快癒力 (2)

著者 :
  • サンマーク出版
4.00
  • (2)
  • (0)
  • (0)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 14
感想 : 3
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (203ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784763191854

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 人間は今現在にしか生きることができない。過去とは現在に呼び起された記憶であるし、未来も現在に想起される期待である。だから、病気を治すためには「今現在」どうあることかが重要である。人生は自分自身にしかであわない、というのは何とであって感じようとも自分が感じるということなのだから・・・。何度も繰り返して読みたい本である。前著とほぼ内容が被るけども少しの書き方の違いで強調される部分の印象が違いこの本は読みやすい。

  • そもそも私が『快癒力』を知ったきっかけは、動画投稿サイト「ニコニコ動画」のコンテンツの1つである「ニコニコ生放送」で、『快癒力』が取り上げられたことである。その放送では、『快癒力』の文章を様々に引用しながら、イメージによって人の健康は左右することが紹介されていた。
     
    しかし、実際に『快癒力2』を精読してみたところ、想像していたような著書とは異なっていたことが分かった。当初の見立て通り、内容に関しては、前述の内容が様々な症例によって裏付ける形式で語られていた。一方でしかし、その語り方や論理実証性に関しては、疑問点が残らざるを得ない内容でもあった。臨床心理学者:河合隼雄は、哲学者:坂部恵の『かたり(1990)』を引用し、臨床例の<かたり>方を『講座 心理療法〈2〉心理療法と物語』(2001)の序文で述べているように、臨床例を<語る>ことは同時に<騙る>ことでもあり、<騙る>側面が悪化するとそれは、臨床例を<かたる>ことは、<かたり>から<謳い上げる>に失墜してしまう危険性がある。『快癒力』で取り上げられた様々な臨床例は、まさに<謳い上げられた>臨床例であったように見受けられる。
     
    しかし、疑似科学的な論調も咀嚼さえすれば、内容は大変示唆に富む著書でもあった。著書の構造は、ひたすらに同じ事を言い換えを繰り返すことによって具体化し、読者に訴えかけるものであり、そのコアシーケンスを探ると、「快癒力をつかむ4つの発想」に著者のメッセージは集約されているように見受けられた。そして、シーケンスとして何度も語られていた内容とは、「今ここにいる自分に注意を向け、今ここにいる自分に気づく」ことであった。これは、本著が、マインドフルネスや認知行動療法の理論、あるいは実存主義と極めて近しい内容を記述していることを示唆している。すなわち、『快癒力2―この生き方・考え方が健康をもたらす』が、繰り返して主張したこととは、認知行動療法的なアプローチで「病気になった原因であるイメージ」を論駁し、「気づき」を常に実践しつつ、如何に良く「今」に意識を向け、「今」が発しているメッセージをポジティブに解釈するか、というものであったと考えられる。
     
    確かに、訳が分からないホメオパシー的な療法について長々と書かれていたり、<謳い上げられた>臨床例が幾つも並んでいたりする点に関しては低評価をせざるを得ない。また、論理実証主義の立場からは批判せざるを得ない内容であることも確からしい。しかし、本著は専門書や学術書ではなく、心理学を知らない一般の方に向けて送られた著書だという点を考慮すると、精神医学や心理学の知恵を大変良く噛み砕き、読者の心に入るように何度も何度も繰り返して訴えかけていた、良著であったのではないだろうか。前述したように、期待していた内容とは異なっていたことは確かであるが、私自身がMBCTを一般の方に説明する際には、良い参考資料になるのではないかと思わせる著書であった。

全3件中 1 - 3件を表示

篠原佳年の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×