ゲームデザイン脳 ―桝田省治の発想とワザ― (ThinkMap) (Think Map 4)

著者 :
  • 技術評論社
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784774141923

作品紹介・あらすじ

「リンダキューブ」「俺の屍を越えてゆけ」などを手がけた奇才ゲームデザイナー、桝田省治は何をかんがえているのか!?支離滅裂な編集者との対話から、"平凡な日常を企画に変える視点""使えるネタを選別する方法""システムからゲームを組み立てる手法"をはじめ、独特ながらもじつは緻密に計算されたゲームデザイン思考が解き明かされていく。

感想・レビュー・書評

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  •  ゲームエッセイとして抜群に面白い。
     本書の内容は桝田省治が作ってきた様々なゲームの裏方というか仕組みというか考え方というか、そういうものを詰め込んだものになっているのだけど、まず語り口が軽妙で、底意地の悪さが滲み出ている、いかにも「桝田省治が書いた」というものになっていて、これが桝田省治ファンとしてとても嬉しい笑
     ゲーム作りに役立つの?かは分からない。ただ、理詰めで「発想」というものを作り上げる手法が、かなり赤裸々に書いてあるので、これから何か(シナリオやゲームデザインのようなもの)を作ろうとしている人には、何かしらのヒントにはなるのではないかと思う。
     とにかく読み物としてかなり面白かった。満足。

  • 著者の桝田省治さんが作った俺屍は面白かったし、どういう考え方を持っているのか興味があったので読んでみたが、思ったよりも「普通」の内容だった。

    ここで「普通」と言ったのは、著者が「好きでゲーム業界に入ったわけじゃない」と公言しているような人で、よほど奇抜な人なのだろうなと私が勝手に思い込んでいたからである。

    そういう先入観を抜きにすれば、アイデアのつくり方・育て方など、かなり参考になった。読み終わったときには付箋だらけになっていたし。

    ただ、TVゲームとは何かという問いから小手先のテクニックまで、内容は多岐に渡っているので、それぞれが若干薄く感じた。
    次回作では是非、個々をさらに深く論じてほしい。

  • ここに書かれている「ゲームを作るのに必要なこと」については、ほとんど同意する。

    しかし、これを読んでよく分かったが、これほどまでに意見が同じでも、彼の作ったものがそれほど好きになれないのは、ある作品を好きになるかどうか、おもしろいと思うかどうかは、システムだけの問題ではなく、肉付けもかなり影響するということなのだろう。

    著者の作ったゲームのコンセプトはいつも関心をもつが、絵やセリフ、声優を使うことなどに違和感があり、楽しめない。

    また、著者の文章も好きになれない。前に、オレシカのマニュアルでも嫌いだなあ、と思ったが、今回も嫌いだった。

    なにがこんなに嫌いなのか、分析した方がいいと思わせるくらい、嫌い。
    ひとつには、「好きでゲーム業界にはいったわけじゃない」というスタンスがまず嫌いなんだろうなあ。あまり、そんなやつに大きな顔して欲しくないんだ。単純に。
    次に、「美人」がどうのこうのってかくようなセンスが嫌いなんだ。
    そして、なんか、中高生がつっぱってるのがそのまま大きくなったような反抗期がチラチラするような文章も嫌いだ。P112にある、シナリオが終わってめでたしめでたしは、「実に耳障りのいいウソ」とかっていう表現がそう。

    終わった方が気分いいし、続けたい人は続ける。
    こんな露悪的な言い方しなくてもいいだろう。繊細じゃない露悪はうざい。
    「耳障りがいい」という妙な日本語も気になるが、わざとなんだろうか。
    なんか、よけいなところで人をいらつかせるところが、この人にはあるように思える。

  • 2021年7月12日読了。『俺の屍を越えてゆけ』『リンダキューブ』など、独特の個性で有名なゲームデザイナー桝田省治氏が自らの発想について解説する本。私は『ネクストキング』だけプレイしたことがあった、友人とプレイするのになかなか楽しいゲームだった記憶がある。発想法は人それぞれなのだろうが、日常にいくらでもネタは転がっているもので、それをいかに消化して膨らませるかということ、一般ユーザーが何を考えて何を楽しんでくれるか?については直接人に聞いてみることも大事だし、一言でゲームの魅力が伝わるようなフレーズにまで抽象化することも大事、ということか。ゲームの企画に数年かかるということはザラということ、今の仕事をこなしつつ、数年先に向けて発想の種を温め続ける努力も必要なのだな…。

