ためらいのリアル医療倫理 ~命の価値は等しいか? (生きる技術!叢書)

  • 116人登録
  • 3.92評価
    • (7)
    • (13)
    • (4)
    • (1)
    • (1)
  • 19レビュー
著者 : 岩田健太郎
  • 技術評論社 (2011年9月23日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784774148373

ためらいのリアル医療倫理 ~命の価値は等しいか? (生きる技術!叢書)の感想・レビュー・書評

  • 今週は、養護教諭のみなさんにこのテーマで講演します。それにしてもブクログとアマゾンではどうしてこんなに書評が割れるのでしょうね。面白いです。

  • 自分が働き出して3年が経つがそこで感じるようになったことは、医学など科学は如何に曖昧な部分が多いかということ、また医学的な「正しさ」というのは何処まで患者に適応できるのかということだ。インフォームド・コンセントの際や日常診療での患者からの質問に、それはこれこれこうです、と断定口調で話せるのがかっこいい、プロだ、と初めは思っていたけど、そう簡単に断定できるものはほとんどないと強く感じるようになった(知識不足は論外として)。超高齢者への(利益の少ないと予想される)積極的医療、透析を拒否する高齢者との対話など、何を大事にするかという価値観は人様々であり画一的な答えなんてないと確認できた。またコレステロールや尿酸値などの数字がちょっと高いことなどを理由にして、ただでさえ内服薬が多い患者にどこまで医学的正当性を理由に勧めればよいのか、またはそこまでの権利があるのか。「医学的正当性をあえて選択しないことが許容されるとしたら、それはどのような条件下においてか?」このような問いの立て方はこれから自分が医療・患者に向き合っていく上で大事なヒントとなってくれたような気がした。岩田健太郎先生とは一度もお会いしたことはないが、今や私のロールモデルとなっています。

  • 自らの命よりも大切なある価値、死の価値は距離と時間で変動

  • 通常の医療場面で考えさせられる倫理について書いています。
    医療者にとってあまりにも近すぎて素通りしていた視点です。

    http://ameblo.jp/nancli/entry-11624663558.html

  • これもフラリと入った図書室で目に入って借りた本。

  • 命を考える、生活を考える、価値を考える。一概に言えないですよね。
    程度として捉える、ためらいつつ捉える。
    別著の人が『マニュアルは、現場の個々の問題を無視してる』を具体的に表した本だと思います。

  • タイトル通りの話。理想論を持つ事は重要だけど、実際の医療現場でそれを振りかざすのは逆に悪になりかねない。白黒で決着つけられない世界だからこその難しさがある。正解がないって怖い。患者さんとためらいながら真摯に向き合って、その都度ベストな選択をしていける様努力しなきゃなぁ。

  • 理想論を語るのではなく、どれだけ現実にフィットした倫理として考えることができるかを考察した本

    白か黒かのように絶対的にならず、相対的に個々の価値を考えること。そして「程度」を吟味する、「どのくらいグレーか」を吟味することが大事、ということ。

    患者の気持ちなど分かりようがないという認識を持ったうえで、想像力を強く働かせ、相手の価値観を考慮することで必然的に「ためらいの」姿勢で真摯に向き合うことになる。

    著者の本は知識として知ることよりも、「考え方」を得ることができます。その要素に強い魅力を感じます。

  • 3.11被災地における体験を縦糸に、命の価値をめぐる考察を横井とに、人工妊娠中絶、集末期医療からクジラ問題まで、医療倫理をめぐるリアルで真摯な議論。(著書紹介文より)

    著者は神戸大学の感染症の教授ですが、物事への切り口は感染症だけにとどまらず、医療全般、社会問題、この本では3.11と原発についても触れられている。

    帯を書いているのは、内田樹氏。
    「知性によっては正否の判断が下せないときに、なお決断を下しうる知性とはどのようなものか?ー内田樹」(帯より抜粋)

    医療従事者には一読してほしい本。
    医療従事者じゃなくても、社会情勢の考え方に対して納得できるのではと思う一冊。

  • ためらいつつ対峙する、わかっていても臨床現場ではむつかしいことが多い。しかし、一歩止まって、ためらうことが、色々な可能性を見つけることにつながるのだろう。著者の人間に対する優しさがあふれた一冊。

  • ・二項対立的思考…医療の世界にフィットしない
    医療者の勧められる語り口は「ためらい」ながら
    「ためらい」…自分の不完全さや正解の無いことに意識的であること

    ・医療の世界に必要
    ①想像力②多様性③寛容

    ・患者の気持ちは「分からない」
    →想像力(しかし入り込みすぎるとこちらの精神がもたない)

