プルーストとイカ―読書は脳をどのように変えるのか?

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制作 : 小松 淳子 
  • インターシフト (2008年10月2日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784772695138

プルーストとイカ―読書は脳をどのように変えるのか?の感想・レビュー・書評

  •  「書かれた言葉」と「語られた言葉」の脳に与える影響力とその重要性の違いについての解説があり、それが現代のネット社会においてはどのような意味合いを持つか、について論じられている。
     特に気になったのは「指導なくして与えられた情報は『知識』ではない」ということ。本来の知識は面倒な選択を経て最終的に得られるものであり、その過程における思考も理解のためには避けられない。秒単位で得られるネットからの情報はそういった過程をあっさりと省き、思考の浅薄化を促進しかねない、ということ。

  • 本読みには、堪らなく面白い一冊。読字は、脳のどの領域を賦活させるか。それは、中国語や日本語、アルファベットでも異なる。読字能力というのは後天的に習得されるもので、文字の生誕以降、人類の歴史は飛躍する。

    後半、ディスレクシアに著述の大半を割いたのは、同障害を抱える息子への励ましか。少しくどい。サヴァン症候群が見せるように、一部脳の欠損があれば、脳の他の領域が、通常以上に働き、補う。ディスレクシアでは右脳域だが、優れた芸術家が多数存在する。脳の可塑性には、驚かされる。しかし、では、通常のバランスを保つ脳であっても、一部領域に過負荷をかける事で、天才を創る事が可能だろうか。加圧トレーニングのように。そんな所に興味の向きが逸れた。

    ソクラテスの読字への警鐘についても、触れる。ソクラテスの杞憂は、彼の時代よりも、不安視するなら、ネット社会である、今でしょ。と著者は、言っている。ソクラテスの懸念は、一部、ショーペンハウエルの発言とも重なる。自らの思考を奪い、盲目的に書物に従うならば、確かに危険だ。至近の、論文コピペ問題にも通ずる。論文や教科書を盲目的に信じ切るのは、確かに危険だ。表現の自由が担保されず、未熟な倫理観の時代ならば尚のこと。

    さて、読む事は、疑似体験を齎し、新たな回路を形成、あるいは、強化する。従い、真理に近づくためには、負荷を感じる位に、読みまくるべきなんだというのが、この本を読んだ結論だ。

  • 人類がいかにして文字というツールを獲得し、どのように脳を機能させて文字を活用し、理解に役立ててきているのか、読字障害、ディスクレシア患者の症例などを通し、生誕後に読むという能力をいかに獲得していくのかがまとめられています。

    文字の歴史の話、脳の機能の話などは専門的にも思えますし、興味のない人には退屈かもしれません。しかし全体的には読むという極めて普遍的な行為をいかに発展させてきているのかを具体的な事例とともに説明がなされています。
    やはり多くの事例がとても興味深く、この本の内容を際立たせていると思います。
    言語によって使う脳の部分が異なる、ソクラテスが文字による教育を避けた理由と、現代にまで通ずるその懸念、ディスクレシアである著者の息子の独自の空間把握能力など、とても興味深い話ばかりです。

    自分自身がリテラシーの中に溺れていないか、ということを省みようと思います。
    幼児から初等教育に関わる人、そしてすべての親に、子どもが本を読むことの重要性を知る上でも、ディスクレシアに対して正しい理解を行うためにも、読む価値がある一冊だと思います。

  •  読字によって、現実と本の世界というパラレル・ワールドを持つことができること。そのため、孤独を感じることがなかったという筆者の幼少期の思い出話に共感する所が多かった。
     本書の構成は、文字の起源から、シュメール人の読字指導法、ディスクレシアという普通とは異なる編成の脳についてなど、興味深い内容ばかり。ここで挙げられたディスクレシアは、1つの具体例であり、人間の多様性、潜在能力について今一度、問いかける本であったように思う。また、ディスクレシアの息子を持つ筆者の探求書であるため、疑問に思う部分が余すところなく拾われていた。
     単語の意味、形成されている文字が世界のどの部分を指しているのかを認識することは、自分自身の役割を社会の中で見つけていく作業に似ている。そう考えると、「読む」という行為が自分の考えの投影というのも頷ける。他人の思考を知るのに、こんなにも素晴らしい道具は他にない。
     そして、熟考するという、一見退屈な行為の積み重ねの先にあるものを求めて、”流暢な解読者から、戦略的な読み手”へ。

