海軍大将米内光政正伝: 肝脳を国の未来に捧げ尽くした一軍人政治家の生涯

著者 :
  • 潮書房光人新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (443ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784769814191

作品紹介・あらすじ

日本敗戦時、自らの血圧260を超ゆるも国と天皇の要請に応え、日本陸軍の徹底抗戦に身命を賭して抗しつづけ、日本本土決戦を回避し、本土決戦時に想定された日米両軍の将兵、及び日本国民数百万人の生命と産とを守った希有な一軍人政治家の生涯。往時の秘書官が慈愛をこめて綴った一軍人の生涯。

感想・レビュー・書評

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  • 個人的メモ⇒陸軍を見ての教訓:『ゴネ得は絶対に防ぐ』

    p.29
    「席次は[...]いつも中位にあったが、米内は少しも焦らなかった。」
    p.34
    「政治の実権をにぎる一部の者の壇断が、国運の隆替にかかわる重大事を惹き起こす」
    p.36
    「約束すれば、雨が降ろうが槍が降ろうが実行する」
    p.43
    「無口で鷹揚で、部下に対してあまり小言を言わないが、本筋に関する重要なこととなると微塵も容赦しない。」
    p.48
    「口には出されないが、腹の中には一定の方針を持っておられ、その本旨に反しない限り、部下のやろうとするところは、自由にやらせていた。」
    p.52
    「上っ調子な議論に不快を感じていた[...]ときには、いつもの沈黙をやぶって、まるで驀進する機関車のように、真正面からぶつかって行く」
    p.54
    「ここぞと思うところは、上司の顔色など窺うことなく、ズケズケ言い放つ。」
    p.63
    「人間というものは、いついかなる場合でも、自分のめぐりあった境遇を、最も意義あらしめることが大切である」
    p.112
    「明治四十二年(一九〇九年)以来、アメリカを仮想敵国としてきたので、アメリカと、その兄弟国である英国を知ることは海軍士官の常識であった。」
    p.127
    「(陸軍に問題のあったのは)社会というものをほとんど知らないで、特別の環境の中で育つところに最大の欠点があったのではなかろうか。」
    p.146
    「人間は、覚悟がしっかりきまると、心にゆとりができるものらしい。」
    pp.270-1
    「鷹揚ななかにも細心、すべて大事なことは最初に明確にしておいて、後に疑義をのこさないようにする米内の性格が、ここにもよくあらわれている。」
    p.325
    「およそ総力戦において、無条件降伏を余儀なくさせるような原因は、国内の秩序がみだれ、革命への空気が醸成されるところから生まれやすい。その国内秩序のみだれを、もっとも深刻にするのは、食糧事情の悪化である。」
    p.377
    「公のものは絶対に私しない」
    p.416
    米内の遺訓―「実松、人間というのはネ、いつ、いかなる場合でも、自分のめぐりあわせた境遇を、もっとも意義あらしめることが大切だよ」

    失はれし政治に
    野村回顧録
    思い出の記
    私観太平洋戦争
    終戦の表情
    近衛文麿伝
    東郷日記
    情報天皇に達せず
    米内光政追想録

  • 副題は「肝脳を国の未来に捧げ尽くした一軍人政治家の生涯」。

    米内光政は盛岡生まれの海軍大将で、総理大臣も務め、太平洋戦争を終結に導いた偉人です。
    盛岡市にある先人記念館に、新渡戸稲造・金田一京介とともに偉業が伝えられています。

    ・・といっても、先人記念館に行くまで知らなかったのですが・・^^;。

    著者は実際に米内光政の下で秘書官として働いていた方です。
    米内ファンというか、ホントに敬愛されている様子が文章から伝わってきます。

    米内光政正伝とはなっていますが、満州事変から終戦までの激動の政治裏舞台といった感の物語が展開し、開戦派と避戦派そして継戦派と終戦派のせめぎ合いの様子が事細かに描写されていて、こんな政治の動きがあったのか・・とびっくり。
    米内ファンの著者の目を通しているせいもあるでしょうけど、陸軍の困ったちゃんぶりが際立ちます。

    米内光政、その人に関しては、温厚で清廉潔白、情勢を冷静に見る力もあり、人望も厚く・・と、今の日本にこんな政治家がいたらなぁ・・と^^;。

    米内光政に興味がある方はもちろん、日中戦争から太平洋戦争までの日本側の事情について知るのにもとっても良い本だと思います。

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