建築女子が聞く 住まいの金融と税制 (住総研住まい読本)

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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784761525996

作品紹介・あらすじ

ローンを借りて家を持つなんてやばくない⁉ 家をつくる仕事に未来はあるの⁉ 相続税対策、ホントに必要? お金の基本、考え方と仕組みが分からないと、 これからの建築や不動産の仕事はできません。 建てる人、借りる人の一生を見すえて 対応できるようになるための、 基礎から学び、最先端を知る教科書

感想・レビュー・書評

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  • 建築学を教える1957年生まれの大学教授と1973年生まれの建築ライター、二人の建築「女子」が、建築に関わる金融や税制の仕組みについて専門家からレクチャーを受ける。

    なるべくいろいろな分野の本を読もうと思っているが、経済や金融の話は苦手意識が先に立つ。
    この本は、建築に関わる部分に限定はされているが、金融や税制のしくみについてかみくだいて説明してくれており、入門編として読みやすかった。

    本書は、大きく金融編と税制編に分けられる。
    金融編では、住宅ローンは安全なのか?そもそもどういう経緯で制度が作られたのか、といった基本的な話から、住宅ローンの証券化や『住専(住宅金融専門会社)』など、バブル崩壊やリーマンショックの要因となった制度のこと、さらには、高齢者の所有する家を担保にお金を貸して、所有者が死んだらその家を売却して代金を返してもらう『リバース・モゲージ』や『マイホームリース』といった新しいしくみのことなど、多岐にわたって解説される。

    専門家がかなりかみくだいてくれているとはいえ、金融の仕組みはなかなか難しい。建築のことは良く知っていても、金融についてはまだまだ初心者な建築「女子」たちが、素朴な疑問を臆せず質問してくれるのがありがたい。
    住宅に関わる新しい仕組みについては、完全に理解できたとは言い難いが、住宅を人生のステージごとに変えていくことは自然だ、という考えにはなるほど、と納得した。

    税制編は、私にとっては金融編よりはとっつきやすかった。住宅ローン減税は、家を売りたい人が持ち家信仰を助長させるための仕組みなのではないか、と思っていたら、建築「女子」の馬場さんも同じことを聞いていた。でも、専門家によると、人間の生活の根幹に係わる「衣・食・住」の中で、こんなに「住」に対するサポートがない日本のほうがめずらしい、とのこと。住宅ローン減税はあってしかるべきで、逆に賃貸に対するサポートがなさすぎるのが問題なのだそう。また、税金を取られるのが悪いことのような風潮だが、税金は、格差社会をある程度国の補助で均一にするための「民主主義の対価」であるはずで、それがいやなら自己責任で暮らしていくしかない、という言葉にははっとさせられた。とはいえ、税金を払う具体的な利益が感じられないやり方も問題であるとも。

    大事なことだからこそ、わからないまま不安に思ったり、中途半端に不満を持つのではなく、まずは知ることが大事だ。経済や金融に苦手意識のあった私にとっては、少なくとも、そのことを理解したことが小さな一歩になったと思う。

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著者プロフィール

青山学院大学教授・金融技術研究所所長、一般社団法人移住・住みかえ支援機構代表理事、文化放送「大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ」パーソナリティ
1959年京都市に生まれる。82年東京大学法学部卒業。同年日本興業銀行に入行。85年米コロンビア大学法学修士。外国為替第2部、金融商品開発部、フィナンシャル・エンジニアリング部、ニューヨーク支店、本店業務部、ストラクチャード・ファイナンス部、アクサ生命保険専務執行役員、日本住宅ローン社長、立命館大学大学院法学研究科教授などを経て、現職。

「2023年 『家の買い方、持ち方が変わる!残価設定型住宅ローン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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