町家再生の論理―創造的まちづくりへの方途

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  • Amazon.co.jp ・本 (231ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784761524517

作品紹介・あらすじ

京都の町家再生は、単なる建物の保存・利用ではない。古さの中に宿る伝統や文化に新たな価値を見出し、創造の場を育み、分断されていた市民をつなぐ、まちづくりの転換だった。町家の良さを再発見した住み手、経済価値を見出した事業者、都市計画を変えた景観政策、町家を支えた市民活動に焦点をあて、まちの活性化を考える。

感想・レビュー・書評

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  • 京都の町家に焦点をあて述べられているが、町屋地区のどの地区においても共通に該当する課題が述べられていた。
    なかでも、町家の保存と暮らしとの矛盾点を挙げられている部分が興味深い。
    確かに町家の保存では、町家の活用など地域の経済活動に貢献する仕組みつくりが必要であるが、はたして住民は町家の活用こそが地域の特色、色として考えているのかどうか。人々の暮らしや生業が変わり、人々のつながりも失われたともいえ、都心の伝統的町並みは守りたいが、近代的な都市としての発展も必要であると指摘できる。すなわち、住民はいつまでも不便な町家に住み続ける必要があるのか?ということである。

    では街並み保存地区と生活地区といったように2分することが解決策なのか。
    そんな簡単な問題でもない気がする。
    現在の日本の町家の在り方については、高齢化し空地が増えていくことが見えているだけに慎重に取り組まなければならない問題である。

  • 京町家の実状と取組みについて
    多数のデータを基に書いている本。

    京都以外の人にとって
    京町家はあまりなじみのないかもしれないが、
    地域のまちづくりの取組み事例と捉えたら、
    参考になる部分は十二分にあると思う。


    ①町家とその住民、誰が町家を守ってきたか
    1章 町家の実像
    2章 町家の住民とその暮らし
    3章 町家と住民の多様性
    ②なぜ京都は町家を残せないのか
    4章 町家を守らない理由、住み続けにくい理由
    5章 町家という建物が維持できない理由
    6章 町家が残らないもう一つの理由
    7章 町家が残らない都市計画制度の問題
    ③京町家再生の方途
    8章 何が流れを変えたのか
    9章 町家の美しさを発見した人々
    10章 町家再生店舗を始めた事業者の実像
    11章 新景観政策を後押しした市民
    12章 町家の絆を再生した市民活動
    終章 京町家から明日が見える

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著者プロフィール

956年浜松市生まれ。法政大学工学部建築学科、同大学院を経て、イタリア・ピサ大学・ローマ大学大学院にて都市・地域計画学を専攻、歴史都市再生政策の研究で工学博士(京都大学)。国際連合地域開発センターを経て、1993年より京都府立大学助教授、2012年より同教授、2016年4月~2020年3月副学長・和食文化研究センター長。京都市景観まちづくりセンター理事、(特)京町家再生研究会理事などを併任。国際記念物遺産会議(ICOMOS)国内委員会理事、東京文化財研究所客員研究員、国立民族学博物館共同研究員などを歴任。
主な著書に『にぎわいを呼ぶイタリアのまちづくり』(2000)『中心市街地の創造力』(2007)『創造都市のための観光振興』(2009)『町家再生の論理』(2009)『なぜイタリアの村は美しく元気なのか』(2012)

「2020年 『インバウンド再生』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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