つなみ THE BIG WAVE

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制作 : 黒井 健  北面ジョーンズ和子  小林 直子  滝口 安子  谷 信代  弘中 啓子 
  • 径書房 (2005年2月25日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (106ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784770501905

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つなみ THE BIG WAVEの感想・レビュー・書評

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  • 山の斜面に住むキノと海辺に住むジヤは、よく海で遊びました。
    キノは波を見るのが好きでしたが、ジヤは海を恐れているようでした。
    キノがそのことを父親に話すと、山だって恐ろしいときがあるのだと教えてくれました。

    ある日、山が火を吹き、海にも異変がおきました。
    村の長老が、海辺の集落に危険を知らせましたが、多くの漁師たちが家とともに海にのみこまれてしまいました。

    ジヤは助かったのですが、あまりのショックで気を失ってしまいました。
    キノは、ジヤを見守ってあげることしかできません。

    幾度も自然災害にあいながら、自然をありのままに受け入れて生きている日本人を、外国人である著者が優しく見つめて描いています。

  • 大地」で有名なパールバックが日本に滞在していたころの津波の体験をもとに書いたという物語。

    自然の脅威に耐え、再び集い、根をはり生きていく人々の姿。
    それは、嫌が上でも3月11日後を思い起こさせます。
    書かれた60年以上前と今とで違うでしょうか?

    「生は死よりも強し」か。
    涙が止まらない。

  • 作品中には素敵な言葉が詰まっています
    キノの父親が味わいのあることばかり言うのです

    作者のパール・バックはノーベル文学賞も貰ったアメリカの作家ですが
    日本に滞在したこともあって、そのときの見聞をもとにこの話を書いたそうです
      「ノーベル賞文学全集第7巻/主婦の友社・刊」にも収められています
      図書館だとこちらを所蔵している確率が高いでしょう
      こちらの翻訳では
      ジヤとキノがそれぞれ次郎と久作と訳されていて
      丁寧に語りかけるような文章です
      最初に単行本を読んだからもあるでしょうが
      父親の語り口は、単行本のぶっきらぼうな方にむしろ愛情を感じました

    1947年に出版されたこの本は、アメリカでもロングセラーになっていて
    1960年には映画化もされたそうです

      東宝と共同制作で、津波のシーンは円谷プロが特撮担当だとか
      残念ながら一部で上映会がもたれた以外は日本未公開で
      伊丹十三さん、ジュディ・オングさんも出演していたらしい

    アメリカ人にとっては異文化の話でしょうが
    日本人のワタクシにとっては、心情的にうなづける部分がたくさんあります
    昨年の東日本大震災のみならず、これまで数多くの津波を経験し
    そのたびに立ち直って、再び海辺で暮らしてゆく
    そのときの日本人の死生観、再生への思いというものが
    愛情をこめて綴られていました

    いやはや、それにしてもキノの父親みたいな男に憧れます

    http://todomatsu.com/archives/2012/06/15/_the_big_wave.php

  • パール・S・バック
    はアタシが初めて読んだ『外国の本』
    『大地』の作者。

    新聞で、この『つなみ』
    が紹介されていて。
    もう、読みたくてたまらなかった。
    図書館に、その時はなかった・・・。
    ん、だけど・・・。

     パール・バックって。
     日本に住んでいたコトがあって。
     孤児を七人もひきとったって。
     新聞で初めて知ったコト。

    キノとジヤと。
    キノの家族のお話し。
    昔(当時)の日本の暮らしぶり
    作者にはすごく新鮮に映ったのでしょう。
    と、感じる。
     わらじを脱いで家に上がる。
     食事の準備時には誰もしゃべらない。

    静かに温かな目線で書かれております。

    キノは農村の子。
    ジヤは漁村・・・。
    そのジヤが「海は俺たちの敵だ。」
    と、教えられて育ち。
    そして、ジヤが一人ぼっちと、なり。
    キノの家族と暮らし始める。
    「おれ、海の方に窓を開けたんじゃ。~」

