目標感に共感してくれる人に尽くす。というよりも、自分のビジョンやミッションにひたすらに尽くす。
    池田守男さんも金井としひろさんも、使命感の大切さを何度も説いている。「命を使ってでも尽くしたいこと」を周囲に言葉で、行動で示し続けてこそ、サーバントとして尽くすことが人を動かす。
    *****
    働くことは「人に向けて動く」ことだと定義する。
    その感覚ととても近しい。
    *****

  • サーバントリーダーシップはまさに顧客中心、職員中心、ステークホルダー中心の組織作りをさしている。従来型のヒエラルキー型ピラミッドを逆さまにした構造。ビジョナリーカンパニー、ソーシャルカンパニーの理想型だと思う。

  • 総論→具体例→対談→まとめ と 非常に良くまとまっている。サーバントリーダーシップに対する疑問をことごとく解消してくれた本。

  • サーバントリーダーシップの読みやすい本としては、これがおすすめ。

  • 入門に本当丁度良い!わかりやすかった。
    宗教が絡むとむむっと思ってしまうことも多いけど、宗教が絡んでいない人の視点もあって、安心して読めた。

  • サーバントリーダーシップがわかりやすく解説されていてよかった!

著者プロフィール

神戸大学大学院経営学研究科教授

「2012年 『実践知 エキスパートの知性』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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