  • 人類が文字を習得した歴史と、子供が文字を読めるようになるプロセスと、ディスレクシア(読字障害)の話。人類が2000年かけて身につけた文字を、子供は2000日で身につける。

    文字の発明
     シンボルによって何かを指し示す
     シンボルを体系化する
     音とシンボルを対応させる

    シュメール人
     6~7年の特訓で文字を学ぶ
     音や意味で文字を分類
     (エジプトの文字は各方向が決まっていなかったが、シュメール人は、左から右、次の段は右から左、次は左から右、とつづら折りのように書いていたらしい)

    インカ文明
     結縄による記法
     スペイン人が焼却(野蛮だなぁ)

    ソクラテス
     口語と文語は違う
     文語は死んだ言葉、柔軟性に欠ける。記憶を破壊する。知識を使いこなす能力を失わせる。


    子供
     5歳までに、よみきかせの経験によって3200万語の差が生まれている。
     読み聞かせと、文字の音読の経験が文字の習得に大事

    読み手の能力レベル
     文字が読めない
     読字初心者
     解読に取り組む読み手
     流暢に読解する読み手
     熟達した読み手
     (文字が読めても流暢に読めない人はいる)

    ディスレクシア
     読字に支障(米国の15%、日本でも3%前後いるらしい)
     そもそも脳は文字を読むためにできたわけではない
     複雑な要因、多様な症状
     脳そのものの障害、知覚以前での支障
     エジソン、ダ・ヴィンチ、アインシュタイン、ピカソ、ジョニー・デップ、ガウディ。。。みんなディスレクシア
     空間把握能力に長けていたりする事が多い
     が、多くの場合幼少時にスポイルされてしまう
     才能の無駄

    泳ぐのが先天的に苦手なイカも存在し、生き延びてきている。ディスレクシアも、読字にはむかないが才能がある。長所を活かし合えるような社会を。

  • 脳科学に関する本というか、自然科学系で比較的最近書かれた本としては、とても評価の高い本のようである。

    これは、なんだ?という衝撃のタイトルが気になっていたが、ようやく読んでみた。

    内容として、この問題を延々と論じているわけではない。残念ながら・・・?

    副題のように、言語、読字、さらには読書がいかに脳を変えて行くかという話しで、これは喩えではなくて、本当に言葉で脳が変って行くという事が、とても説得力をもって論じられて行く。

    これは、能のイメージングの技術が進歩したためで、字を読むときに脳が活性化する領域の変化が、ミリ秒単位で示されて行く。そして、言語の種類による違いなどなど。

    文字を読むという能力は、もともと遺伝子にはないわけで、脳が発達の段階で、既存のいろいろな機能を組み合わせ、リンクさせながら、読字能力を発達させていく、らしい。

    脳、それから生命の柔軟性に改めて感銘をうける。

    それにしても、外国の自然科学者というのは、どうしてこんなに自分の専門領域外の文学やら哲学にもこんなに博識なんだろうね???

    それこそ、読書する脳の構造がちがうんじゃなかろうか、と思う。

  • 原題:Proust and the squid : The STORY and SCIENCE of the READING BRAIN
    著者:Maryanne Wolf(認知神経科学、発達心理学、ディスレクシア研究)
    翻訳:小松淳子


    【版元の内容紹介】
     〈文字・読書は、脳を劇的に変える!〉
     古代の文字を読む脳から 、ネットの文字を読む脳まで、ディスレクシア(読字障害)から 、読書の達人まで、脳科学 x 心理学 x 教育学 x 言語学 x 文学 x 考古学 をめぐり、解き明かす。

