天游―蘭学の架け橋となった男 (くもんの児童文学)

著者 :
  • くもん出版
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (231ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784774320106

作品紹介・あらすじ

愛妻のさだに助けられ、医学にとどまらず物理、数学、自然科学の分野など新たな蘭学の研究分野を切りひらき、緒方洪庵を育てた中天游の物語。子どもと大人が共有できる新しい児童文学。

感想・レビュー・書評

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  • 実家の本棚から借りてきた本書。
    数年前、父から「本屋に行くなら買ってきてくれ」と頼まれた本でした。
    父からの頼まれごとが珍しかったのと、児童書だったことに興味を惹かれて、ずっと頭の片隅で覚えていました。

    主人公の中天游は江戸時代の蘭学者です。
    学校で習う日本史ではあまり名前を聞いた覚えがありませんが、本書を読むと緒方洪庵の師匠でもあり、日本の学問の発展に無くてはならない人であったことがわかります。
    当時の人々にとっては「蘭学=医学」と考えられていたため、立身出世のために蘭学を学ぶ者が多かったのですが、人一倍好奇心の強いは天游は、さまざまなものに関心をもって疑問をぶつけていきます。
    周りからは変わり者扱いされることも多かったけれど、そんな天游をおもしろがり、より高めてくれるよき理解者たちにも恵まれた、幸運な人だったと思いました。

    特に、妻のさだの存在は大きかったことでしょう。
    師匠である海上随鷗の娘であり、自らも医師として多くの患者に慕われたさだに、天游は生涯を通して恋をしていました。
    学問に邁進し、生活は二の次の天游だったので、仕事と家事を担っていたさだは苦労も多かったことと思いますが、さだも心底夫を愛していたことが伝わってきます。
    「わしは天下一の幸せ者や」なんてセリフ、私も夫に言われてみたい…。

    ちなみに、父に聞いてみたらまだ読んでいないとのこと。
    感想を添えて本を返そうと思います。

  • 勉学は必要です‼️

  • ★★★★☆
    大坂の蘭学者、中天ゆうの物語。
    学ぶこと、好奇心をみたすこと、究めていくことの楽しさが伝わってくる。
    江戸時代の大阪の闊達で自由であったときの空気も。
    奥さんで女先生(医者)さださんや、甥で『解体新書』改定版の銅版画を手がけた伊三郎さんの話も、もっと知りたいと思った。
    大塩平八郎のエピソードは彼の融通がきかなく、真面目な一面を知ることができる。

    あと、初めて『雑魚場』という言葉を知ったんですが、ざこば師匠のお名前はここからなんでしょうね!
    (まっきー)

  • 様々なことを不思議だな、知りたいなと思う、興味の幅の広さ、いいなと思う。
    しかし、もっと素晴らしいと思うのは、それをただの興味だけに留めず、きちんと調べ、学び、書物などの形にしていくところ。
    そしてまた、他の人間にそれを教える、それが可能なまでに、その一つ一つの興味について、掘り下げていくことができるところ。
    それがとても素晴らしいと思う。

    それを心行くまでできる人生。
    幸せだろうな。


    中川なおみさんは、人の生涯を描くのが得意みたいですね。
    以前読んだ、『龍の腹』もそうでした。
    龍の腹と違うのは、今回の主人公は実在の人物だということ。
    その一生を、ノンフィクションではなく、物語として描くというのは、とても大変だろうなと思うと同時に、きっと面白いのだろうなと思いました。

  • 緒方洪庵の師匠だった中川天游について書いた作品。こういうあまり知られていない人の伝記を読むのも面白いなぁと思った。子供向けなので読みやすい。

  • 高学年からかな。夫婦愛にほっこりしました。

  • 江戸時代後半大阪で活躍した蘭学者中天游の話し
    この人のことは全く知らなかった。紹介された文章には福沢諭吉や大村益次郎が学んだ適塾の緒方洪庵の先生とあり興味をそそられた。
    副題にある通り、大槻玄蕃、海上随鴎、橋本宗吉等の功績を自らの成果とともに思々斎塾を開き次世代に引き継いだ 人であり、暮らしに役立てる学問を目指した人であったようだ。
    また、一途に妻を愛した人であったが、読んでいてあまりに妻さださんが素晴らしく天游が愛想を尽かされ無かったのことに感動した。
    読みながら童話を読んでいるような気分になったが、著者の中川なをみさんは著者略歴を見ると日本児童文学者協会に所属されていた。
    また、こしだミカさんの挿画も優しく、くもん児童文学が出版していることを考えるとこ、の本を読むには年をとり過ぎていたのかも知れない。

  • ラベル:桃913 ナ
    資料番号:5000500099

  • 福沢諭吉の先生である緒方こうあんの先生である、中天遊の話。
    日本の医学だったり、学問がたくさんの人たちの努力と積み重ねによってできていること、歴史は1人では作れずいろんな人が時には思惑をしたり、必死になったりしながら生きてることが、後に歴史となっていくことがわかる。

    また、一つのことを追究していく素晴らしさと、一つのことにとらわれず、多岐にわたって興味を持ち続ける素晴らしさと‥小学校高学年から中高生、そして大学生、大人と幅広い世代が共感できる部分がそれぞれにあるんじゃないかなーと思った。

  • 好奇心旺盛で、疑問に思ったことはとことん突き詰めなければ気が済まない天游。そんな夫を支え、みずから医者として働く才女さだ。二人三脚で歩む二人の物語。

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著者プロフィール

山梨県生まれ。日本児童文学者協会理事。『水底の棺』で日本児童文学者協会賞受賞、『天游』、『龍の腹』(くもん出版)。『水底の棺』『有松の庄九郎』(新日本出版社)、『茶畑のジャヤ』(鈴木出版)で全国課題図書作品に選定。19年11月に初のノンフィクション『よみがえった奇跡の紅型』(あすなろ出版)刊行。

「2021年 『バトン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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