自白の研究―取調べる者と取調べられる者の心的構図

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著者 : 浜田寿美男
  • 北大路書房 (2005年7月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (749ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784762824500

自白の研究―取調べる者と取調べられる者の心的構図の感想・レビュー・書評

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  • お前がやったんだろう。  お前以外にありえないんだ。  お前が犯人だと俺たちが決めたんだから、なにがなんでもお前が犯人なんだよ。  さっさと早く自白して楽になれよ。  故郷のお袋さんも泣いているぞ、あんまり世話をかけるんじゃないぞ。   32時間ぶっ続けで、眠らせず水も与えないでの取り調べで、疲れたろう腹へったろう、まあカツ丼でも食べてさっさと早く自供しろよな

    第一発見者を疑い、近所の前科のある人や被差別部落の人を筆頭容疑者扱いにし、あいつが犯人のような気がするような感じだという見込み捜査ですすめて、任意同行という強制的な取り調べ連行や、別件逮捕という冤罪の権化のような邪悪な方法で、あらかじめ推定有罪と決心して、犯人としてでっち上げるための被疑者の特定をはかるという、卑劣な破廉恥な警察・検察の実態が、とうとう白日の元にさらされます。

    もうおわかりのように、そういう段取りの成果だったわけです、かつての、世界でも有数の犯人逮捕・検挙率の高さの秘密は。

    まったくの偶然ですが、この本を読んでいるとき、どこかの番組で、ちょうど足利事件の菅谷利和さんの再審にからめて、どうしてやってもいないのに自白してしまうのかということを、本書の著者の浜田教授が行った立命館大学の学生たちの協力による実験を紹介していました。

    あらかじめ使ってよいキーが決められたパソコンを、学生に任意に操作してもらうというもので、その際、使ってよいキー以外を押すと電源が切れてしまうことを伝えていましたが、押してもいないのにプツンと電源が切れてしまうのです。

    「あっ、切れちゃった。使ってダメなキーを押した?」「いいえ、押してません」「だって、切れたじゃない。押したんだよ、きっと。知らない間に押したんだよ」「そうかな、押してないんだけどな、でも、切れたんなら、私が押したのかもしれませんね。そうですね、私が押したんです、私が」

    実は、真相は、裏で見えないところでスタッフが勝手にコードを無理やり抜いて、強制的に電源を切っていたのですが、その後の、まさに誘導尋問によって、自分でやってもいないのに自分がやったと、およそ半数近くの人が認めてしまうのです。

    それにしても、いくら自白の研究がなされその不当・理不尽さが暴かれたとしても、司法の現場で許しがたい自白偏重の茶番劇が行われるのが常識だという現実を変えないことには話になりません。

    そのためにこそ、裁判員制度をより積極的に活用して、冤罪を作らせないようにするための、捜査時の自白・取り調べ情況の映像・音声の全面公開や、その時の警察側と被疑者両方を嘘発見器にかけた結果の提出など、を義務化させることは非常に重要なことだと思われます。

    これは他人事ではなく、明日にも我が身に降りかかる火の粉かもしれませんので、けっして油断されませんように。



    この感想へのコメント
    1.Pipo (2009/10/27)
    こんにちは。私、学生時代にそっち方面を学んだことがありまして(笑)、「『自白は証拠の女王』と言われた時代もあるけど、今はそうじゃない」と教わったはずなんですけど…やっぱり、日本人的には、下手人(と思われる人物)が土下座してなんか言ってほしいのかなぁ?と、今でも違和感がちょっとあります。

    2.薔薇★魑魅魍魎 (2009/10/30)
    今回の自白テープ公開に一番反対しているのは現場の刑事たちだそうで、要は、そんなのしたら自白させにくいじゃないか、頭を机に押しつけたりするいつもの方法ができないじゃないか、ということだとか。
    チンピラやくざにはそれは有効かもしれませんが、否、彼らにも人権ってあるのかな、ともかく、公正明大な取り調べってなんとかして出来ないものですかね。

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自白の研究―取調べる者と取調べられる者の心的構図の作品紹介

日本の裁判では重大な冤罪事件を繰り返している。なぜ明白な誤りを繰り返してしまうのか。法の世界で論じられてきたことを,心理学領域に敷き写し自白論を展開。取調べ側の心理構造の解明の上に虚偽自白の本体に迫り,自白に関わる「供述心理学」の確立への地歩を固めた記念碑的労作,待望の新版。

自白の研究―取調べる者と取調べられる者の心的構図はこんな本です

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