    ::主な内容:: 
    ・古代の文字は、どのように脳を変えたのか?
    ・脳は成長につれて、どのように読み方を学ぶのか?
    ・熟達した読み手の脳とは?
    ・ネット・リテラシーの進展によって、何が失われるのか?
    ・ディスレクシアの4つの原因と早期発見の方法・最新教育とは?
    ・英語・外国語はいつから、どのように教えるべきか?
    ・日本語脳・英語脳・中国語脳の違いとは?
    ・優れた業績により数々の賞を受賞した著者が、その卓抜な成果を凝縮させた1冊!
    http://www.intershift.jp/book_P_w.html



    【目次】
    目次 [001-008]
    はじめに [010-013]
    献辞 [014]

    Part I 脳はどのようにして読み方を学んだか? 015
    第1章 プルーストとイカに学ぶ 016
    文字を読む脳とニューロンのリサイクリング 016
    口承の文化から文字の文化へ、文字の文化から新たな文化へ 037
    読み方を学ぶ幼い脳――生後五年間の環境が将来を左右する 038
    ディスレクシア(読字障害)と情報インテラシー 041

    第2章 古代の文字はどのように脳を変えたのか? 045
    “読むこと”の始まり 046
    人類が初めて口にした言葉? 048
    文字の起源――シンボルと認知の飛躍的向上 049
    楔形文字――ロゴシラバリーの登場と脳内回路の拡張 055
    現代の最先端を既に実践していたシュメールの読字教育 062
    シュメール語からアッカド語へ 067
    ヒエログリフが育んだ活発な脳 072
    竜骨・亀甲・結縄――他の古代書記体系に見られる興味深いサイン 076

    第3章 アルファベットの誕生とソクラテスの主張 082
    初期アルファベットとその特徴 082
    アルファベットの成り立ち 087
    アルファベットを読む脳は、優れているのか? 095
    ソクラテスはなぜ書き言葉の普及を非難したのか 109


    Part II 脳は成長につれてどのように読み方を学ぶか? 123
    第4章 読字の発達の始まり――それとも、始まらない? 124
    小児期を分ける二つのシナリオ 124
    第一のシナリオ――早期リテラシーの大切さ 126
    第二のシナリオ――恵まれない読字環境 154

    第5章 子どもの読み方の発達史――脳領域の新たな接続 163
    私の“マドレーヌ”を探して 164
    文字を読む発達のプロセス――それは奇跡のような物語 165
    読字発達にかかわる五つのタイプ 172
    まだ文字を読めない子ども 174
    読字初心者の段階 175
    “解読に取り組んでいる読み手”の段階 192

    第6章 熟達した読み手の脳 204
    アメリカの子どもの四〇パーセントは“学習不振児” 205
    “流暢な解読者”から“戦略的な読み手”へ 207
    熟達した読み手の脳とは? 218


    Part III 脳が読み方を学習できない場合 245
    第7章 ディスレクシア(読字障害)のジグソーパズル 246
    ディスレクシアを見直す 247
    ディスレクシアになる四つの原因 250
    遺伝子原因説の検討 281
    ディスレクシアの歴史からわかること 283

    第8章 遺伝子と才能とディスレクシア 291
    エジソン、ダ・ヴィンチ、アインシュタインもディスレクシアだった 2 92
    複数の遺伝子座の関与 302

    第9章 結論――文字を読む脳から“来るべきもの”へ 311
    “より多く、より速い”はよいことか? 312
    オンライン・リテラシーの進展によって何が失われるのか? 316
    知的潜在能力を伸ばせているか? 325
    “超越して思考する時間”という贈り物 331
    読者へ――最後に考えていただきたいこと 337

    謝辞 [338-344]
    転載の許諾 [21-23]
    注・参考文献 [1-20]
    解説(本書出版プロデューサー 真柴隆弘) [370-377]

