カウンセリング・幻想と現実〈上巻〉理論と社会

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制作 : 日本社会臨床学会 
  • 現代書館 (2000年1月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (326ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784768434192

カウンセリング・幻想と現実〈上巻〉理論と社会の感想・レビュー・書評

  •  心理の資格化を巡って対立し心理臨床学会と袂を分かった日本社会臨床学会がカウンセリングの問題点を指摘する。

     カウンセリングによっての改善は問題の本質を外すスケープゴートの側面や管理の為の道具となっている問題があるのではないかと投げかけている。色んな分野の人が色んな思いを書いていてまとまりがなく、さすがに言い過ぎではと思われる文章も多い。しかし、カウンセリングそのものの問題点というのは確かに考えなければならない問題であると思う。
     心理の勉強をする人は必ず目を通してほしい一冊。まずその前に業界はちゃんとこういう意見に答えなければならないと思う。
     資格化を巡って二つに分かれてしまった学会だが、この本を読んでいるとそれぞれがブレーキを失い真逆の方向に強くいきすぎ、それがお互いにとって悪い方向に作用しているように思えてならない。
     

  • 上下まとめて書く。

    日本社会臨床学会は、日本臨床心理学会(臨床心理士の認定をしている)から90年代に分派して出来た学会。この本は、その日本社会臨床学会によって編まれたもので、主に、従来のカウンセリングを批判的に捉えなおすことを主眼としている。

    内容は多岐に渡る。ロジャーズ(カウンセリングの草分け的な人)、精神医療、勤労現場とカウンセリング、学習現場とカウンセリング、PTSD、フェミニズム、そして障害者同士のカウンセリングであるピア・カウンセリングなどである。

    論者もさまざまな立場の人が参加しているが、一貫して言えるのは、従来の密室でのカウンセリングに批判的だということだ。社会のせいでおかしくなったのに、個人の心の問題にすりかえられたり(たとえば学校現場での不登校など)、解放するはずが管理する側にまわったり(精神病院)、おかしくもないのにレッテル貼りをしたり(阪神淡路大震災後の被災者は病んではいないという。これは驚きだった)。いずれも、従来のカウンセリングがなんら社会を変える作用を果たしていないという点を批判している。

    経験的に、カウンセリングを長年受けた人として、納得できる部分がある。精神病院でのカウンセリングは、なんらぼくを変えてくれなかった。自発的に変わるらしいが、変わらなかった。ただ話を聞いてくれるだけだった。なにが治療になったのだろう。分析しかしてなかったのではないか。こう言うと、「抵抗」が強かったためと言われる。それでは、カウンセラーの力量は問われないのだろうか。「抵抗」を解きほぐしていくこともまた、カウンセリングの重大な仕事の一つではないのだろうか。特にぼくの場合、病気になった直接の引き金が職場だったため、職場が変わらなければいくら自分が適応しようと努力したところで無駄なのではないだろうか。まさに、この本で言われる、「カウンセリングは生産性至上主義の社会の維持に貢献している」である。結局、何回かの復職・休職を経て、ぼくはその会社を辞めた。会社の設置するメンタルヘルスの相談室も利用したが、無駄に終わった。その相談室は、まさにこの本で言われる、「会社に適応する人間を作り出そうとしてい」るからである。

    その後ぼくは精神障害者になった。「ピア・カウンセリング」には興味がある。この本では批判的に検討しているが、精神障害者同士、共依存にならずに、「指示する者ーされる者」にもならずに、ケアしあえる余地が残っているのではないだろうか。ただ、怖いのは共依存である。「ピア・カウンセリング」にそれを乗り越える方法論が示されてないかなー。機会があったら、勉強してみよう。

  • 「社会学の名著30」より「感情労働」について調べるため参考図書。2000年発行。
    上巻は
    第?部 カウンセリングの歴史と理論
    第?部 現代社会論とカウンセリング
    (下巻は「生活と臨床」医療・管理/子供・医者・学校/開放・自立、の具体的手法)

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