クロティの秘密の日記 (くもんの海外児童文学シリーズ)

  • くもん出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (287ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784774318868

作品紹介・あらすじ

奴隷だから、いろんなことを知っちゃいけないって、白人がきめつけるのはなんで?日記を書いていることが見つかったら、だんなさまにムチでぶたれる。ぜったいに逃げられない、南部のはてに売りとばされるかもしれない。でも、あたしはもっともっと、ことばをおぼえたい。自由とはなにか、知りたいんだ。小学校中級から。

感想・レビュー・書評

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  • 150年前のアメリカ南部で奴隷として生きる12歳の少女の日記。

    フィクションであるが、著者は入念な取材をもとに書いているので、ノンフィクションのようなリアルさがある。

    12歳のクロティは、黒人が文字を覚えたら罰せられる(主人にムチ打たれ、もっとひどいところへ売りとばされる)と知っていても、学ぶことへの欲求を抑えることができない。ウイリアム坊ちゃまのお勉強の時間に、うちわで扇ぐ役目を果たしながら、本を盗み見て必死に文字を覚え、こっそり紙の切れ端に書いてそれを隠している。
    最初は、つづりの間違いも多かったけれど、段々と語彙が増え、旦那様の新聞なども盗み読みができるほどになる。
    やがて、奴隷を逃亡させる組織「地下鉄道」の存在を知るようになる…。

    また、知らなかった黒人奴隷の歴史の一片を知ることができた。
    小学校中学年から、とあるが、大人が読んでも十分読みごたえがある。
    2021.5.8

  • 「奴隷だから、いろんなことを知っちゃいけないって、白人がきめつけるのはなんで?日記を書いていることが見つかったら、だんなさまにムチでぶたれる。ぜったいに逃げられない、南部のはてに売りとばされるかもしれない。でも、あたしはもっともっと、ことばをおぼえたい。自由とはなにか、知りたいんだ。小学校中級から。」

  • 黒人奴隷の少女が書いた秘密の日記という体裁。奴隷が学ぶことが禁止されていた中、学ぶことへの興味が消せない主人公は見つからないようにいろんなことを日記に書き留める。

  • 奴隷だからいろんなことを知ってはいけないといわれるが、主人のわがまま息子が家庭教師に教えてもらう様子をしっかり聞いて日記につけている。ばれないように

  • 資料番号:020222956 
    請求記号:J933マ

  • 奴隷が文字を読むことを、
    法律で禁止していた時代の、アメリカ。

    農場の奴隷として生まれ、成長している12歳の少女クロティは、
    ぼっちゃんの勉強時間にうちわであおぐ係をしているうちに、
    文字を覚えていき・・・

    クロティが文字を読み書きしていることが、
    ご主人にばれたら、とても怖いことが、待っているのです。

    それなのに、彼女は、隠れて毎日のように、日記を書く。

    わたしは、ビビってしまって、
    「もう、そんなに書かなくてもいいじゃん、
     ばれたらどうするの、もっと賢くならないと!」
    と思いながら、ハラハラ読むのだけど、
    もちろん、賢いのは、クロティなのです。

    言葉は、ただの単語ではなく、彼女と世界をつなぐ、扉。


    たったの150年さかのぼった時代に
    本当にあった、奴隷制度にふれる、それだけでも意味はあるけれど、
    学ぶこと、考えることが、
    どれだけ身を助けるか、人生を豊かにするか。
    言葉に、どれだけ力があるか。

    そんなことも、伝えられる本。

  •  19C中頃、ヴァージニア州の12歳の奴隷の少女・クロティの日記という形で物語は書かれている。奴隷には、文字を学ぶことも許されない。屋敷のぼっちゃんが勉強するかたわらで、こっそりと文字を覚えるクロティ。自由って、いったい何?黒人は、死なないと自由を得られないの?たびたび自由について考えていたクロティは、ぼっちゃんの家庭教師としてやってきたハームズ先生と出会う。
     「感じることや思うことまでは命令できない」 『ちいさな命がくれた勇気』のユダヤ人の少年も同じことを言っていたと思い出した。