  • なるほど、読み聞かせには挿絵が入っていることが肝心か。と子育て指南書のように読んだところで挫折。積む。

  • 非常に示唆に富んだ1冊。久しぶりに面白かった。

  • <目次>
    PART1 脳はどのようにして読み方を学んだか?
     第1章 プルーストとイカに学ぶ
     第2章 古代の文字はどのように脳を変えたのか?
     第3章 アルファベットの誕生とソクラテスの主張
    PART2 脳は成長につれてどのように読み方を学ぶか?
     第4章 読字の発達の始まり~それとも、始まらない?
     第5章 子どもの読み方の発達史~脳領域の新たな接続
     第6章 熟達した読み手の脳
    PART3 脳が読み方を学習できない場合
     第7章 ディスレクシア(読字障害)のジグゾーパズル
     第8章 遺伝子と才能とディスレクシア
     第9章 結論~文字を読む脳から”来るべきもの”へ

    <内容>
    「読書」に惹かれて読んだが、難しかった。前半の文字の発明と読字に関する脳の発達の歴史。後半は「ディスレクシア(読字障害)」に関する話。著者の息子がこの障害だったことから、彼女は読字障害に関する研究を進め、脳機能の問題から文字の歴史まで考えが及んでいったものと考えられる。
    教育の立場からだと、「ディスレクシア」は何となく知っていたが、その障害は一筋縄でいかないこと(つまり、処方箋が簡単ではないこと)。難しい見極めと対策(小学生以上では)難しいことが分かった(ないわけではない)。また、日本語は漢字と仮名があるので、英語や中国語とは違う脳の使い方をしていること。ソクラテスの悩み(口承から文字化が始まった時期に生きていた)は、現在のアナログからデジタルに移行している時代の我々(アナログ派)の悩みと似ていること(人間は考えなくなるのではないか?という悩み)。気づいたことは多かった。
    逗子市立図書館

  • タイトルと内容が一致しない本の例として挙げられることのある本書。内容はプルーストについてでも、イカについてでもありません。NDCでは801、言語学の棚に置かれています。
    文字の誕生が人間の脳に与えた影響、子供はどのように読むことを学ぶのか、そして著者の専門であるディスレクシア(読字障害)など、文字と読書と脳の関係が、本書のテーマとなっています。
    ソクラテスは書き言葉は「死んだ言葉」であり、「生きている言葉」である話し言葉よりも劣ったものであると主張しました。
    著者はこの警告を現代でも通用するものとして捉え、「私たちは古代ギリシャ人と同じように、非常に重大な移行に踏み切った。ただし、文字文化から、よりデジタルで視覚的な文化への移行である。」(p.110)と述べています。
    手元の端末から世界中のあらゆる情報にアクセスできる現代では、記憶することの重要性がしばしば疑問視されます。果たしてこれは進化か、それとも退化か?そんなことを考えさせられる一冊です。
    (ラーニング・アドバイザー/図情 KOMINAMI)

    ▼筑波大学附属図書館の所蔵情報はこちら
    http://www.tulips.tsukuba.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=1335208

  • 脳に由来する読字障害であるディスレクシアを研究する発達心理学者、メアリアン・ウルフによる読書についての心理学・神経学的な考察の書。
    そもそも、文字を読むための遺伝子など存在しないわけで、読むという行為がどのようにして可能になるのか。楔形文字の発明からアルファベットへ、そして日本語の読み手の研究も少しですが紹介されています。そして文明的な条件とともに、幼児期の読み聞かせ体験から読書するための脳の編成が少しずつ準備されていきます。普段、なにげなく読書している私たちですが、何千年もの準備が必要だったと考えるとまるで奇跡のよう。

    インターネットの急速な普及により、書物は淘汰され、もしかしたら私たちが読書をする最後の世代になるかもしれません。たしかに情報摂取だけなら、ウェブで検索した方がずっと効率がいいと思います。しかし、本書でも指摘されているとおり、読書はたんなる情報摂取ではありません。物語の登場人物に共感したり、著者の思考プロセスを検証し批判的に考えたり…、速さの求められる時代にこの寄り道はちょっと悠長ですが、それこそ読書の醍醐味でしょう。なるべく寄り道を楽しめる心にゆとりのある人生を送りたいものです。

    そして、忘れてはいけないのが読字障害で授業についていけない子どもたちが多数いるということ。そもそも脳の構造の違いのために読むことが難しいのに、それを努力のせいにされる子どもたち、日本にも多く潜在しているのではないでしょうか。もっと認知度を高めてゆくべきですね。