    たのもしく、明日へと続けてくれるお話し。

    震災後
    沁みてきます。
      

  • 「大地」で有名なパールバックの書。平易な文章だが「生は死よりも強し」という言葉が響く。この地に生まれたということは自然とともに生きるということか。あきらめに似ているけど、向き合い、備え、毎日こつこつ悔いなく生きよというメッセージが。

  • 本としての作り、装丁が美しい。それは内容を尊重するところから生まれているのだろう。

    内容は、日本が舞台だが、単に日本的なものではない。深く人間が掘り下げられている。

    自然の猛威は絶望的な力を及ぼす。家族とコミュニティを失い、そこからの蘇生は容易ではない。しかし、静かにケアする新しい家族の中で、徐々に蘇生していく様は、後光が差すようだ。

    生きるとは、死ぬとは、そして、生きるとは・・・。
    ヒューマニズムという言葉では薄っぺらだが、自然を呼吸して生きるしなやかな強さを持った人間観が描かれている名作である。

  • 79

  • 雲仙などを舞台とした作品です。

  • パールバックが60年以上前に日本に滞在した時に、日本人から聞いたとされる津波災害のストーリー。最後の翻訳者解説に、リスクとの向き合い方が西洋人のそれとは全く異なるとの記述。

  • http://www.youtube.com/watch?v=uiIbBiUnMxs

    Pearl S. Buck
    http://en.wikipedia.org/wiki/Pearl_S._Buck

    THE BIG WAVE
    http://en.wikipedia.org/wiki/The_Big_Wave

    『過ぎし愛へのかけ橋』河出書房新社

    P44「いや、いつか『生は死より強し』だ。ジヤが目を覚ましたら、あいつにはもう二度と幸せになれと思うだろうし、泣いて泣いて泣き続けるじゃろう。泣かせておいてやることじゃ。じゃが、いつまでも泣けるもんじゃない。二、三日にもすれば、泣き続けるのはやめて、時々しか泣かんようになる。じっと悲しそうに座って黙りこくっているようになる。そうっとしておいてやて、無理に話をさせるようあことはせんことじゃ。わしらはわしらで今までどおりに働いて暮らすんじゃ。そのうち、いつかジヤは腹をすかし、母ちゃんが腕をふるったごちそうを食べる。その時から気を持ち直すじゃろう。昼間はもう泣かんようになるだろうが、夜にはまだ泣くじゃろう。泣かせておいてやるんじゃ。じゃがな、泣いておる間にもジヤの体は日に日に活気を取り戻していく。血は脈打ち、骨は太り、頭は再び考え始め、元気を取り戻していく。」
    「ジヤが父ちゃんや、母ちゃんや、兄ちゃんのこと、わすれるわけがねえ!」キノは叫びました。
    「忘れられんじゃろうし、忘れちゃいかん。ジヤの父ちゃんたちは生きてた時とおなじように、死んでもジヤの中で生きとるんじゃ。いつかジヤはみんなが死んだということを、ジヤの一生の一部分として受け止める時が来る。その時にはもうめそめそせずに、みんなのことを思い出として心の中にとどめる。ジヤの血には、父ちゃん母ちゃん兄ちゃんの血が流れとる。ジヤが生きとる限り、ジヤの父ちゃんたちもジヤの中で生き続けるんじゃ。津波がやってきたが、もう、行ってしもうた。又お陽さんが照り、鳥が歌い、花が咲く。ほれ、海を見てみろ!」

    P46「いや、嵐のあとで海が穏やかになり、空が再び青くなるのは素晴らしいことじゃ。悪魔のような嵐をおこしたのは、海や空じゃねえ。」
    「じゃあ、何が…?」
    「ああ、誰にも何のせいかわからん。ただ、嵐が来るというのを死っとるだけじゃ。やって来る時にゃ精一杯生きぬかにゃならんし、嵐が去った後は、生きていることをありがたく思わにゃいけん。だから、嵐がくる前よりも、毎日毎日を一層大切に思うんじゃ。」

