景観まちづくり最前線

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著者 : 大野整
  • 学芸出版社 (2009年1月10日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (399ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784761540852

景観まちづくり最前線の感想・レビュー・書評

  •  数年前のもりあがりから、さめて景観行政もちょっと停滞状態。

     これは、体制から制度までてこ入れしないといけないと思い、この本を職場の図書館で借りて勉強開始。

     前半部分は、各地方公共団体の取り組みの紹介。少ないな、書かれていないなという部分は、農村景観制度の活用状況、景観重要建造物、景観重要公共施設の関係。多いのは、建築物に関わるいわゆる都市景観の部分。

     まあ、都市局が推進していたからしょうがないが、反省点もある。

     今後の課題とおもった点。

    (1)線的、あるいは歯抜け上に残った、由緒ある感じの建築物群に対しては、景観地区でも、景観重要建築物でも、うまくひろえなくて、もしくはどちらでも拾えるがなんとなくやる気がでなくて、大事な建築物が失われていないか?

    (2)景観に熱心な市町村は、やはり伝統と歴史のあるまちが多いが、普通の街並み、普通の街路樹などでも地域の人たちが大事にしているものをうまく救えていないのではないか。

     例えば、自宅の近くに大きな桜の木が一本道路上にたっていたが、道路の拡幅のために、あっというまに伐採されてしまった。えっと思ったがもう遅い。地域のみんなは桜の開花を楽しみにしていたのに、残念。こういう地域が大事にしている、それほど、とりたてて歴史文化があるわけでもない、大事な資源を景観制度の対象にくみ上げていけないか。

    (3)田舎の風景の保存という観点からは、農地、林地という区別をこえて面的、広域的に守る必要がある。こういうのは、都道府県レベルでの規制が得意な分野だし、逆に田舎の町村では景観行政までやりきれない。こういう都道府県レベルの景観行政については、今の景観法では、歯抜け上に景観団体に権限が委任されてしまうが、県もしくはもっと広域の観点から、景観方針とかだして一定の広域規制をする仕組みが、ミクロの規制に加えて必要ではないか。

    (4)景観行政だけにかぎらないが、急に周囲の環境にまったくあわない開発、建築行為が生じないように、事前協議の仕組みが必要ではないか。規制強化という批判は当然あると思うが、ばかでかい建築物を採算ぎりぎりで造る時代でも、もうないでしょう。

     参考文献は、エドワード・ウルフ『場所の現象学』、イー・フートゥアン『空間の経験』。

     付箋をつけたページ、p36,51,58,73,138,259,304,322,352,367,375,387。

  • 本書も技術士試験対策で読んだ本。景観について仕事してしっかり携わったことがないので、景観法の精神や実際の運用例を知るには最適な本だったと思う。

    景観法をどのように利用していくのか、それは自治体の手腕にゆだねられていると思う。景観法には景観計画や景観地区、景観重要建築物・樹木などいろいろなメニューがある。しかし、景観まちづくりはトップダウンで行うものではない。良好な景観を作っていくいくには、行政の役割はもちろん大きいが、事業者、その場所で生活を営んでいる住民がキーとなってくる。行政がトップダウンで莫大な予算を投じてまちなみ形成を行ったところで、そこで生活を営む住民が良好な警官を作っていく大切さを共有していなければ、今まで行われてきた「箱物行政」となんら変わらないだろう。

    景観法はあくまでもツールである。良好な景観を形成していくためには、行政、事業者、住民がそれぞれの立場で主体的に活動していく「ガバナンス」となっていくことが大切だと思う。ボトムアップ型のまちづくりを進めていく上で、どのように景観法を活用していけばいいか、本書の後半でそのあたりを丁寧に解説してあるので、専門書ながらとても実用的でわかりやすい本だった。

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景観まちづくり最前線はこんな本です

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