  • 801.04-ウル 300388725

  • [ 内容 ]
    〈文字・読書は、脳を劇的に変える!〉
    古代の文字を読む脳から、ネットの文字を読む脳まで、ディスレクシア(読み書き障害)から、読書の達人まで、脳科学 x心理学 x教育学 x言語学 x文学x考古学をめぐり、解き明かす。

    [ 目次 ]
    ●主な内容
    ・古代の文字は、どのように脳を変えたのか?
    ・脳は成長につれて、どのように読み方を学ぶのか?
    ・熟達した読み手の脳とは?
    ・オンライン・リテラシーの進展によって、何が失われるのか?
    ・ディスレクシアの4つの原因と早期発見の方法・最新教育とは?
    ・英語・外国語はいつから、どのように教えるべきか?
    ・日本語脳・英語脳・中国語脳の違いとは?

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 2014 10/7パワー・ブラウジング。
    図書・図書館史授業用に購入した本。
    こちらも中身についてのメモを大学に忘れてきたので、レビューは後で書く。

  • 少しばかり直感に反するが、脳には言語を処理するためのレディメイドの回路というものが予め備わっているわけではないのだそうだ。従って文字を読むためには、聴覚や視覚等他の用途の為に設えられた既存の回路を配線し直して、新たに言語を処理する専門領域を脳内に割り当てなければならない。一旦このプロセスが完了してしまえばこの領域は自動性を獲得して効率よく文字情報を処理し、他のより高度な分析や思考に費やすべき労力と時間を節約してくれる。だが見方を変えれば、我々は読字の際にわざわざ脳内回路を再編成するという「廻り道」をしているともいえ、これが成熟という人生経験がもたらす影響と相俟って読書という行為に深みを与え、著者の意図を超えた思考に読者を導くのだという。

    本書では、幼児の脳がこの言語回路を獲得する個体内のプロセスが、シュメール人の楔形文字に端を発する人類全体の読字の歴史とオーバーラップする形で解説されており、現代から古代を俯瞰する遠近感の演出が何とも心憎い。ただソクラテスの抱いた書き言葉に対する懸念を、現代のオンライン・リテラシーに単純にスライド適用することについては反論も多かろうと思うが。

    また、各語で異なる書字体系のシンプルさの度合いが、認知の効率性を高め記憶のための労力を低減するという点で思考力に影響を与えているというのは面白かった。日本語は表語文字(漢字)と表音文字(仮名)を併用する、世界でも稀に見る複雑さを備えた文字体系だということだが、すると我々日本人の脳は複雑な文字処理に労力を費やしてしまい、思考力が弱いということになってしまう…かと思いきや、仮名の持つ音節の規則性がこれを補い、我々は抽象的思考を司る前頭前野に過度なストレスをかけずに文字を処理できるのだそうだ。何とも脳というのはうまくできているというか、一筋縄ではいかないものなのだなと思った。

    しかし読み聞かせというのはそんなに子供の脳に影響を与えるものか。個人的な話だがうちの子供達について言えば読み聞かせを散々した上の子がその後殆ど読書をせず、逆にほったらかしておいた下の子は暇さえあれば本ばかり読んで勉強も得意という状況なのだが…。まあ読み聞かせだけがキーエレメントではないということか。

    後半のディスレキシアの器質面の解説も読み応え十分。なお題名は二語それぞれが本書の二つのメインテーマを端的に抽象しており、なかなか秀逸だと思う(が、日本語にすると間が抜けた印象)。

