リハビリテーションのための発達科学入門 身体をもった心の発達

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著者 : 浅野大喜
  • 協同医書出版社 (2012年3月17日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784763910660

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リハビリテーションのための発達科学入門 身体をもった心の発達の感想・レビュー・書評

  • 2階書架 : WS368/ASA : 3410153768

  •  私が書店の店頭で本書を手にした理由は、本書に付されていた帯に記載されていた「小児リハビリテーションを背負っていく若いセラピストたちへ」という文字であった。
     恥ずかしながら、私は理学療法士になってから29年が経過したいささか年老いた理学療法士である。だから、私などが手にしてはいけない新刊本であったのかもしれない。
     しかしながら、「若いセラピストたちへ」という言葉から著者の熱いメッセージが込められている書籍であるに違いないと感じた。

     そして、本書を読み始めるや、著者は「現在のリハビリテーションに関連する職種である理学療法や作業療法の教育では、子どもの発達について詳しく教えているところは殆どないであろう」と指摘され、「運動発達だけでなく、認知発達いわゆる知的発達や社会発達を含めた“発達”という現象そのものを総体的にとらえた教育はなされていない」とも記載されており、3年前から養成校教員をしている自分にとっては非常に厳しい言葉を突付けられた。

     その背景には、著者が臨床活動の中で苦い経験をされたことがきっかけで、子どもの理学療法に携わる際には「発達」という視点の重要性を認識されるようになった経緯を本書の中で述べている。

     もちろん、養成校教員は理学療法学科学生あるいは作業療法学科学生が国家試験に合格し、免許証を取得することを目標としている。だから、毎年の国家試験に出題される子どもの運動発達については原始反射や立ち直り反応あるいは平衡反応を中心に教えているのかもしれない。それらの背景には中枢神経系の階層性理論があることは言うまでもないだろう。

     しかしながら、最近は出生直後から大脳皮質が機能していることや、原始反射の存在自体にも疑問が投げかけられていることも指摘されている。また著者自身も新生児からの子どもの発達を反射による統合で説明されてきた古典的な考えに違和感をおぼえ、「新生児は探索意欲を持った適応的な存在であること」を知ることにより赤ちゃんの世界を理解することができたように感じられたと言っている。

     さて、本書の構成であるが、第1章では自己身体の発見に始まり、第2章では他者身体の認識、第3章では他者行動の模倣・再生と理解しやすく、多くの研究報告が図表とともに記載されている。そして終章では「原始反射再考」についても述べられており、著者は“発達”という現象を念頭においた上で子どものリハビリテーションに携わっていく必要性を力説されており、「自己の運動発現とその発達には、自己身体の認識と他者行動との比較照合作業が重要な役割を果たしており、小児リハビリテーションの臨床において他者の重要性」を強調されている。

     今後、子どもの理学療法や作業療法に携わる若いセラピストだけではなく、すべての方々に改めて「発達」という視点の大切さを認識する必要があるのではないでしょうか。そのためにも、本書を広くお薦めしたいと思います。

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