シングル・セッション・セラピー

著者 : モーシィ・タルモン 青木安輝

• 金剛出版 (2001年11月1日発売)

感想・レビュー・書評

[勝沼 悠さんの感想 · 2012年1月1日]

　初回面接のみで姿を見せなくなるClが、実はドロップアウトではなく1回の面接で改善しているとしたら...　作者達はドロップアウトした元Cl達を調査し、そこから初回のみの面接でも効果が出るシングルセッションセラピー（SST）を構想する。

　この本ではSSTになり得る面接はどの様にして行うべきか、どのような点が重要かを事例を交えて説明している。
　SST論の最も重要な視点はClの成長力を信じセラピー自体の成果は小さなものと考えることにあるのだと思う。だからこそ大がかりなアプローチを考えるのではなく、初回からでも小さなアプローチをしていくことができる。最も有効なセラピーはセラピストが目立たないものだったという言葉には納得。

　理論ありきではなく結果から理論を考える姿勢に感服。
　意見が分かれる部分も多いと思うが、カウンセリングについての固定観念を再考させてくれる良書。