    ・クリシェに連用されるエピソード→私たちの心の底にある共通項示すか…
    ①自分の命よりも大切な何かを持っている
    ②その何かは固有のもので他者には了解不可

    ・命の価値
    ①距離②時間③情
    が遠ければ遠い程薄れる

    ・ヒポクラテスの誓いにそう書いてあるから、医療倫理の教科書にそう書いてあるから、法律でそうなっているから…etc
    他者の言葉を”免罪符”にして「思考停止」
    せずに医療倫理を考えよう
    (そして様々な指針をベースとしてしなやかに運用しよう)
    ・プロフェッショナリズム…自己との規定性・他者の視線によらない

    ・リスクとリターンのトレードオフ関係(リスクマネジメント)

  • 発売直後に購入。少し読み始めていたものの、カバンの中に放り込んだままでした。ごめんなさい、岩田先生。久しぶりに電車の中で読み直すが、一々納得。質より量。イエス・ノーで考えない。焦るな。じっくり、ゆっくり。命の等価性への疑問。ためらいながら、おじおじしながら語ること。マニュアル・ガイドラインを尊重しつつも、現前の患者にどのように対峙すればいいのか。有責性への自覚。
    感動と納得をもって一気に読了しました。

  • 頭の中でもやもやしていたものが、本書を読んで言語化できた。

  • 2階書架 : W050/IWA : 3410152933

  • 「医者はすべての患者を平等に扱うべし」等の倫理規定を絶対視するのではなく,より現場にフィットした形で考えていこうという好感の持てる本。医療倫理に限らず社会問題を考える上でも示唆に富む。
     医師といえども時間的・空間的に近い関係の人を思うのが当然であり,そのことを無視して理想論を言っても仕方ない。そういう制約の中で,患者をそれなりに平等に扱うように,なんとかやりくりしていこう。なるほど実に現実的だ。大きな病気をしたら,こういう医者に診てもらいたいかも。「仁術」としての医療に関して語られる,医者にとっても患者にとってもためにならないうわべだけのきれいごとを排除していく。「患者の気持ちがわかる医者になる」なんてまず無理だ,と著者は言う。患者の気持ちがわかると思ってる医者は,その時点で自分を上位に位置づけるており自己矛盾を来している。
     著者の著作に通底するのは,徹底した二元論の否定,価値相対主義。死の定義が次第に変遷していったように,文化や社会的合意が境界を決める一つの基準になることはある。しかし,脳死を死と認めるか否の選択が個人にゆだねられているように,グレーゾーンは常にある。著者がロールモデルとする内田樹の影響が色濃く出ている。「理路」などの内田用語も頻出。本書のタイトルも,内田樹のデビュー作『ためらいの倫理学』をふまえたものだという(p.203)。ちなみに「醸成」のことを「醸造」(p.161他)というのは内田先生も使ってなかったと思うけど。
     喫煙と健康,延命と苦痛の緩和,すべてはトレードオフで,何を重視するかは個人個人さまざま。また他人の事情をすべて理解し推し量ることもできない。だから医師は患者の価値観を尊重し,「ためらい」ながら対峙する。

  • 内田樹氏からの影響がその著作から強く感じられる多作の大先生による医療倫理本。指摘の通り、医療倫理を定型にはめないことは大切だと思う。また、(おそらく永遠に)結論に至らないのであろうが、時間的、空間的、多面的に考えることが臨床現場ではリアルなのだ思う。

  • 岩田健太郎先生の最新刊。大きなサイドチェンジあり、鋭いスルーパスあり、しかし、最後のシュートは読者の自由な発想で。そんな堅苦しくない、ディベート感あふれる本でした。

全19件中 1 - 19件を表示

ためらいのリアル医療倫理 ~命の価値は等しいか? (生きる技術!叢書)を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

ためらいのリアル医療倫理 ~命の価値は等しいか? (生きる技術!叢書)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

ためらいのリアル医療倫理 ~命の価値は等しいか? (生きる技術!叢書)を本棚に「積読」で登録しているひと

ためらいのリアル医療倫理 ~命の価値は等しいか? (生きる技術!叢書)の作品紹介

延命治療をすべきか否か、人工妊娠中絶は正しいか正しくないか…イエスかノーかの二者択一をせまる命題は、医療の現場にはそぐわない。我々のとるべき態度とは、白い黒かの二元論から離れ、ためらいの口調で静かに対象と向き合うことではないか。3.11被災地における体験を縦糸に、命の価値をめぐる考察を黄糸に、数々の修羅場をくぐりぬけてきた感染症医がその経験知をもとに贈る、患者も含め医療にかかわるすべての人に読んでもらいたいリアルな医療倫理の手引き。

ためらいのリアル医療倫理 ~命の価値は等しいか? (生きる技術!叢書)はこんな本です

ツイートする