リリス

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制作 : 竹山 博英 
  • 晃洋書房 (2016年1月20日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784771026728

リリスの感想・レビュー・書評

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  • 1939年、ウーチには75万人の住民がいて、ポーランドで最も工業化が進み、最も近代的で最も醜い街だった。マンチェスターやビエッラのようにセインい産業で生きていた街で、数多くの大小の工場の存在に左右されていた。それらの多くが既に当時老朽化していたが、その大部分は数十年前にドイツ人やユダヤ人の産業家によって建てられたのだ。占領下の東ヨーロッパの、ある種の重要性を持つ都市がみなそうであったように、ナチスはウーチでもゲットーを作るのを急いだ。彼らは中世や反宗教改革の時代のゲットーの状況を復活させたが、それは彼らの現代の残忍性によって、より劣悪になっていた。ウーチのゲットーは1940年2月に開設されていて、時系列では最初のものだったが、実質的な人数ではワルシャワのゲットーに次いで2番目で、16万人以上のユダヤ人を抱えるようになり、1944年秋に解放された。ナチのゲットーの中では最も長命だったが、それには2つの理由がある。ドイツ人にとっての経済的重要性と、その議長の混乱をもたらす性格のためだった。その名はハイム・ルムコウスキといった。彼はかつてウーチのビロード工場の共同経営者だったが、倒産し、おそらく債権者と交渉するために何回かイギリスに行っていた。彼はユダヤの慈善事業の理事として有名であり、教養はないが、精力的で、権威的であることも知られていた。ゲットーの議長(あるいは長老)の職務は本来なら、恐怖に恐れおののくものだが、それでも職務であり、社会的な認知を伴い、一段位階をあげ、権威を付与した。ルムコウスキは権威を愛していた。彼は権力欲が強く、彼が議長職を務めた、あるいはより正確に言えば、独裁制を敷いた4年間は誇大妄想的夢、野蛮な活力、本当の外交的組織的能力の驚くべきもつれ合いだったことが証明されている。彼は自分自身を絶対的だが開明的な君主とみなすようになったが、それはもちろん彼の主人おドイツ人が、その方向にけしかけたからだ。
    1944年9月、ロシア軍の前線がその地域に近づいてきたので、ナチはウーチ・ゲットーの清算を開始した。ゲットーには1,000人ほどの男が、貴重な機械装置を分解し、役目を終わらせるために、そして虐殺の跡を消すために残っていた。彼らはその少しあとで、赤軍に解放された。

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リリスの作品紹介

ある極限状況下で人はいかにグロテスクに、あるいは高潔に振る舞うか。絶滅収容所から奇跡的に生還したイタリア系ユダヤ人プリーモ・レーヴィ。短編小説集の本邦初訳。作家レーヴィの想像力は絶望の過去を乗り越え、あり得ない未来の希望へと飛翔する。

リリスはこんな本です

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