日本は勝てる戦争になぜ負けたのか

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著者 : 新野哲也
  • 光人社 (2007年7月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (231ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784769813569

日本は勝てる戦争になぜ負けたのかの感想・レビュー・書評

  • 昔から国力の差も考えずにアメリカに宣戦布告したのは無謀だったと多くの人が語り、私もそのように信じてきました。
    当時の原油や鉄鋼生産高を考えると当然だとは思うのですが、一方では、最後までアメリカと数々の戦いで互角以上の戦いをしたのは、最近になって映画や本で知るようになりました。

    この本も、戦争に直面した時の日本の実力の片鱗を見せてくれていますが、1944年までは一貫して、軍事関連に関する生産が増加していたのは驚きでした。当時は空軍が存在していないために、陸軍と海軍が別々に飛行機を開発、生産するなど、資源を有効に活用できていなかった点も多くあったようでした。

    一番の敗因は、戦争のプロに戦争の指揮を任せていなかったことのようですね。技術(戦術)も大事だけれど、戦略はもっと勝利を左右するものであると痛感しました。

    以下は気になったポイントです。

    ・ノモンハンの戦いでは、ソ連軍の機甲部隊の前に日本の歩兵が惨敗したと伝えられてきたが、ソ連崩壊後に公開されたロシア公文書館の資料によれば、ソ連軍の戦死者は日本軍以上、航空機・戦車の被害は日本の数倍以上で、「ソ連側の敗戦」と記されている(p10)

    ・日本が戦争に勝つには、1)支那戦線に深入りせずに満州を守る、2)南アジア解放後にインド洋制圧、3)日本領の南の島を要塞化する、であった(p11)

    ・戦後の日本人が戦争を振り返らないのは、日本兵が強く、立派に戦ったという事実を知らされていないから(p14)

    ・現在の霞ヶ関が、国家公務員試験1種合格組に独占されるように、戦時中は、薩長閥に代わって、海軍のハンモックナンバー一桁組、陸軍の賜刀組、高等文官試験パス組が、軍部の要職を独占した(p27)

    ・アジアに派遣をうちたてようとした大東亜戦争が、真珠湾攻撃によって太平洋戦争という側面を持ったため、あの戦争の正体がわからなくなった(p37)

    ・米英ソは蒋介石を傀儡にして、日本に戦争を売ったので、これに応じた戦争がシナ事変である、この戦争に巻き込まれたのが、真珠湾攻撃につぐ第二の失敗(p41)

    ・日本の軍隊は、陸軍と海軍、統制派(戦争指導部)と皇道派(前線将官)、国際派と民族派、条約派と艦隊派、大鑑巨砲派と航空母艦派等が、終戦まで憎悪を深めた(p42)

    ・海軍はインド洋の制海権を握っていたので、戦艦大和をインド洋へ送り、海上からカルカッタ、ボンベイを封鎖して、海岸線の英軍基地を砲撃すれば、英の陸海軍は無力化されたはず(p48)

    ・硫黄島で日本側が2万人も戦死したのは、負傷者・捕虜が数百人と少なく、万歳突撃や自決が多かったためで、アメリカ軍の7000人の戦死者、2.2万人の負傷者のほうが被害は大きかった(p59)

    ・わずか1万人の関東軍が短時間で全満州を占領できたのは、数十万の張学良の軍隊が弱かったからでなく、日本軍への満州人の支持があったから(p65)

    ・インパール作戦において、撤退をもとめる師団長をつぎつぎに罷免した牟田口は、敗色が濃くなると、部隊を残して非戦闘地区へ逃亡した(p79)

    ・日本は物量戦でアメリカに負けたことになっているが、レーダーの不備と暗号戦をのぞいて、どの海戦も物量で勝っていた(p89)

    ・山本五十六がやりたかったのは、艦載機が主体の航空母艦戦、自身が考案した魚雷戦法、やりたくなかったのは、ナチスと連携する西方戦略と、戦艦大和の実戦使用(p105)

    ・日本は開戦後わずか半年で、米英仏蘭のすべての南アジア地区の植民地を奪い、その軍隊は退却か捕虜となった(p113)

    ・当時の陸軍暗号解読力は、アメリカよりも高かった(イギリスが解読できたのは外交暗号と海軍暗号まで)、アメリカの解読力が上がったのは、イギリスからの指導を受けたのちである(p119)

    ・レーダーはもともと東北大学の八木教授が発明して実用化したものだったが、軍部は不採用(敵に居場所を知らせるようなもの)、特許庁と商工省は、特許申請を取り消した(p147)

    ・スターリンはヤルタ会談の席上で、北海道はソ連、本州はアメリカと中華民国、九州と四国はイギリスとフランスに割譲されるべしと述べた(p183)

    ・ルーズベルトは日本18都市への原爆投下命令書にサインしている、ドイツ空爆は工業施設のみだが、日本の都市空爆は民間人をターゲット(p190)

    ・終戦時に、海軍には戦艦1隻、空母4隻、駆逐艦・巡洋艦5隻、潜水艦40隻、特攻船艇3800隻、戦車隊(第1,4師団無傷)、飛行機は練習機含めて1万機あった(p211)

    ・戦後の日本で指導的地位に就いたのは、多くが、乙種丙種合格以下の、ひ弱な日本人(p216)

    2011/6/19作成

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