クリスピン

  • 求龍堂
3.73
  • (13)
  • (22)
  • (21)
  • (4)
  • (0)
本棚登録 : 132
感想 : 22
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (309ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784763003300

作品紹介・あらすじ

14世紀、中世のイギリス。大荘園領主が支配する小さな村に、名前もなく「アスタの息子」と呼ばれる13歳の少年がいた。母アスタの死後、ひとりぼっちになった少年が、泥棒のぬれ衣をきせられ命を狙われる。「ここを出て自由に生きろ」神父に背中を押され、ひとりで旅に出た少年。母の十字架に隠された秘密とは?自由とはなんなのか?旅の終わり、少年は自分の手で自由をつかむことができるのか!?アメリカの権威ある児童文学賞・ニューベリー賞2003年の大賞に輝いた、ヤングアダルト小説の傑作。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 中世ヨーロッパ。

    ある村に「アスタの息子」と呼ばれ、母アスタ共々、村でもっとも下に扱われている13才の少年がいた。

    名も呼ばれず、人に命令されることをして、生活をしていた。

    母がなくなり、一人きりになる少年。葬儀には神父のみがつきそっていた。
    その神父から「クリスピン」という名であることを教えられる。神父は出生の秘密を知っているようであったが、それを聞く前に神父は殺害されてしまう。

    それらの罪を着せられたクリスピンは、命を奪ってもよい存在として追われることになる。

    逃亡の途中で出会った大道芸人の「熊」。

    彼はクリスピンを奴隷として扱う、といいつつも、いままでクリスピンが知らなかった「自由」について、人間としていきる言葉を投げかけます。
    クリスピンの出生の秘密は?熊の正体は?
    ハラハラする内容でどんどん読みすすんでしまいます。
    そして、なんといっても「熊」の存在感。

    彼が話す言葉は心にしみます。

    自由、という言葉の持つ重さも考えさせられる本。

    繰り返し読む、大好きな本です。

  •  YAではあるけれど時代小説に分類。1377年のイングランドが物語の舞台だということだ。ジョン・ボールという登場人物は実在らしいのだが、聞いたことない……。少しずつ、世界史履修漏れのツケを返していけたらいいなあ。はあ。

     村人からつまはじきにされる主人公「アスタの息子」=クリスピンのお話。先日読んだ『童話物語』のペチカとその境遇は似ているが、大きな違いは、序盤におけるクリスピンの異常な物分りの良さだ。彼はなぜ自分だけがこんな目に、とは言わない。その時代、民衆は領主の下にいた。自由も平等もなかった。そんな少年が自由に目覚める様子が生き生きと描かれている。
     正直、ストーリーは思ったより小規模で地味だったが、「熊」こと大道芸人オースン・ホロスガーの言葉がぐいぐい読ませる。金原さんの訳もすごいんだろうなあ。原書は読めないから、知らんけど。

    原題:CRISPIN:THE CROSS OF LEAD


  • 中世ヨーロッパの黒死病や悪政。農奴制度など苦難な時代背景と登場人物紹介の見開きに惹かれ暫し留まる。複雑な境遇の少年が徐々に顔を上げ目を合わせ毅然と自分を決断していく姿は"自由"を原点とし熱くなる。"不公平な税制は廃止されるべし"は唸った。

  • 14世紀イギリス、小さい村の名もなき少年は泥棒のぬれ衣を着せられ、命を狙われ村を逃げる。途中、熊と呼ばれる大道芸人に出会い、共に旅をする中で自らの名前と出生に隠された秘密と向かい合うことになる。
    村で虐げられていた少年は、その境遇が当たり前のことと受け入れているが、熊と出会い「人は誰でも自分自身の主だ」という言葉から、真の自由とは何かを考えるようになります。まっさらな心で見るもの聞くものを吸収し考える。そして全てのものから受け身だった少年が、自分で考え自分で行動するようになる。王道というべきストーリーですが、熊と少年のやり取りを通して自然に書かれています。少年の師となる熊がとてもいい人なんです。ぶっきらぼうに見えて、少年のことをしっかり守り導こうとしている姿がいいです。このふたりの物語をもっと読みたいという気にさせられます。
    また14世紀イギリスの宗教や社会や風俗などが物語に取り込まれている点も興味深いです。

  • 読みやすい翻訳。
    装丁も素敵、特に中の飾り枠のデザインが話を引き立てます。
    内容自体は奇抜ではありませんが、男の子の成長物語として楽しめました。

  • 原作のスリリングな感じはよく出ていて、次々にページを繰った。ただ、語りの一人称が気になった。文字の読み書きができない主人公がああいう呼称を自分に使うかなあ、と。というわけで⭐️ひとつマイナス。

  • しばらく以前から読んでいて、きょう読了。アヴィは三冊目?
    展開はよく練られていて、その意味ではおもしろいのだけど、クリスピンの一人称な割に、かなり理路整然とした語りで進んでいくのに違和感が拭えなくて、最後のところ入り込めなかった。訳のせいな部分もある気はするけど、ストーリー進行が先にあって、それに合わせてクリスピンが動いていく感じもあるから、原書もそういうつくりなのかな。
    個人的に、目次に内容紹介文はいらないと思う…。

  • YA(ヤングアダルト)のよさが凝縮されているとおもう。
    名前さえ持たない少年は村を追われる。しかし、それは自由を求める旅のはじまりでもあった。
    名前をもつ意味、自由の意味を10代の多感な読者にうったえている。

    文章もよみやすく、ながいと全く感じなかった。

    また、街の様子や服装、宗教など歴史的背景もすごく丁寧に描かれていた。

  • よくある話だけど・・・
    おとぎ話でした

  • 14世紀イギリス。
    母を亡くした<アスタの息子>は、荘園領主の執事に濡れ衣を着せられ、追われる身となり、自由を求め村を飛び出した。
    自らを「居ても居なくても同じ存在」と称する<アスタの息子>は、軽業芸人の熊と出逢い、彼の奴隷として共にある都市へ向かうことに。
    ゆく先々で執事たちに狙われる<アスタの息子>にはどんな秘密が?

    ファンタジーかと思いきや、ノンフィクションかと思うほどの地に足の着いたストーリー。
    冒険物語でもあり、少年の成長物語、ミステリ要素もあり楽しめますが、特に、中世ヨーロッパの村や都市の生活の様子が臨場感たっぷりに描かれています。

    そして、装丁、特に章ごとの扉絵が美しい。
    封建制度?荘園制度?ってな私にも分かりやすい時代背景の説明や注釈もありがたい。(YAならでは)
    自由・人権・道徳についても考えさせられます。
    中学生向けかな。
    軽い読み物として、大人も楽しめると思います。

全22件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1937年生まれ、アメリカの作家。脚本業ののち、息子の誕生を機に児童・青少年向けの小説を書きはじめる。70冊以上にのぼる著書は、アドベンチャー、ミステリー、ファンタジー、ゴースト・ストーリー、童話など幅広い分野にわたり、多くの国々で出版されている。主な邦訳作品に、1996年ボストングローブ・ホーンブック賞を受賞した『ポピー―ミミズクの森をぬけて』(あかね書房)、2003年ニューベリー賞を受賞した『クリスピン』(求龍堂)、『シャーロット・ドイルの告白』(あすなろ書房)などがある。

「2019年 『ぼくがいちばん ききたいことは』 で使われていた紹介文から引用しています。」

アヴィの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
アレックス シア...
コルネーリア フ...
荻原 規子
アーシュラ・K....
荻原 規子
有川 浩
伊坂 幸太郎
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×