- Amazon.co.jp ・本 (196ページ)
- / ISBN・EAN: 9784772704762
感想・レビュー・書評
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「浜吉田迄歩いて行って飯を貰おうとしたら、
此駅も駅前に家がないので、
少し遠く迄歩いて行くと
家があるので其処で朝飯を貰いに行きました」
山下清がまさかまさか私の故郷も歩いてたとは、
ビックリ、ビックリ詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
TVの「裸の大将放浪記」のイメージが強いので乖離にびっくり。
https://seisenudoku.seesaa.net/article/481154757.html -
山下清の作品を改めてちゃんとみたくなり画集を借りてみた。
あわせて、山下清のヒューマンドラマが好きだったので、
この本も読んでみた。
彼の作品を見る前に彼を知っておきたかったので。
山下清は知能指数68の精神薄弱者で、
幼少の頃に父親から植えつけられた強迫観念のせいか、
時に凶暴、錯乱状態で友人をきりつけ、
八幡学園へ収容されることになる。
しかしここで貼り絵に出会い、清の才能は開花していく。
この本は、山下清が放浪した後、学園に戻ってきた時に、
毎日課題として書かされていた作文をまとめたものだ。
読んでびっくり。
なぜなら、放浪していた時の作文は何ひとついい話などなかったからだ。
ご飯をもらえる、雇って働かせてくれる家を探して
一軒一軒まわる。親が死んだとうそをついて。
道は迷うから線路をあるいていく。
一日2駅くらい。
夜は駅で泊まろうとするけど駅員に怒られ、
時には警察に連れて行かれ尋問をうける。
というかほとんど毎回尋問を受けている(笑)
仕事が見つかっても、怒られて、清は嫌になり、
3ヶ月とかで逃げ出す。何回かそれを繰り返す。
さらに戦争中は兵隊になりたくないから、
どうやって嘘をついて騙すか考えたり。
公然わいせつ行為を悪気もなく行ってしまい、
精神患者の収容所に監禁されてしまい脱走したり。
本当のことを言うときっとつかまってしまうから、
周りの人にうそをついてだまそう。
みたいなことばかり書いてあった。
山下清の背景を知ると、この作文の話も実際はどうだったかなんてわからないけど、
彼にとって人とのかかわりとは、とても苦しいものだったろう。
だけど、美しいものをみて美しいと感じたり、
旅が好きだったり、疲れたからやりたくないとさぼったり、
子供や、周りの大人から馬鹿にされ、仕事ができなくて
怒られて、もう嫌だと逃げだしたり、そして再び戻ってきたり、
精神薄弱者である清も私たちとなんらかわらぬ感情を持っていて、
とても親しみを感じた。 -
山下清は抜群の記憶力の持ち主。
放浪の画家、山下清の日記。
読んでみたが、とにかく文章が長くて、話の辻褄が合わなくて、いろんな人達に親切にされても嫌な事があるとすぐに逃げ出して、警官を異常なほど怖がり、目的地に行く最短距離は線路の上を歩いていくという頭の良さもあり、飯を食べたくなったら人の家を訪ね、眠くなったら駅舎で寝て、お金が無くなったら仕事を探して廻り、とにかくぶらぶらとあてもなく放浪する山下清みたいな旅をしてみたいなと思った次第であります。
。。。。とこんな文章が200ページも続くので、面白いけれど、少々読み疲れました。
この放浪記は、放浪しながら書いた文章ではなく、放浪後に学校の先生に書かされた文章なのだそうです。人との出会いや行動が細かく書かれていて、抜群の記憶力の持ち主です。
彼は、「レインマン」だったのでしょうね。