  • 文字を認識して文を読むというのは、脳が本来持っている機能では対応できないので…ということをめぐるもろもろ。ディスクレシア(読字障害)に対する姿勢も前面に出されている。
    おもしろくなったり難しくて立ち止まったりしつつでちょっと苦労、消化率はそう高くないけれど概略の話はおもしろかった。
    副題に含まれる「読書」は、巻末の解説で「読字」から変えたと書かれており、たしかに「読書」に関する話と言えるけれど、印象としては「読字」に近いかな。というか、「読書」から連想される内容とは違う。
    プルーストもイカもちょっとしか登場しない。「ソクラテスとインターネット」の方がまだ近かったかも(と書いたものの、内容をよくよく考えると根底にはプルーストとイカの両方が関係していますね)。
    翻訳は、この分野に十分な知識のある方による感じがするけれど、「リテラシー」は今の日本だと「コンピューター・リテラシー」などと使われているので、注釈なしでいきなり使われると意味がわかりにくいとか、英語では平易な単語でも日本語ではゴツイので初出時に解説ほしいなとか、語順を変えた方が修飾関係がわかりやすいなとか、単語の使い方としてちょっと疑問とか、ときどき気になった。

  • 現在の人間の脳と四万年前の文字を持っていなかった人間の脳に、構造的な相違はほとんどない。脳には読字専用の遺伝子も無ければ、生物学的構造も存在しない。

    文字を読むことは脳全体の再編成につながる。脳の各部位の働きが適切に接続されてはじめて文字が読めるというのが、読字のメカニズムのようだ。

    ディスレクシアは、脳のある部位の構造物の欠陥、処理速度の不足、そして構造物間の回路接続のいずれかによって起こる。ディスレクシアは脳の障害と断定してはいけない。文字が上手に認識できないだけのことである。ディスレクシアは、脳がそもそも文字を読むように配線されいなかったことを示す最もよい、最も分かり易い証拠である。

    ディスレクシアの三大有名人は、トーマス・エジソン、レオナルド・ダビンチ、アルベト・アインシュタイン。
    アントニオ・ガウディやジョニー・デップもデクレシアのようだ。

    文字を読むということは、文字を認識してから理科するまでの時間が必要とされる。このわずか数百ミリ秒の時間に、熟考することが、読字の最大のメリットだと言っている。

  • 非常に丁寧に数多くの研究に言及し、日本語と脳に関連する面白い内容のものもあったが、やや専門的というか、一般向けとしては読者を選ぶのではないかと思った
    この分野に興味がある方には非常に素晴らしい本であることは間違いないのですが

  • fMRI万能期の著書なので脳科学部分はかなり割り引く必要がある。
    英語の細かな音節や難読症に関する考察も著者のこだわりは見えるが普遍性としてはあまり感じない。
    それ以外の部分で、割合は多くないが、比較言語学に関する考察は面白い。私達は日本語の特殊性をもっと誇りに感じても良い。
    英語を学ぶのは良いですが、日本語を捨てちゃダメですよ。
    ソクラテスが書き文字の権威化に警鐘を鳴らしているのは興味深い。年寄りが新しいテクノロジー(書き文字)に拒否反応を示していると取れなくもないが。

  • ディスレクシアと、文字を読む事の大切とのつながりがよく分からなかった。かなり省いてしまった部分がある。もう一度読み直したい

  • それほど面白くなかった。僕たちの経験からしてもいわば常識的なことが脳科学を使って書かれているだけ。だが、英語・中国語・日本語で脳の使う部分が異なるなど、幾つかの指摘は面白かった。私たちの身体は言語によって形作られているのかもしれない。もちろん、身体の要求が言語、特に言葉のリズムを作るものでもあるが。

  • 文字の出来方からそれを認識するするためにヒトの脳の仕組みがどう造らたかが書かれてる。もともとヒトの脳は字を読むように造られていなかった。アリストテレスが口頭問答での学びを尊び文字に残すことに反対してた理由も。過去に僕が読んだ本で間違いなく1番難しかったのはこれ。

  • 難しかったけど、面白かったです。

  • 文字を読む、読者をする事で脳に与える好影響。
    他者意識の視野を体験。
    イマジネーションの強化。
    読字による情報処理能力の向上。

    アルファベットは、言語音韻の効率的な表現に適していた。

    ソクラテス自身は一語も書き残さなかった。 死んだ言葉である、文字伝達より、生きた言葉の口承伝達に重きを置いた。(ディベートによる真実追求にそぐわない)

    ディスクレシア(読字障害者)の持つ、特異な感受性。 右脳が通常より発達する事で、左脳の情報処理能力が損なわれる。

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