  • アメリカの南北戦争が始まる前の奴隷制度があった時代の話。奴隷制度により,奴隷は教育を受けることができない(奴隷に教えてはいけない)奴隷はすべて白人の言うとおりに生きなければいけない,奴隷として雇われている女性から生まれた子どもは,その母親の子ではなく,ご主人様(白人)の奴隷である・・・わたしたちには想像もつかないようなつらい時代がありました。そんな時代の中で主人公の少女クロティは強くそして賢く生きていました。奴隷制度,地下鉄道,人種差別,言葉だけでは分からないことが物語によって少しずつわたしの心の中に入ってきました。

  • 主人公クロティは南部ヴァージニア州の奴隷の12歳の女の子。彼女は農園主の息子が勉強をする間、うちわで風を送る役目をしているうちに字を覚え、さまざまな言葉を知っていき、秘密の日記つける。
    言葉を知ること=言葉からイメージを浮かべることができること。
    例えば彼女が「わがや」という言葉から、「ベルモントのうえん そこにすんでいるひと」を思い浮かべる。
    しかし「自由」という言葉からは何も浮かべることができずにいる。
    というように文字を読むことは、その文字から映像や感覚を思い起こすこと。それは文字と体験が結び付けられているということだな。

    やがて、農園主の息子の家庭教師(実は奴隷廃止論者)から、「地下鉄道」の組織を知り、奴隷廃止制度を終わりにすることを願う。

    「神から多くをあたえられし者は、多くのおかえしをもとめられる」

    さまざまな事件の後、彼女は自身が自由になることよりも奴隷を自由にする地下鉄道の車掌という道を選び、とどまることを選ぶ。

    「自由というのはね、自分で自分の道をえらぶこと、そして、えらんだ道から学ぶことだ。きみはここにのこる道をえらんだ。車掌というしごとは、きみがしたいと思うかぎり、きみのしごとだ。だけどね、これだけはよくおぼえておくんだよ。やっかいなことになりそうだと思ったら、さっさと出て行くこと。約束だよ。」

    史実を描きながらも、すてきな物語になっている素晴らしい一冊。

    地下鉄道(秘密結社)
    http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%B0%E4%B8%8B%E9%89%84%E9%81%93_(%E7%A7%98%E5%AF%86%E7%B5%90%E7%A4%BE)

    『秘密の道をぬけて』
    http://www.amazon.co.jp/%E7%A7%98%E5%AF%86%E3%81%AE%E9%81%93%E3%82%92%E3%81%AC%E3%81%91%E3%81%A6-%E3%83%AD%E3%83%8B%E3%83%BC-%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%83%E3%82%BF%E3%83%BC/dp/4751521950

    『あなたがもし奴隷だったら』
    http://www.amazon.co.jp/%E3%81%82%E3%81%AA%E3%81%9F%E3%81%8C%E3%82%82%E3%81%97%E5%A5%B4%E9%9A%B7%E3%81%A0%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%82%89%E2%80%A6-%E3%82%B8%E3%83%A5%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%82%B9-%E3%83%AC%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC/dp/4751519735/ref=pd_sim_b_1

    『私が売られた日』
    http://www.amazon.co.jp/%E7%A7%81%E3%81%8C%E5%A3%B2%E3%82%89%E3%82%8C%E3%81%9F%E6%97%A5-%E3%82%B8%E3%83%A5%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%82%B9-%E3%83%AC%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC/dp/4751522027/ref=pd_sim_b_6

    『じゆうをめざして』
    http://www.amazon.co.jp/%E3%81%98%E3%82%86%E3%81%86%E3%82%92%E3%82%81%E3%81%96%E3%81%97%E3%81%A6-%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%83%BBW-%E3%82%A8%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%B3%E3%82%BA/dp/4593505380%3FSubscriptionId%3DAKIAJVHTXZ67656ZZS2A%26tag%3Dcalil-22%26linkCode%3Dxm2%26camp%3D2025%26creative%3D165953%26creativeASIN%3D4593505380

  • 人種問題の本はとっつきにくい印象だったけど…はらはらどきどきしてどんどん読めた。主人公の女の子が言葉を吸収して、自分で自由について考え始めるのが面白い。

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