アラブ諸国の情報統制―インターネット・コントロールの政治学

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著者 : 山本達也
  • 慶應義塾大学出版会 (2008年4月29日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784766415155

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アラブ諸国の情報統制―インターネット・コントロールの政治学の感想・レビュー・書評

  • 図書館で借りる。似た境遇で博士課程の研究をされた方の著作。自分が登ろうとする山の高さを確認する意味で読む。

    「過去から長年にわたり、各種メディアに対する情報統制政策を実施してきたアラブ諸国は、このインターネットという新しいメディアをいかにして扱おうとしているのだろうか」(p4)という問題意識のもとに記された。ただしインターネットが充分に普及しているとはいえないアラブ諸国であるがゆえにインターネット導入の「影響」が観察できないことがあり「政策面」に焦点があてられる。
    ・アラブ諸国で実施された主要なICT支援政策(p23)は全て聞いたことがなかったが、網羅性がどのていどなのか気になる。
    ・分析の枠組みがいくつか用いられている。
    ①リンスの各国の政治体制を三分法(あるいは5つ)に基いて分類する手法 ②筆者が発案するインターネットコントロールをインフラのアーキテクチャ(ツリー?グラフ構造?)とコードのデザイン(プロキシの有無)の2つのものさしでコントロールの形を4つに分類する手法、③アリソンモデル、④国家を「独占型情報国家、ガバメント型情報国家、ガバナンス型情報国家」の3つに分類する土屋大洋発案「情報国家モデル」
    ・本書でレンティア国家という言葉を初めて知った。レンティア国家とはレント収入(土地による天然資源収入等の非稼得性から見出され国家に直接的に流入する利益)に依存する国のこと。
    ・各国の自己規制を迫る手法がいやらしい。インターネットに関連する情報の流れのコントロールにおいては『「技術的に全ての電話線を完全な形で盗聴することが可能であるか否か」ではなく、「もしかしたら自分の利用している電話線が盗聴されているかもしれないという意識を国民に持たせ、事故規制を誘発できるか否か」がポイントとなる』(p38) 自己規制の誘発という観点からは、実施されているコントロールの範囲をグレーにしておく措置も有効に機能している(p71)
    ・中東の衛星放送としてアル=ジャージーラが有名だがアル=アラビーヤ(http://english.alarabiya.net/)も人気で追随している。
    ・インターネットコントロールは物理層、コード層、コンテンツ層にわけて行える。かつコード層においては『制限」「検閲」「モニタリング」の三種の手法がとられうる。
    ・5章においては2つの問い、すなわち①インターネットコントロールを志向する国家のなかに物理層・コードそうにおける違いがなぜみられるのか?②なぜアラブ諸国の中でヨルダンだけがコントロール放棄型へと移行したかについてアリソンモデルを使って迫っていく。


    自分が論文を書く際にも技術用語の取捨洗濯が難しくなるだろうと思いつつ読んだ。たとえば本書にあるインフラのアーキテクチャという言葉は政治学者には小難しすぎ、エンジニアにとっては大雑把すぎる。しかし言い換えが即思い浮かばない。
    5章の言葉が難しくて途中からアリソンモデルと本書のコードの対照性がわからなくなった。

  • アラブ諸国はICT産業によって失業率を回復した。
    ヨルダンにとっては新たな産業基盤になる売るのではないかという期待もあった。
    2000年の九州サミット以降にアラブ諸国ではUNDPなどがドナーとなってICT支援政策を打ち出している。
    サウジアラビアの場合、ロンドンなど国外に拠点を置く反体制派によるインターネット上での活動とそれをブロックしようとする政府の攻防が活発手な点も特徴になっている。政府の規制をかいくぐり、サウジアラビア国内から、こうしたサイトにアクセスしようとするユーザは常に摘発のリスクを伴っている。
    サウジアラビアにはISU(Internet Service Unit)が検閲システムに対して責任を負っている。

    イスラエルドメインのサイトも規制の対象とされることが多い。国際NGOなども。
    国際NGOであるHRW、アムネスティも活動している。

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アラブ諸国の情報統制―インターネット・コントロールの政治学の作品紹介

グローバル化、情報化の波に直面するアラブ諸国政府は、インターネットに対してどのような政策的対応を図っているのか。権威主義体制のアラブ諸国に長期滞在し、情報統制政策の立案・実施に係わる政府官僚・政府系機関幹部・ICT関連企業幹部への取材を重ねた著者が、各国の情報統制の現状を技術的・政治的な視点から詳細に分析。情報化の推進により経済的な利益を最大限に得つつ、同時に政治的リスクを最小限に抑制する、アラブ諸国の情報統制政策の実態をあきらかにする。

アラブ諸国の情報統制―インターネット・コントロールの政治学はこんな本です

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