セイヴィング キャピタリズム

  • 慶應義塾大学出版会
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  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784766411683

作品紹介・あらすじ

バングラデシュを永遠の貧困に、あるいはアメリカを永遠の繁栄に運命づける経済の鉄則など存在しない。20世紀初頭には活気のある開放的な金融市場が広範な繁栄を創造したが、その後、大恐慌の間に「大反動」が到来した。市場とは何をするものなのか、誰が利益を得るのか、そして本当は誰が市場を制限ないし閉鎖したいと欲しているのかについて、より深く理解されない限り、それはまた起こりうるし、起こるであろう。本書は、右派だ左派だといった伝統的なイデオロギー的議論を打破して、新しい理解の枠組みを示し、生産性に優れた資本主義の可能性を広めるものである。

感想・レビュー・書評

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  • 日経で紹介されていた本。近いうちに読みたい。

  • 簡単な本ではありません。
    と言っても難解な理論書では無く、丁寧に記述され、説明はたいへんわかり易いので少しづつでも読み進めれば決して読破できない本では無いです。
    市場経済は自由放任によって自然に成立するのではなく、政府がそのインフラを整備・保護することにより機能して行くことを丁寧に説いています。
    無邪気な市場万能論ではありません。
    これは資本主義の永続革命論(トロツキーですね)では無いかと感じました。
    通読は容易ではありませんが、一章ごとに要約が付されておりますので、少しづつでもぜひ。何気ない一文にも唸らされることを保証します。

  • 原著のタイトルは"Saving Capitalism From The Capitalists." 資本主義は資本家に脅かされているのだ。フェアでオープンな市場は我々の世界を驚くほど豊かにする力を秘めているが、そこでは現在進行形で優秀な者のみが高く評価される。既得権益者は新規参入者に怯え続けなければいけない。だからこそ資本主義社会で成功した資本家は、さまざまな規制を作りだし市場をねじ曲げていく。本書では、市場経済がいかに繊細で、政府による適切な管理が必要かを説く。

  • 「資本家から資本主義を守る」という題名の本。
    いま、資本主義、自由市場主義は曲がり角を迎えている。リーマンショック等の金融危機を発端とする国際金融システムへの不信感の高まりと、ロシア、中国など共産圏の経済的成功が、従来の自由市場礼賛への反動を勢いづかせている。
    著者は、このような反動的な動きが結局のところ既得権益者に利用され、ほとんどの労働者、大衆が不利益を被ることになると述べている。
    かくいう日本でも民主党が政権与党となり、左翼的政治が推し進められている。
    我々は、政治家というものは結局のところある特定の少数政治圧力団体によって影響を受けているのだということを常に念頭において、状況を注視しなければならない、ということを教えてくれる本である。

  • 自由な金融市場はいかにして成長をもたらすか、この点をさまざまな事例・データから解く。そして自由な金融市場を抑圧したのは誰か…?著者は既得権者と貧困層と大胆にも答える。
    ロジック、理論、実証、すべてにおいて納得できる内容だった。

  • 自由な金融市場は社会の発展の為に重要であるが、それは極めて脆いものであるという話。金融の成り立ちと発展の歴史を紐解きながら、金融市場はなぜ重要か、それを発展させるにはどうしたらいいのかを考える。市場を抑圧しようとする人々。競争の勝者は自由な競争を阻害することによって自身の立場を護ろうとし、逆に競争に敗れた人は保護貿易的な介入を求める。これら両側からの圧力から市場を意識的に護らないと、市場は直ぐに機能しなくなる。内容は良かったが、文章が堅くてボリュームもあるので読むのは結構大変でした。

  • 必読書。

    本書は、シカゴ大学の二人の若い経済学者が、最新の金融理論を使って金融市場の歴史を分析し、「資本主義を資本(の悪事)から救う」方法を考える者だ。

  • ●未読
    ◎「お金は銀行に預けるな」(勝間和代)p.198で紹介。
    〜・資本主義の限界について述べた興味深い本。原題は「資本主義を資本家から救え」の意。
     ・社会が単純に市場原理だけを追求していくと、大きく分けて次の2つの問題が生じる。
     1.国家間や個人間において、「やる気」に応じた資源配分が必ずしも上手く行かない
     2.社会的に正しくない行いがあったとしても、利益が出るものについては投資され、投資され、その結果として地球温暖化や
      環境汚染などを招く

    ◎「世界金融崩壊七つの罪」p.147でも紹介。
    〜【著者のラジャンとジンガレスが「資本市場を守れ」と言う時、彼らは大衆社会の熱狂から市場社会を防衛しているように見えないことも無い。しかし、個々の議論をつぶさに検討していけば、何のことは無い、彼らの議論には「ピュアな資本主義こそが正当」というグリーンスパンなみの、楽天的でご都合主義的な市場称賛を見出すだけなのである。】

  • 資本家から資本主義を守る、というのが原題。貧者のためのセーフティネットを設けるなど、富を得た既得権者層以外にも資本主義の恩恵を与えることが大切だという話。

  • 友人が非常に薦めていた本。
    だいぶ前に読み終わったのであまり記憶にありませんが
    内容うんぬん以前に異様に読みにくい文章でストレスがたまったのを覚えています。
    中学生高校生の直訳と大差ないレベルでしょう。

    あまり理解する気も起きず、結果的に時間の無駄になってしまったのですが
    再度読み直す気力が生まれたら読み直したいと思います。

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著者プロフィール

シカゴ大学ブース・スクール・オブ・ビジネス教授。2003-2006年に国際通貨基金(IMF)のチーフエコノミストおよび調査局長、2011年にアメリカ金融学会会長、2013-2016年にインド準備銀行総裁を務める。専門は銀行論、企業財務論、経済開発論。国際金融について提言を行う有力なNPO、G30のメンバーであり、アメリカ芸術科学アカデミーの会員でもある。2005年8月のジャクソンホール会議では、世界金融危機の3年前に、その発生を懸念した発表を行い注目される。邦訳書『フォールト・ラインズ』(2011、新潮社)『セイヴィング・キャピタリズム』(2006、慶應義塾大学出版会)。

「2021年 『第三の支柱 コミュニティ再生の経済学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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