- Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
- / ISBN・EAN: 9784766781939
感想・レビュー・書評
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内容は、”ロバスト設計とはどないなもんや”というものではなく、
いわば、田口さんがどのような過程でロバスト設計などを考案されたか という伝記もののイメージです。私なりに”ほっほ~”と思ったところだけ、以下に紹介します。
☆言葉の定義
・生産性の向上とは:一人一人の自由が増えること
・技術とは :自然界にないものを創造すること(技術者は創造主)、自然界にないものだからこそ、同じ機能のものをいろいろな方法で作ることができる。
・品質とは:「製品が出荷されてから社会に与える損失」である
・損失関数とは:品質水準を予測し、規格値の決め方に経済的な側面から根拠を与えたもの
・許容差設計とは:損失関数を使って品質とコストのバランスをはかる
・特性とは:市場では機能性の動特性を、工場では要求との比較である静特性を指す
・戦術(tactics):「どういう方法がもっとも効果的か」の最適方法を具体的に決めるのが戦術
・戦略(strategy):大規模、長期にわたる手段。
☆品質の定義
・「品質はコストより重要ではない」
・経済的なロスを生む最大の原因が「誤差(ばらつき)」である
・品質改善はすなわち「ばらつきの改善」である
☆発展してゆく企業とは・・・
最高指揮官の意図のままに一糸乱れず行動する組織や企業を私どもは信用しない。すべての人間が自発的に行動を決定している企業や組織のほうが競争や外部からの妨害に強い確実に発展してゆく企業である。”お互いに他人に与えた迷惑のつぐないに責任を持っているからこそ、他人の自由を認める、すなわち他人が自分に与えた迷惑を喜んで受け入れることができる”
企業が生き残る道は生産性の向上か、新しい産業の創造しかないとい
える社会生活の根底をなしているのが「信用」である。
☆設計のあり方
・技術を開発するためには基本的に自由がなければならない。今日の企業の多くは、技術者に多くの仕事を与え、結果的に行われるのは創造的技術の開発ではなく、要求通りのものを作るための製品開発となっている。
・開発技術の「生産性」を上げることは、間違いのない技術を早く出すこと。
・設計は自由であるが機能の評価には技術者の勝手を許さない。
☆工場での不良
工場での不良品とは、品質問題ではなく企業側のコストの問題である。図面で与えられている公差は検査のためであって、品質管理のためのものではない。
☆手法について
・タグチは実験計画法で正規分布を仮定しない
・SN比が3dBよければ、市場におけるトラブルが2分の1になる。
・機能を評価することは、実は機能性を総合的に測定することなのである。
その意味で測定が非常に重要である。
・交互作用がないとか主効果に比較して小さければ利得の推定値は正しいことになる。確認実験で求めた利得が予測値と一致するかどうかで再現性をチェックする。
・要因効果の加法性が成立しない(交互作用がある)ということは、特性値の研究が不十分。
☆品質管理部の任務
全く予想しないことから発生するのが品質問題であり、予測できない問題は技術では防ぐことができない。そうした予測できない問題を担当するのが品質管理部門の任務。
☆命の値段
命の値段=一人当たり国民所得×平均余命
☆安全設計
安全係数=√(消費者の平均損失/製品の価格)
※人命に影響する場合、価格に対して過剰品質といえるような安全係数が大きくなり、コストの上昇を招くものだという考え方があるが、必ずしも
そうではない。冗長設計などで最悪の事態を回避し、問題発生時の損失が修理費用だけで済むようにすれば安全係数を下げることができる。
機能する割合や信頼性の向上ではなく、機能しなかった時の損失を修理費用で済むように小さくする。重要なのはコストと品質をバランスさせることである。
☆60年代ベル研の品質保証部
当時の品質保証部の業務は生産された製品の最終段階の品質チェックや、使用中に起こっている種々のクレームへの対策や資料作りなどだった。そうした品質に関係する情報を集めて、重要問題については設計部門に回して対策を取らせるといった役割も担っていた。
そうした「後始末の仕事」が品質保証部の本来の役割とは思えなかった。「設計段階できちんと設計しなければ(機能の安定性、今でいうロバスト設計をしなければ)、トラブルはなかなかなくならない。設計をきちんとやるためには研究所の中の設計者を教育するのが本筋ではないか?」
☆研究開発
自分の設計に100%信頼がおけないので、実験、試作、テストをして
チェックしている。開発研究、設計研究で担当者が困っているのは試作、
実験、テストに時間と経費がかかること。
→市場で実際に使用する時に発生する品質問題を予測して、開発や設計の研究をしなければならない。 -
本を読んでいる際に何度か田口玄一さんとタグチメソッドの名前を聞き、実験計画法を学んでみようと思い立ったのが丁度1年くらい前。色々な本を読んでみるものの理解はいまひとつ。私は製造業じゃないので、当然の事ながら製造業のケーススタディを読んでもピンとは来なかったのが原因だと思う。
ならば、学ぶ角度を変えて田口さんがどういう経緯でタグチメソッドと呼ばれるものを作っていったのかを学んでみようと思い購入したのが本書。雑誌「経済界」にて田口氏本人が書いた自伝に近い連載。(生まれてからどういう職を転々としたのかまで描かれている。)基本的にその様な形で書かれており、それなりの成果を残して自分に自身を持っている人なので、個人的には殆ど気にならなかったけど、読む人によっては自信満々な感じが自慢に見えて鼻につくかもしれない。
内容は非常に役立った。連載モノだし各種技法についてそこまで突っ込んで書かれてはいないけれども、実験計画法、直交表、SN比、損失関数、MTSなど一通りの道具についての必要性とニュアンスはつかむ事が出来た。ここから発展して一度挫折した本に戻ってみようと思う。
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