  • ゲームデザインにおけるアイデアの見つけ方、システムの作り方、考え方について著者の経験に基づいた手法が紹介されている。実際に自分が知っているゲームの制作過程の話なのでとても楽しく読み進められた。日常の中にネタはいくつでもあって、実際にどうやってネタを料理していくのかみたいな話がその着眼点になるほどってなりまくった。ものづくりのアイデアに悩んでいる人がいるなら、それがどんなジャンルであれこれはおすすめって感じ。

  • テレビゲームを作るに当たって、おさえておくべき考え方について述べた本。その考え方のほとんどに関して同意する。

  • ゲーム
    ビジネス

  • 普段の生活からアイデアに結び付けたエピソードが独特だった。
    筆者のテンポが個気味よく、楽しく読めた。

  • ■ゲームデザイン脳 ★★★★☆
    面白いゲーム、奇抜なゲーム、またやりたいと思うゲーム、
    それらのゲームには幾重にも張り巡らされた製作者の罠がしかけられている。

    これはゲームの世界の話ではない。
    ゲームだけの世界の話でもない。
    映画だって、サーカス見てたって、デパートの前に立っているだけでも、
    消費者はいつだって狙われている。

    あなたの制作物には、あなたの意図がありますか?と説いてくれます。

    (以下抜粋。○:完全抜粋、●:簡略抜粋)
    ○理由は僕自身がその類のゲームが下手で、制作したとしても
     最終的なバランス調整に自信がもてないことが明らかだからだ。(P.34-35)
    ○僕の企画では、目標とする面白さを再現するシステムがまず骨組みとしてあり、
     それを活かすためにキャラクター、世界設定、
     シナリオが後付けされるという流れに注目してほしい。(P.39)
    ○企画のプロならこの質問に対して、筋道を立てて考えれば百、一時間という限定なら三十、
     それくらいの数は具体的なエピソードなりシーンを思いつくだろう。
     普通の人なら三つか四つ、多くて五つだ。(P.42)
    ○曰く「サーカスを一度観ただけで一般人はこんなこと気づきませんよ。
     読者がこれならできそうだと”勘違いする”ようなことを書いてもらわないと……
     本が売れません。」(P.55)
    ○メジャーなタイトルほど構成はシンプルだし、
     多くの人が心を動かすシーンも一致している。
     おそらくよく使われる状況設定は百パターンもない。
     一つひとつの部品を検証すれば、特に目を見張るものもない。
     ほとんどホメロスかイソップかシェイクスピアあたりが性能を確定している既存の部品だ。
     それでも、ダイハードもローマの休日もスターウォーズも大ウケした。(P.59)
    ○本節では、ここまでたったの五十行だが、実際には二年くらいかかっている。(P.76)
    ○敵も味方も戦闘力が歪あるいは階段状に上昇している。
     これらが複合すると、プレイの仕方によりいつどこで現れるか限定できないが、
     ゲーム中のどこかで何度も戦闘力の上昇が停滞したり、逆に急上昇する時間帯が現れる。
     停滞した時期には一族のキャラクターは戦闘で敗北しやすく、
     急上昇する時期にはパチスロのフィーバータイムのごとき快進撃が続く。
     結果として「親の仇を子供が討つ」状況も高確率で生じる。(P.81)
    ○(算数が苦手な人のためにいちおう書いておくと、
     一時間プレイしても十人にひとりしか起きない偶然も、
     二十時間プレイして一度も起きない確率は一%。百人のうち九十九人が経験する)(P.81)
    ○ゲームというメディアでは、テーマをシナリオで語るのではなく、
     目に見えないシステムやバランスをコントロールすることで
     プレイヤーの体験を通して伝えることもできる。(P.82)
    ○演出も「術の併せ」にひとり加わるたびにシ♪レ♪ソ♪と重なりきれいな和音になる。
     術の発動時は全員が片手を点に揚げる同じポーズをとる。
     手順、音、見た目で家族の協力や一体感を表し、
     効果の大きさでその重要さを伝えている。(P.85)
    ○想像できるだろうか、「ポケモンみたいに」という
     言葉で説明できない未知の概念を既存の言葉で伝える苦労を。
     ニュートンの偉大さは、万有引力の発見ではなく、
     それをリンゴひとつで説明できたことじゃないかと真剣に考えたほど悩んだ。(P.89)
    ○一番差を少なく見積もった人が「0.5秒差がつく」、
     逆に多かった人が「1.5秒差がつく」だったなら、7%~21%が振り幅の許容範囲。
     少なくとも7%は上がらないと自分がやったことが報われたと納得できないし、
     21%超えて上がるようなら虫が良すぎると感じる。
     そんな風に置き換えて考えられる。(P.107)
     (補足:オレシカの遺伝のゲームデザインするときに、どうやって成長率を見込むか考え、
     いろんな人にカールルイスの息子に自身の息子が挑んだら、
     50メートルそうで何秒くらい差がつくと思うかという質問をしたらしい。)
    ○自分の意志が即座にテレビ画面の中に反映されるというのは、
     想像もできない衝撃だった。(P.155)
     (補足:昔の単純なテレビゲームが当時なぜ面白かったかという理由について)
    ○テレビゲーム向きのネタとは、
     ”趣の異なる前向きなジレンマが適度なストレスを伴って、
     適当な頻度で繰り返しプレイヤーに提示され
     意思決定の結果によって、状況が変わりえる構造を有する事象”だ。(P.158)
     (補足:ようするに、あーしたいこーしたいけど、
     こうしちゃおうとあれがあれでと悩む楽しさと結果が付いてくることが大事)

