人は勘定より感情で決める ~直感のワナを味方に変える行動経済学7つのフレームワーク

著者 :
制作 : 四六 
  • 技術評論社
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感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784774138725

作品紹介・あらすじ

売上アップを「自分の力」と事実誤認、若手vsベテランの話が噛みあわず会議が空回り、決断をひたすら先延ばししようとするマネージャー、すべての原因はこの"感情のカラクリ"にあった!ネガティブなメールを3秒で好印象に変えるコツから200万円がついつい安く感じてしまうマジックまで実例満載。

感想・レビュー・書評

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  • 行動経済学の考えがまとめられた本。商売を行う上では勉強しておいたほうがいいジャンル。人の感情を知るにも役立つ学問かもしれない。

  • 外資系の会社に転職してから5年経過しましたが、今までに経験したことは、外資系企業においても、人間関係が非常に重要であることを再認識しました。

    社会人になった時に勤務した会社は、日本的な企業であったので、そこで鍛えられた考え方が、純外資系の会社においても役立ったのは嬉しい驚きでした。

    人間関係が大事というのは、言い換えれば、この本のタイトルにあるように「人は感情で決める、感情で動く」ということです。何を言ったかよりも、誰が言ったかが重要視されるのは、受け取って行動に移すのが、コンピュータではなく人間である間は仕方ないと思います。

    一部、金融商品の売買プログラムは人間の感情が一切入らないようにして成功を収めている例もあるようですが、それはまだ例外のものと思われます。

    この本では「直感のワナを味方に変える行動経済学として7つのフレームワーク」を紹介しています。この考え方を今後の社会人生活に活用していきたいと思いました。

    以下は気になったポイントです。

    ・理論的にあるべき判断と、身の回りで実際に行われる判断が、こんなにも違うのかという問いに対する答えの1つになったのが行動経済学である。そもそも人は、これまでの経済学の前提となっていた合理的な行動をおこすとは限らないことを研究するのが行動経済学である(P5)

    ・空港免税店において「3箱買うと、1箱タダでおまけ」というのは、実質的には「定価から25%値引きする」と言っているのと同じだが、「無料の1箱」という絶対値を見せることで異なった印象となる(P36)

    ・ビジネスの能力の高い人は、ほぼ例外なく数字に強い、感覚的に判断や行動をしているかに見えても、その裏では定量的にものごとを推し量り、論理的かつ大局的にものごとを捉えて考えている(P40)

    ・まだまだ年功序列が基本、純粋に成果に基づいて年齢の基準を超えた賃金が支払われるケースは非常に稀である(P65)

    ・ネガティブな言葉をポジティブな言葉に置き換えることにより、「自分はあくまでも目的達成を優先し、サポートしたい」という前向きなイメージを強調する(P74)

    2013年9月8日作成

  • 意思決定と情報認知を分かりやすく解説した本。あまりに簡略化しすぎてアカデミックな本質を見誤る危険が。例示が卑近なものが多く、情報社会の基礎リテラシーとして読むべきでしょう。

  • 今まで読んだ行動経済学の本の中で一番「読みやすい」本だった。それぞれの内容を網羅しているので、全体像を掴む入門書として良いかも知れない。なにより、見返しに掲載されている体系図は秀逸。この図ひとつで行動経済学を俯瞰できる、素晴らしい図だと思う。

  • メインタイトルから軽い心理学を盛り込んだ直感右脳系の内容かと思いきや、バリバリの経済学を元に展開される内容でした。
    (サブタイトルにある「行動経済学」が目に入らず)

    経済学の基礎知識があってもなかなかに難解な内容となっており、
    一度にぱっと頭に入り、理解できるというより、何度か読み返して理解に繋げていければといった感じです。

    過去の賢人たちの経済学理論/心理学理論の面からの裏付けもありますが、自分なりに、もうすこし別の状況を盛り込んだ考えもできるのでは?
    という点も見え隠れしました。

    例えば 価値観数・確率加重関数の点では、リスク(愛好/中立/回避)タイプによってまた別の曲線が出来るのでは、、、と感じる点です。

    ただ、著書自身最後に「自分自身バイアスにかかっている可能性もある」としており、この前提に気付けたことに大きな価値があるでしょう。

    私自身、
    サイモンの事実前提(すべての情報を得ることはできない)、価値前提(人の価値観は十人十色)は理解しているが、
    思い返せば、アンカリングや利用可能/代表性ヒューリスティックに陥っていることは多々あり、真に客観的に自分や自分の仕事、組織を見つめることは非常に難しいことだと、再認識できました。

    「あいまいな人間の心理や判断が
    すべてロジカルに間違いなく説明できるとしたら、それはそれで
    うさんくさい。」

    「様々な捉え方があるからこそ、行動経済学は、"あいまいな"人間の心理を説明するのに 返って信頼できる。」

    そんな自己矛盾な事も最後に書き記してあるほど、
    物事を客観的に見ることの本質・重要性を気付かせてくれる一冊です。

  • 行動経済学についての入門書のような本であり、その行動経済学をビジネスにあてはめて考えた本です。

    内容は、「人間は日々の経済活動において、こういう考え方をする傾向がある」ていうのを「行動経済学のフレームワーク」として紹介していて、そのフレームワークを利用したビジネスの例なんかが書かれています。