    P54「ああ。寝るのはジヤのためにええことじゃ。眠りゃあジヤは強うなる。目が覚めたら、考えたり思い出したりできるようになるじゃろう。」
    「けど、あんな悲しいこと、思い出さにゃあならんのか?」
    「ああ。自分から両親のことを思い出そうとした時こそ、ジヤはまた幸せになれるんじゃ。」

    P55「父ちゃん、日本で生まれて損したと思わんか?」
    「なんでそう思うんじゃ?」
    「家の後ろには火山があるし、前には海がある。その二つが悪いことしようと、地震や津波を起こしよる時にゃ、だれも何もできん。いつもたくさんの人をなくさにゃあいけん。」
    「危険の真っ只中で生きるってことはな、生きることがどんだけいいもんかわかるというもんじゃ。」
    「じゃが、危ない目に会って死んだらどうする?」
    「人は死に直面することでたくましくなるんじゃ。だから、わしらは死を恐れんのじゃ。死は珍しい事じゃないから恐れんのじゃ。ちょっとぐらい遅う死のうが、早う死のうが、大した違いはねえ。だがな、生きる限りはいさましく生きること、命を大事にすること、木や山や、そうじゃ、海でさえどれほど綺麗か分かること、仕事を楽しんですること、生きるための糧を生み出すんじゃからな。そういう意味では、わしら日本人は幸せじゃ。わしらは危険の中で生きとるから命を大事にするんじゃ。わしらは、死を恐れたりはせん。それは、死があって生があると分かっておるからじゃ。」
    「死って何?」
    「死とは大きな門のことじゃ」
    「門ーどこへの?」

    「生まれた時のことを思い出せるか?」
    「わしはよう覚えとる。おまえは生まれてくるのがつらそうじゃった。泣きわめいておったのう。」
    「生まれとうなかったんじゃろうか?」
    「そうじゃ」
    「おまえは母ちゃんのぬくうて暗い腹の中にずっとおりたかったようじゃ。じゃが、時が来て、命の門が開いたわけじゃ。」
    「おれ、命の門って知っとったん?」
    「いや、おまえは命の門のことを何も知らんかった。じゃが恐れていたんじゃ。馬鹿を見たろう。わしらは可愛いおまえが生まれるのを今日か明日香と待っておったんのに。生まれてからずっと幸せじゃろうが。」
    「津波が来るまではな。ー津波が来て、みんな死んでしもうたから、また怖くなった。」
    「おまえは、死について何も知らんから、恐れるんじゃ。じゃが、今日、なんで生まれるのを怖がったのかと不思議に思ったように、いつの日か、なんで死を恐れていたのかと思うようになる。」

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つなみ THE BIG WAVEの作品紹介

【2012.3/5から3/17まで、NHKラジオにて放送決定! 3.11を挟み、2週にわたって毎日15分、紺野美沙子さんの語りで放送されることになりました。NHKラジオ第2「朗読」平日9:45〜10:00(再放送・土22:25〜23:40)】
【2011.10.17(月)朝日新聞夕刊「こころ」欄の記事で、大きく紹介されました。】

津波で、家も家族も失った少年。その少年を暖かくつつみ、命に対する深い智恵と愛情をもって再生を助ける人々──。日本を舞台にして、ノーベル賞作家パール・バックが描いた死と再生の物語。
「大きな苦しみを背負ってしまった人を、どうしたら支えられるのか」という問いに対する明快な答えを、パール・バックがいま、時を越えて私たちに教えてくれる。
『ごんぎつね』の黒井健の、あたたかい、やわらかなイラストは、私たちの心にゆっくりとしみこみ、生きていることの喜びを静かに伝えてくれる。
死が身近でなくなったいま、私たちは大切な人を失って絶望に沈む人を癒す智恵を失いつつあるのかもしれない……。
【米国児童文学賞受賞作品】
Cheldren's Book Award(現在はJosette Frank Awardと改称)は困難を乗りこえて成長する若者を描いた文学的に価値の高い作品にあたえられます。

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