人間と動物の病気を一緒にみる : 医療を変える汎動物学の発想

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  • Amazon.co.jp ・本 (408ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784772695381

作品紹介・あらすじ

こころとからだの健康を、生き物としての原点から見つめ直す、世界的ベストセラー!

動物と人間を分ける従来の健康観や治療法は正しいのでしょうか?
人間も動物の仲間とみることで、驚くべき発見があり、
新たな健康観や治療法が得られることを、本書はわかりやすく伝えています。

感想・レビュー・書評

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  • 著者の1人、バーバラ・N・ホロウィッツは心臓専門医である。
    医師として、もっぱら「ヒト」の治療に当たってきたわけだが、霊長類の治療を依頼されたのをきっかけに、人間と動物の病気の共通点に気づくようになる。
    がん。依存症。自傷行為。失神。肥満。拒食。不妊。思春期のさまざまな問題。
    こうしたものの症状はときに非常に似ている。
    だが、医学と獣医学の交流はさほど盛んではなく、獣医師が当たり前に知っていることを医師が知らない例も多い。
    ヒトと動物の病気を一緒にみる、汎動物学(ズービキティ(Zoobiquity = Zoo(動物)+ ubique(遍在)))の視点を取り入れたとき、より広い大きな流れが見えてくるのではないか。本書はそのエキサイティングな見方を紹介する1冊である。

    汎動物学では、医学や獣医学に加えて、進化医学の考え方も取り入れる。
    ヒトを1つの種として考えたとき、疾患がどうして生じてきたのか、その背景には進化上の必要性が絡んでいることがある。失神や恐怖による心臓発作は、元々は捕食者と対峙した際に「死んだふり」をすることで、「戦う」でも「逃げる」でもなく、敵をやり過ごす1つの手段だったという説がある。
    自傷行為は「過剰グルーミング」の形と見る見方がある。グルーミング(毛づくろい)は快感をもたらす行為で社会的コミュニケーションの役割も果たすが、これが行き過ぎたものだというものだ。
    背景が推測できれば、対処を考えることも可能であるし、動物で適用される治療がヒトに当てはまる場合もあるかもしれない。

    また、動物とヒトの疾患を比較することで、違いは何か、同じ点は何かを検討することも可能である。
    腫瘍の分野ではすでに研究がある程度進んでいるという。イヌとヒトの癌は非常によく似ている。イヌには癌になりにくい犬種があるが、その要因が何かがわかればヒトでの予防や治療に役立つかもしれない。乳牛は乳癌にかかりにくいこともよく知られており、その要因が何かも興味がもたれるところだ。
    心の病に関しても、社会的生活を営む動物とヒトとの(特に思春期の)比較から、さまざまな示唆が得られている。

    全般に、目が見開かれるような、斬新な視点やおもしろい事例が多い。
    一方で、十分な証明・解析がなされているわけではなく、まだまだ新しい学問なのだなと感じさせる。
    それだけこの分野には可能性があるということなのだろう。

    現代のヒトの疾患を特別視するのではなく、歴史の流れや、他の動物種との類似・相違を探ることで、見えてくるものは多そうだ。

  • ☆恐竜にもガンがあるという。薬の動物実験があるくらいだから、ヒトも動物の発症は一緒なんだろうな。
    ☆自傷行為は過剰グルーミングであるという。リストカットする女性は、リストカットすると、気持ちがすっきりして落ち着くという。
    ☆動物にも、摂食障害があるという。摂食障害は遺伝、家族の力関係と言われているが、ストレスだろうという。

  • 出オチ、纏りなく寝物語を聴かされてる気分、長過ぎだし

  • 16.2.29

    11.25 ON AIR
    Barbara Natterson-Horowitz
    バーバラ・ナターソン=ホロウィッツ

    What veterinarians know that physicians don't
    「動物の医者が知っていて
    人間の医者が知らないこと」

    PICK UP

    One of the best ways we can take care of the human patient is by paying close attention to how all the other patients on the planet live, grow, get sick, and heal.

    人間に対して優れた医療を提供するための秘けつは、地球上のすべての生き物をよく見ること。どのように生き、成長し、病気になり、回復するかを。

    SPEAKER

    バーバラ・ナターソン=ホロウィッツ

    医師

    82年、ハーバード大学卒業。83年、ハーバード大学大学院卒業。87年、カリフォルニア大学サンフランシスコ校医学部卒業。94年、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)医療センターの循環器内科医に就任。以来、同校医学部および生態・進化生物学部の教授をつとめる。05年以降、ロサンゼルス動物園で動物たちの診療・治療にあたる。人間と動物の病気を統一的に考える 「Zoobiquity(汎動物学)」という新しい概念を提唱。11年、医師と獣医師たちの学術交流を目的としたZoobiquity Conference(汎動物学学会)を創立。著書に『人間と動物の病気を一緒にみる : 医療を変える汎動物学の発想』がある。

  • 医学

  • 動物と人間がかかる病気の共通点について書かれた一冊。しっかりとした内容だがユーモアもあって読みやすい。

    あらゆる「病」が祖先から受け継がれてきた、という当たり前ではあるがなかなか認識しづらい事実が、数多い実例を交えて説明されている。

    動物たちも失神するし、肥満にもなるし拒食症にもなる。著者は人間の医者なので主に動物のことばかり考えているわけではないのでローレンツ直系みたいな内容ではないが、その辺りはなかなか面白く感じた。

    「なぜ失神する(という機能)があらゆる生物に存在し、淘汰されずに残されてきたのか」という疑問は「人はなぜ失神するのか」という問いかけと同様であり、これら機能の説明がされていく過程は興味深い。

    今年読んだ本の中でも圧倒的におもしろかった。

  • 著者は(人間の)心臓専門医師。動物の治療に関わったのをきっかけに、人間と動物が同じ病気にかかることを改めて認識し、人間の医師と獣医師はもっと協力ができるのではないかと考える。動物への治療テクニックを人間に、人間の治療テクニックを動物に使えるのではないか。その発想は「汎動物学」の提唱に結びつく・・・ということで、これは面白そうだと勢い込んで読んだのだが、いまいちだった。本書の大部分が、人間と動物の共通点、たとえばがん、薬物の依存症、肥満、自傷・・・の例示に割かれていて、まあ興味深いといえば興味深いのだけれど、あまり意外性はなくて途中で飽きた。同じ動物だから当たり前では? うちの犬も太ってたし。
    「汎動物学」の成果らしきものは殆ど出てこない。これからということなんだろうか?

  • 配置場所:摂枚普通図書
    請求記号:490.4||N
    資料ID:95140409

  • 面白い。メスは、浮気するんだよ。

    2016.4.

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著者プロフィール

ハーバード大学人類進化生物学客員教授。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)心臓内科教授。進化・医学・公衆衛生に関する国際協会(ISEMPH)会長。バウアーズとの前著に『人間と動物の病気を一緒にみる』がある。

「2021年 『WILDHOOD 野生の青年期』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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