    けっこう「へー」となりました。

  • 買っていたのを忘れて、また買ってしまった

  • 行動経済学本。
    実務を例にしている分だけ馴染みやすいかなと思うけど、特に目新しい箇所は無し。

    ややガッカリ

  • 割と実用的な線を目指した行動経済学入門書。
    あまり成功しているようには思えなかった。

  • 行動経済学の祖 ダニエル・カールマン

    データの一貫性幻想
    一貫した内容の情報(データ)により現実を非合理に捉えてしまうこと

    コントロール幻想
    情報(データ)をコントロールしていると感じることで、現実を非合理に捉えてしまうこと

    平均回帰
    「データの集まりは平均に近づく傾向がある(データは平均に向かって動く)」という統計現象のこと、

    小数の法則
    少ないサンプルで過剰に一般化してしまうこと
    ex. 分母の違いによる印象の差
    絶対値vs比率
    1000万分の1は表現一つで高確率に見える
    ex. ジャンボ宝くじの1等の当選確率は、0.00001%。しかし、40本のように絶対値で表記すれば、当選の可能性が高まるように感じる


    プロスペクト理論
    損得など、結果の大きさと確率に対して人がどう認識するかを規定した理論。価値関数と確率加重関数からなる

    損失回避性
    人はプラスとマイナスの大きさを数値通り認識できず、時に損失を過剰に認識してしまう

    参照点依存性
    絶対的な値で考えるのではなく、ある基点からいくら変化したかで考えてしまうこと

    感応度逓減性
    プラス、マイナスともにその絶対値が大きくなるほど、価値の感じ方がゆるやかになる特徴

    価値関数のS字カーブ
    横軸 実際に得られる利益や損失の大きさ
    縦軸 その人が感じる損失の大きさ
    グラフの中心 参照点依存性の参照点

    確率加重関数
    低い確率は実際よりも高く見積もってしまう ex. 100人に一人タダ
    高い確率は実際よりも低く感じてしまう
    一番端の確率から変動する場合には、実際の確率(0%と100%)との乖離がひときわ大きくなる

    反転効果←損失効果
    良い内容であれば「その通りになる(なってほしい)」と考え、悪い内容には「たかが占い。外れることだってあるだろう」と考える

    フレーミング効果
    同じ現象でもどのような「枠」を当てはめるかによって、その人の印象や受け取り方に違いが出てくる
    ネガティブフレーム→ポジティブフレームへ
    上記が不要というご判断であれば、そちらに対しての説明を取りやめ、私の訪問もキャンセルいたします

    上記の意図に賛同していただけるのであれば、目的達成のために出張することにいたします

    属性フレーミング
    表現(属性)がポジティブな方が好感度が高まり、選択されやすい
    成功率75% 失敗率25%では、前者の方が選ばれやすい

    ゴールフレーミング
    メッセージの焦点をネガティブな面に当てることによって、ある目的(ゴール)に向かってアクションを取ることへのインセンティブが強くなるという効果
    この治療を受けると、将来ガンになる可能性が低くなる この治療を受けないと、将来ガンになる可能性が高くなる
    プロスペクト理論の損失回避性が働いている

    リスク選択フレーミング
    何かを得る内容の選択ではリスク(不確実性)を回避する

    サンクコスト(埋没コスト)
    過去に費やした回収不可能な費用のこと。これを非合理に将来の判断に影響させることをサンクスコストのバイアスという

    現状維持バイアス
    非合理的にもかかわらず現状を維持する選択をすること

    保有効果
    一度所有することによって、その所有物に必要以上に高い価値を見出してしまうこと

    ヒューリスティクス
    自分の記憶をもとに判断すること

    利用可能ヒューリスティクス
    自分の記憶からかんたんに呼び出すことができる情報によりバイアスがかかってしまうこと
    ・記憶時のインパクトが大きい情報(想起容易性)
     ex. 凶悪事件は減っても凶悪事件報道は増えている
    ・記憶の中から優先されて探される情報(検索容易性)
     キャッチコピー、音とリズムに乗せてメッセージを覚えさせる
    ・具体的な情報(具体性)
     身時かな人間から直接的に聞く具体的な話により優先度が変わってしまう
     有名人のCM 具体性と検索容易性を利用している

    代表性ヒューリスティクス
    代表的な記憶情報をもとにものごとを判断してしまうこと

    連言錯誤
    多くの情報によって、より具体的なイメージを持つことで、判断が歪んでしまうこと

    アンカリング
    最初に受けた情報に思考が制限されてしまうこと
    ex. 値引き前の値段を書く、お一人さま◯◯個まで
    早いもの勝ちの法則 会議に何も貢献しない人ばかりが参加しているような会議で効果

    時間割引
    将来の価値を割り引いて、現在の価値に置き直す

    双曲型割引
    人が感じる割引率は一定ではなく、時間の経過とともに低下していく

    選好の逆転
    時間が変わると選好する順番が変わってしまうこと

    情報の信憑性
    ・データそのものの誤り
    ・データのインプットミス
    ・不適切なデータの取得

    先行効果

    最近効果

    プレゼンの順番で戦略を変える。例えば、一番のプレゼンでは最初にインパクトのある話しを、最後の順番では最後にインパクトのある話を

    対比効果
    自分自身の質そのものを最大化する努力をした後は、「それをどこに置くべきか」という点を検討する価値が十分ある

    ハロー効果

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著者プロフィール

データ&ストーリー LLC代表。多摩大学大学院客員教授。1972年、神奈川県生まれ。慶応義塾大学理工学部卒業後、日立製作所入社。在職中に欧米両方のビジネススクールにて学び、2003年MBAを取得。Academic Award受賞。2004年日産自動車へ転職。海外マーケティング&セールス部門、ビジネス改革グループマネージャ等を経て現職。グローバル組織の中で、数々の経営課題の解決、ビジネス改革プロジェクトのパイロットを務める。

「2017年 『上司からYESを引き出す! 「即決される」資料作成術』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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