カードゲームでたのしい授業 (やまねこブックレット)

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  • 仮説社
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  • Amazon.co.jp ・本 (75ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784773502770

感想・レビュー・書評

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  •  楽しみながら学べるカードは,教育用にも多くの種類が発売されています。本書には,そんなカードゲームの紹介もありますが,それよりも,「カードゲームの楽しさというのはどこにあるのか」ということを具体例を挙げて示してくれているところが,とてもユニークです。
     紹介されているカードゲームは,既存のかるたを利用してできる応用範囲の広い「○○めくり」「かるたdeビンゴ」「配膳式かるた」といったものや,著者が考え出した「足算」というものがあります。「足算」は,動物の足の数に注目しながら,10のまとまりをつくるというゲームです。

     楽しいものは今すぐにはわからなくても何かそこには本質的なものが含まれている」(板倉聖宣)という言葉をもとにして,かるた取りゲームの楽しさの源泉に触れようとする著者。
    「競争することが楽しいと思われているゲームでも,その競争を支えている別の楽しさがきっとあるはずです。それを見つければ,能力差を超えてみんなが楽しめるゲームに改造することができるでしょう。」(本書27ぺ)
     そして,見つけた源泉が「カルタの本当の楽しさは,読まれた札を見つけて取ること」。
     こんな単純なことになぜ気づかなかったのか。いや,単純だから気づかなかったのでしょう。
     子どもたちは,カードを取るだけで,楽しいんですね。なのに競争して,取れなくなると,途端に楽しくなくなります。
     ここで,私は,思いました。
     よく,家族でカルタをするときに,大人がわざと負けてあげるっていうことがあります。子どもが負けると,腹を立てるからです。でも,これって,何かがおかしいと思ってきました。
     そうじゃなくて,「配膳式かるた」の原理を使って,個々の前に,配給されたかるたを置いておいて,それらのカードを誰にも邪魔されずに取るだけで,子どもは満足するのではないか。そうすれば,大人がウソをつく必要もなくなるのではないか,そんな風に思うのです。

著者プロフィール

京都の小学校で約20年間,仮説実験授業を中心にたのしい授業を実践。その後〈ことばの教室〉を担当する。「たのしい障害児教育」の研究に参加する中で,これまでの蓄積が一気に開花するように〈○○めくり〉〈足算〉〈かるたdeビンゴ〉などの学習ゲームを精力的に開発。さらに定年マイナス8年で希望して特別支援学校に転勤。本書掲載の「宝島探検記」は,その転勤一年目の実践記録。著書『カードゲームでたのしい授業』

「2018年 『特別支援教育はたのしい授業で』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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