数量的な見方考え方―数学教育を根底から変える視点

著者 :
  • 仮説社
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784773502183

作品紹介・あらすじ

「数学」と聞くと,「受験に必要不可欠な学力」「理工系の基礎学力」とだけ見られがちです。しかし,じつはそんなことはなくて,本当の数学=数量的な見方考え方というものは,「だれにでも楽しく,生きていく上でたちまち役立つもの」なのです。数学教育を根底から変える本です。読み始めたらすぐに,「こんな数学の本,はじめて」と思うでしょう。

感想・レビュー・書評

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  • かなり以前に書かれた文章が多いのですが、今でも十分に通じる話ばかりでした。根底から変えられるかどうかはわかりませんが、いろいろおもしろい視点で語られています。私自身、仕事の中で、数量の見方については感じていることがありました。それは文系(?)の人ほど細かい数字にこだわるということ。100万円や1000万円を論じていて、100円や1000円は誤差の範囲で、論じても意味がないと思うのだけれど。そして、そういう人たちに限って、数字のマジックにだまされるのではないかと思っています。それから、日本で3ケタごとにコンマを打つことの不自然さには気付いていましたが、世界共通でどうにもならないことのように思い込んでいました。しかし、著者のおっしゃる通りで、日本では4ケタごとに区切る方が絶対わかりやすいのです。また、同じ著者の「日本史再発見」もずいぶん前に読んでいたのですが、本書で久しぶりに歴史の見方のおもしろさを感じました。さらに、遠山啓先生とのエピソードを知ることができたのは大きな収穫でした。板倉先生の本は全部でも読みたいところなのですが、仮説社から出ているものはどうも高い。なるべく図書館で借りて読んでいますが、本書は思い切って買いました。私が以前から感じていたことが確認できそうな気がしたのと、京都駅近くにできたイオンモール内の大垣書店で初のお買い物だったので。だけど、1万円を超えたのに何もくれませんでした。ジュンク堂ではコーヒー券をくれるのに・・・

  •  「数学教育を根底から変える視点」とあったので興味を持ったのだけど、目を引いたのは下の二つくらい。
    ●班田収受法では、田の広さを「凡そ田は、長さ30歩(ふ)、広さ12歩を段(たん)とせよ、10段を町とせよ」、つまり1段=360歩(=平方歩)として定義。これは、1歩(1平方歩)からとれる米の量が一日分というところから来ている。(p.35)
    ●ゼロの概念のおもしろさは、それまで「ない」としか表現できなかったものを「0個ある」と、「ある」と表現できること。

  • 現行の数学(算数)の授業のマズい点を指摘し改善案や新たな提案を打ち出している。
    過去の教育関連雑誌記事の再掲も多いが年数を経ても尚鋭い指摘であると思う。
    個々の例は素人が読んでも大変驚異深く面白い。
    小学校の先生に是非一度読んで欲しい1冊。

  • 仮説実験授業の提案者板倉氏の思想がよく分かる本。大化の改新以来、今日までの日本で、20歳以上になった人の総数が3億人にすぎないことなど、数量的な見方とはこういうものかとガテンした。

  • 数学をやっていた人にとっては物足りない内容。
    しかし,今までにない新しい視点を与えてくれました。
    概数の必要性については,とても感動しました。

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著者プロフィール

1930年 東京の下町(現・台東区東上野)に生まれる。
1951年 学生時代に自然弁証法研究会を組織。機関誌『科学と方法』を創刊。
1958年 物理学の歴史の研究によって理学博士となる。
1959年 国立教育研究所(現・国立教育政策研究所)に勤務。
1963年 仮説実験授業を提唱。仮説実験授業研究会代表(〜2018)。
1973年 月刊『ひと』(太郎次郎社)を遠山啓らと創刊。
1983年 月刊『たのしい授業』(仮説社)を創刊。2018年まで編集代表。
1995年 国立教育研究所を定年退職(名誉所員)。私立板倉研究室を設立。サイエンスシアター運動を提唱・実施。その後「科学の碑』の建設なども。
2013〜16年度 科学史学会会長。
2018年 2月7日 逝去。
著書 科学史・教育史の専門書の他,仮説実験授業を中心とする科学教育・社会の科学,特に歴史教育,科学啓蒙書,科学読み物,絵本など,広い範囲にわたって多数。たとえば,『原子論の歴史』『模倣の時代』『増補 日本理科教育史』『仮説実験授業』『未来の科学教育』『科学的とはどういうことか』『歴史の見方考え方』『もしも原子がみえたなら(絵本)』(以上,仮説社),『日本史再発見』(朝日新聞),『ぼくらはガリレオ』(岩波書店)等々。

「2020年 『なぜ学ぶのか 科学者からの手紙』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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