  • 資料ID:81101255
    請求記号:798.5||M
    配置場所:工枚教員推薦図書

    ゲーム特集に選書された図書です。

  •  何を作るにしてもそれを作る側と利用する側どちらも同じスタンスで物事を考えられるそんな楽な仕事は世の中にはない。

     違うものを同じものと考える力、とても新鮮なとらえ方だ神経衰弱とババ抜きが同じゲーム?

     確かに表向きのルールとしては全く別物のような気がするが着目の仕方を変えれば同じような物になってしまう。しかしこれが同じものだとは思わない。要は同じものを作り上げたとしてもパクリだと言わせないような何か違うエッセンスを一つ埋め込めばよい。なるほど、そういう事なのか発想の仕方というものは。学べるものはあらゆるところに存在している。それを拾い出すアンテナは感度が良い物を使いたいものだ。
     
     何にしてもところどころに出てくる編集者の秋山絵美という存在が気になって仕方がない。

  • [ 内容 ]
    「リンダキューブ」「俺の屍を越えてゆけ」などを手がけた奇才ゲームデザイナー、桝田省治は何をかんがえているのか!?
    支離滅裂な編集者との対話から、“平凡な日常を企画に変える視点”“使えるネタを選別する方法”“システムからゲームを組み立てる手法”をはじめ、独特ながらもじつは緻密に計算されたゲームデザイン思考が解き明かされていく。

    [ 目次 ]
    1 みつける―着想/加工(日常の中の個人的な欲求―俺の屍を越えてゆけ;他人の欲求を探る―リンダキューブ;自分ならどう作るか?―ネクストキング ほか)
    2 つくる―設計/調整(着想を企画書に落とすその1―俺の屍を越えてゆけ;システムでドラマを生成する―俺の屍を越えてゆけ;戦闘の意味づけ―俺の屍を越えてゆけ ほか)
    3 かんがえる―哲学/裏技(テレビゲームとは何か?その1―初めてのテレビゲーム;テレビゲームとは何か?その2―それは偶然か?;テレビゲームとは何か?その3―しょせんゲームだ ほか)

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • ばらばらと散文的な内容の中に、押さえておきたいポイントがあちこちに。
    ゲームのクリエイターだけでなく、クリエイティブな仕事に携わるビジネスマンにとってのヒントがあちこちにありました。
    何度も繰り返し読んで、頭に叩き込みたい本。

    それだけに俺屍2の爆死が悔やまれる。なんとか巻き返してほしい。

  • いま考えている企画の資料に最適と思って読んだ。思っていた以上に実用的だったうえに、ビジネス書としても学ぶところが多いように感じた。

  • 俺屍2発売に際して、個人的ムーブメント。

    イメージを数字に置換してデザインを配していく、とか私苦手…
    やっぱゲームデザイナーすごいっす。特に面白いゲームのシステムやバランスを造れるひとって色々考えてるんだと再確認。
    そういう思考の過程を文字にしてくれてるってありがたいですね。
    特に「設計・調整」の項とかは色々な分野に応用できるんじゃないかと。

