サンタクロースの部屋: 子どもと本をめぐって

著者 :
  • こぐま社
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本棚登録 : 125
感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784772190015

感想・レビュー・書評

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  • どの章も私にとってとても勉強になったけれど、特に子どもの本をできるだけ当たり前に読むことを心掛けている、という部分が良かった。人の感想、書評を読んで自分の読みがひどく浅いものに感じたり、自分はよく理解しないで読んだのだと落ち込んだり。「読みが浅い」「理解できていない」「上っ面だけ」、そう思われるのを怖れる気持ちが心のどこかにある。
    そして最近は特にブクログやアマゾンレビューなど、他人の評価がひと目でわかるようなものがあると、自分なりの評価を、と思いつつもつい気になって見てしまうということもある。

    人の評価に左右されず、自分の感性で判断する、本を評価するように心がけたい。

  • ◆きっかけ
    こぐま社の2017年クリスマスフェアの案内の中で、
    ひぐちみちこさんが「この本は私の育児書だった。人の成長には何が必要で、それはどう養われていくのかが、子どもの本をキーワードに掘り下げて書かれていました。私が知りたかったのはこういうことだつ、何度も思いました。」と紹介していて気になって。む図なし、い図あり。2017/11/10
    ◆感想
    い図。本書が出版されたのは1978年であり、40年も前のこと。本の中で筆者は図書館の普及を願っているが、今や図書館はどの町にもある身近な存在になっている。(今回読んだのは2011年発行の版だが、p50に「※この文章が書かれたのは一九七十年代の初めで、それ以降、日本の公立図書館は大きく変わった。児童に対するサービスは定着し、ここに記した不満のほとんどは解消したと思われる。」と記されていた。)
    私の出身地も、私が小学生の時に公民館の一室だけだった図書館が、新築の大きな図書館に移転して、蔵書がぐんと増えて、ワクワクしたのを今でも覚えている。大人になって色々な県に住んだけれど、どこも図書館があり、読書には事欠かなかった。町によっては他の図書館と連携して貸し出してくれるサービスもあったり、図書以外のサービスとも連携していたりと、それぞれ工夫が凝らされている。筆者のような方々が、地道に活動してくれたからこその恩恵なのだなと、あらためて感謝。
    子どもの本への反応について、昔より希薄なものになっている、それはテレビの影響が大きいと訴えている。1970年代の時点の話。今の子どもや、私たちの世代を見て、筆者はどう感じるのだろう。おそらく読書や観劇、音楽や絵画、文化活動への親しみ等、1970年代より現在の方がかなり充実しているし、子どもたちに親しんでもらおうという企画も充実していると思う。そしてそこに来る子どもたちの反応も多様で、活き活きしているように見える。きっと筆者が訴えてきたことは世間に大いに広まって、私も含めきっと多くの人が、子どもに感受性豊かに育って欲しいと願っている。
    昨年の夏、同著者2015年出版の『子どもと本』を読んだけど、現在の子どもに対する見解、何て書いてあったっけな、思い出せない…。


    p18のユーモアのセンスについてのくだりを読んで感じたこと。社会人になり、この「ユーモアのセンス」の大切さを、どんどん感じるようになった。ユーモアのセンスが良い人は、概して仕事ができる。早い。頭がきれる。柔軟。物腰やわらか。そして周りを巻き込んで、かつ円滑に物事を進める。恐らくかなりの量の仕事を進めていて努力もかなりされているのに、必死さを周りに感じさせないゆとりの空気。自分には大いに足りていないものだとひしひしと感じた。娘らの生きる時代は、ますますそういった力が必要になるだろうし、むしろそういったところにこそAIでは補えない人間の力が活かされるだろう。ユーモアのセンス、様々な経験や読書、人間関係から、磨いていって欲しい。親であるわたしも、その必要性に気づいて10年弱、周りの人や…から学び取ろうとしているものの、いまいち頑固な部分が拭いきれないでいる。子育てしながら、わたしも成長していきたい。

    2018/2/1

  • 2017.1月。
    子どもと本と言葉について、とてもわかりやすく書かれていて、とても勉強になる。根っこの部分にしっかり入れておきたいことばかり。今の何でも過剰に溢れている時代は、子どもが子どもらしくいられるように、大人がしっかり気をつけてないといけない。本物の言葉と経験を。本物のコミュニケーションを。豊かな物語を。豊かな心と人生を。

  • 海外で児童図書を学び、実際の経験から「子どもと本」をわかりやすく 教えてくれています。

    自分と重ね合わせて 納得のいく、そして心にとどめたい1冊でした。
    職場の子たちにも勧めたいです。

  • 配架場所:1F電動書架A
    請求記号:019.5||Ma 86
    資料ID:W0139096

  • 児童サービスの基本図書とのことで、図書館で借りた。

    新聞や雑誌に掲載され、講演された、子どもと本と読書と図書館に関するはなし。

    ・ユーモアのセンスを育てる
    ・本は特効薬ではない
    ・「絵本の字の部分は、原則として(傍点付)、おとなが読んでやるもの」
    ・絵本の評価はたのしみ(pleasure)、よいストーリー(「子どもたちの興味や理解能力から離れないところで、ひとつの課題が示され、それが導き手となって、ものごとが秩序だって、首尾一貫して進展していき、満足のいく形で解決するストーリー」)
    ・単純かつ素朴に読むこと
    ・①子どもたちのまわりに静けさをとりもどす、②ことばに対する飢えをとりもどす、③おとなが話しかけることばもできるだけ節約する、④できるだけ実生活の体験をさせてやる、⑤お話をしてやる

    勉強になります。
    やっぱり、よめることとわかることは違う。
    ことばはそれまでの経験と結びつく。
    響くことばは、語り手のなかにあり、子どものなかにもあることば。
    音楽と似ている。

  • 勉強用。

  • 心の中にひとたびサンタクロースを住まわせた子は、心の中にサンタクロースを収容する空間を作り上げている。沢山の不思議の住める空間をたっぷりとってやりたい。これは子ども相手の図書館員さんに読んで欲しい本。

  • サンタクロースを信じることのできるのは子どもの頃のわずかな時期。その時にサンタさんを信じることができることが、その後のその子の目に見えない世界を信じる力『想像力』に関わっていく・・・。と著者は冒頭で述べている。なるほど!である。サンタクロースを信じる貴重なこの時期に、親としてこのタイミングをのがさず、絵本からゆくゆくは読書につながる役目を考える本として、今の時代にも十分説得力を感じる。

  • サンタクロースを信じるという経験によって、その子は目に見えないものを信じるという心を養う。

    何度でも読み返したい一冊

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著者プロフィール

兵庫県神戸市生まれ。大学卒業後、渡米。ウェスタンミシガン大学大学院で児童図書館学を学んだ後、ボルチモアの公共図書館に勤める。帰国後、子どもの本の普及に努め翻訳、創作など多方面で活躍。

「2015年 『新・小学校国語の教科書に出てくる読み物セット 全11巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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