ドイツの地方都市はなぜクリエイティブなのか:質を高めるメカニズム

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著者 : 高松平藏
  • 学芸出版社 (2016年8月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (188ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784761513641

ドイツの地方都市はなぜクリエイティブなのか:質を高めるメカニズムの感想・レビュー・書評

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  • ドイツ南部バイエルン州のエアランゲンという都市の取り組みを紹介している。

    人口約10万人とそれほど大きな都市ではないが、エアランゲン大学を中心に歴史的にも産業で栄えた背景を持っており、戦後はシーメンスが拠点を置く都市として、一定の経済的な基盤を持っている都市である。

    連邦国家であるドイツらしく地方分権が徹底しており、国と各州だけでなく、さらにそれぞれの都市や地域コミュニティが自律して地域の課題を解決するための取り組みを行っているというところが、非常に興味深かった。

    特に、フェラインと呼ばれるドイツのNPO組織がカギになっているように感じた。町会とは異なり趣味やボランティア活動等の目的を一にする人たちの集まりではあるが、それが地域ごとにドイツ全土で60万団体も組織されているとのことで、学校、会社、自治体といった枠組み以外にそれらをつなぐ人間関係が築かれるという点で、社会保障や課題解決にも役に立っているのではないかと思われる。

    また、エアランゲンのメインストリートの風景は、非常に気持ちがよさそうだった。かつては車道が中央に走っていた通りを木陰や野外図書館なども広がる通りに変えていったということは、非常に興味深い取り組みだと思う。

    産業、人的ネットワーク、都市空間など様々な面でクリエイティブで人が中心の都市をつくっているという点で、参考にしたいところが非常に多かった。

  • 歴史的・制度的背景から、ドイツの地方都市は独立性が高く、地域の課題は地域で解決していく基盤が出来ている。
    基盤とは、例えば、地域の歴史やアイデンティティを再確認し、地元愛や地域への愛着、誇りといった感情を育てる機会(多種多様な町をあげてのイベント等)が多く企画されており、人々の中にそうした風土が出来上がっていることが言える。
    さらに、こうした季節や記念日等をきっかけにしたイベントは、地域内の人々のコミュニケーションを生む。自由に意見を交わし、課題や価値をオープンにできるこのような環境から、「都市の創造性」が生み出される、と筆者は述べる。
    上記のような人々の意識に加え、ドイツではフェラインという非営利組織が多く存在し、地域の人々の生活の質を高める様々な活動を行なっている。この活動には地元の企業がスポンサリングしており、こうして生活の質が高い魅力的な都市の形成が質の高い労働力の確保につながり、地元企業の収益増や、自治体の財源増、といった好循環を生み出していると筆者は分析する。

    印象的だったのは、行政だけでなく、企業や地域の人々(フェラインなど)とが協働により、魅力的な都市を作り上げている点だ。日本の地方を見ていると、行政が移住者、訪問者を増やそうと苦慮している一方、地域の人々の多くはそこまで愛着が強くはなく、無関心であるような印象を受ける。特に、知識層は地方に留まらず、都心へ流出するイメージが強い。それは、都心の方がクリエイティビティに溢れていて、新しいからだと思う。
    この本では、人口10万人ほどのドイツの地方都市エアランゲンを例にとり、都市のクリエイティビティは人口規模に比例しないことが主張されている。人口規模が小さい地方都市であっても、都市の質を高める循環が機能していれば、クリエイティブな都市を実現できる。

  • エアランゲンというドイツの地方都市の魅力や街の力を感じさせる読みやすい本である。連帯という概念はとても参考になった。キーワードとして、今後調べていきたい。

  • ドイツのエアランゲンというシーメンスのあるまちの特徴を紹介している。
    福祉ではなく、社会的市場経済。福祉は上から与えられるもの。社会的市場経済は一人一人が当事者でお互いに協力し合うこと。連帯。
    移民が多く、住民登録をすると、ウェルカムバックというエコバックをもらえる。買い物袋は使わない。

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ドイツの地方都市はなぜクリエイティブなのか:質を高めるメカニズムの作品紹介

10万人の地方都市でありながら、全国平均の2倍のGDPを誇る経済力、ドイツ1位と評される創造力を持つエアランゲン。外国にルーツを持つ市民が多く、700以上のNPOがパブリックサービスを担い、行政・企業・市民の連携が日常化する社会。多様で寛容で自立したプレイヤーによる、小さく賢く進化し続ける都市のつくり方。

ドイツの地方都市はなぜクリエイティブなのか:質を高めるメカニズムはこんな本です

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