  • だいぶ前に読んだ本ですが。
    枡田さんの考え方がいろいろかかれてて面白いです。
    俺しかとか、まさに枡田さんだからこそ作れたげーむだな、と改めて思いました。

  • 面白いし一つの考え方として参考になる。でもこの本に出てくるゲームは三本くらいしか知らない。

  • ゲームデザインというよりも、一人の奇才の思考プロセスを読むことができる。読み物としては面白いが、役に立つかどうかは不明。

  • 「桃鉄」などを作ったゲームデザイナーが,ゲームについて語る。
    残念ながら著者の作ったゲームをやったことがないので,そのぶん冷静に読めた。ところどころで納得できる。

  • 100Yenショップもゲームのアイディアにできるという例題は日常の観察、発想の転換などを実感できて面白かったです。

  • 企画に行き詰まっているひとに。
    取っ掛かりを与えてくれる本です。

  • 「戦闘に通行の障害、経験値稼ぎ以外に意味がある」

     面白いゲームはどんな風にデザインされているのか?この本では、著者がどのようにヒットしたゲームを作って行ったのかが、ゲームデザイナーの観点から解説されています。この本の中で上の引用をはじめ、プレイヤーの参加意識高めること、ゲームの進め方に自分なりの個性を反映できることなどの様々なハマる要素があげられているのですが、著者のゲームに限らず、自分がこれまでやって来たゲームで特に面白かった、ハマったものを思い浮かべてみると、面白いほどそれらに当てはまっていました。

     自分がゲームを作ったとき、果たしてこれが面白いかな、と疑問に思ったとき読み直してみるとすごく便利かもしれません。

     ゲームを作りたい人はもちろん、アプリを作ろうと考えている人にも流用できる要素が詰まっていると思います!

  • 「面白いゲームとは何か」を分かりやすく、かつ読み手を飽きさせない文章で伝えてくれる良書。
    「ババ抜きと神経衰弱はコンセプトの違う同じ遊び方のゲーム」といった視点や発想など、非常に感銘を受けるところが多かったです。この思考のプロセスは是非見習っていきたい。

  • 桝田さんのゲームが好きなので購入してみました。裏話的に面白かったです。必要な人にはもっと面白いでしょうけど、役に立つかは?。私は、桝田さんの(ゲームデザイナーのくせに)「ゲームより現実が大事」という考えがとても好きです。あと「灘の○○」が物語性を持った商品名であるという指摘には、感銘とともになんだかひどく納得しました。

  • ゲーム脳の話かゲームデザイン理論の本かと思いきや、“ものづくり”の話。発想や行程がユニークで読んでいて飽きない。

  •  日常の中の欲求や、既存の作品の分析から、一つの作品を作り上げているが、普段人が注目しないような何気ない所にもアイデアが転がっているのだと、読み終わってから思う。着眼点が面白い。
     ゲームとは言わず、小説、映画など様々な媒体で活用できるだろう知識が詰まっている。

  • 誰かが面白いと言っていたので購入。

    正直なところ、この方のことは全く知らなかったし、作品も遊んだことがないが、根元にプレイヤーへのおもてなしが感じられる設計に好感を持った。

    美人編集者という半架空のキャラを配し、読者を惹きつけているところが秀逸。ゲームデザインの手法を用いて作られた本、というようにも読めて非常に面白い。

  • これは圧倒的に面白かった。
    というか桝田さんという方がおそらく天才なので、
    そもそも文章が面白い。
    「俺屍」「天外魔境」などの作者が書くゲーム論。
    ゲーム系の本ってポケモンもそうだけど、
    やっぱ評論家でなくて創った人が書いている本が一番面白い。

  • アイデア本

  • リンダキューブや俺屍のゲームデザイナーの方の本。
    桝田ゲーの魅力は、ストーリーよりグラフィックより、ゲームのルールにある。この本には、そのルールをいかに生み出してゆくのか、という思考プロセスが書かれている。
    面白いと思える要素(リンダキューブはレイプ、俺屍は孫が生まれる楽しみ)を発見し、その面白さを伝えられるルールを作る。そうしたプロセスを経て生まれるゲームシステムは、一見普通のRPGの皮を被っていながら、新しい面白さを芯に持っている。
    もうひとつ、ルールによってユーザーにジレンマを生むというのも大事な要素であると。
    ゲーミフィケーション的なものを考えるのに使えないかと思って読んだけど、面白さを生もうとしているレベルが根本的に違ってて、頬を張られた気分だった。

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