井筒俊彦:叡知の哲学

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  • 慶應義塾大学出版会
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  • Amazon.co.jp ・本 (474ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784766418118

感想・レビュー・書評

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  • 井筒俊彦の思想的遍歴を、彼を取り巻くさまざまな人物との関係について立ち入った解説をおこないながら論じた評伝です。

    著者の目的は、おそらく井筒の言語哲学そのものを解明することに向けられていはいないように思います。その意味では、井筒の思想についてのコンパクトな解説を求める読者には、少し期待外れに感じられるかもしれません。

    著者のねらいはむしろ、宗教哲学者の諸井慶徳や漢字の研究で知られる白川静など、井筒と密接なつながりはなかったものの、何らかの意味で共鳴しあうような仕事をおこなっていた人物もとりあげることで、井筒俊彦という独創的な思想家の多面性をあざやかに描き出すことにあるのではないかと思います。アカデミシャンの仕事ではなく、批評家の立場から井筒という思想家をとらえる試みとしては、おもしろい本だと思いました。

著者プロフィール

1968年新潟県生まれ。批評家、随筆家。 慶應義塾大学文学部仏文科卒業。2007年「越知保夫とその時代 求道の文学」にて第14回三田文学新人賞評論部門当選、2016年『叡知の詩学 小林秀雄と井筒俊彦』(慶應義塾大学出版会)にて第2回西脇順三郎学術賞受賞、2018年『詩集 見えない涙』(亜紀書房)にて第33回詩歌文学館賞詩部門受賞、『小林秀雄 美しい花』(文藝春秋)にて第16回角川財団学芸賞、2019年に第16回蓮如賞受賞。
近著に、『ひとりだと感じたときあなたは探していた言葉に出会う』(亜紀書房)、『霧の彼方 須賀敦子』(集英社)、『光であることば』(小学館)、『藍色の福音』(講談社)、『読み終わらない本』(KADOKAWA)など。

「2023年 『詩集 ことばのきせき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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