- Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
- / ISBN・EAN: 9784774406268
作品紹介・あらすじ
「ほんとうにたいせつなものは目にみえない」
映画「あん」の原作者が訳す、永遠の名作。
ドリアン助川さんが撮影した、「星の王子さまとサン=テグジュペリ像」ほか、撮りおろし写真も掲載!
原文には忠実に、しかしまったく新しい冒険心をもって『星の王子さま』を全訳しました。
サン=テグジュペリ生誕の地リヨンや、彼が撃墜されたマルセイユ沖の海を訪れた旅の記録。また、母親に宛てた最後の手紙の全訳など、訳者あとがきも大充実です。ぜひ、ご覧になって下さい。
ドリアン助川
感想・レビュー・書評
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大学で、フランス文学を専攻していたのに未読だった『星の王子さま』。家の本棚に子供の頃からあったので、読もうと思えばいつでも読めたのに…。しかも若い時、読みかけてすぐやめた記憶すらある。
今回、大好きなドリアン助川さんが訳しているものがあるのを知り、やっと読んでみた。想像していたほど難解ではなかったものの、様々な解釈ができそうで、一度読んだだけではとてもじゃないがわかったとは言えないと感じた。
きつねとの会話が特に好きだった。
今回初めて知ったのが、かなり沢山の種類の『星の王子さま』が出版されているということ。様々な出版社から、様々な訳者で。ある本は、挿絵が葉祥明さんによるものだったり、池澤夏樹さんが訳していたりするものもあった。
私の中でやはり馴染みがあるのは、子供の頃から家にあった、内藤濯さん訳の岩波から出ているものだ。
ドリアン助川さんの訳は、かなりわかりやすく配慮されていたように思う。少し比べてみた。
(内藤濯 訳)→ (ドリアン助川 訳)
飼いならす → なつく
仲よくなる → 心を寄せる
ウワバミ → ボアという大きなヘビ
ドリアン助川さんの訳の、“心を寄せる”という言葉はとても心に残った。この素晴らしい訳も手伝って、物語全体のキーワードになっていた。ただ、何となくイメージとしてあった『星の王子さま』と、少し全体的に違っていた。子供の頃から何度となく耳に、目にしていた内藤さんの訳が、自分の中でそのまま、『星の王子さま』となっていたからだろう。
岩波版の訳者あとがきに興味深いことが書かれていた。
『平安朝の物語文学や日記文学には、もともと今日の句読点などというものがなかったのでした。というのは、言葉を生かす道が、読む人それぞれの息づかいにあるというしかとした自覚があったからで、私はふつつかながら、この日本語訳でそういう言葉の本道をねらったつもりです。』内藤濯
ドリアン助川さんの訳は一文が短く、理解しやすく、より直接的な印象を受ける。一方、内藤濯さんの訳は、やや一文が長めで、時代の違いもあり、文語調で佇まいに品がある。
ちなみに、この本の巻末には、ドリアン助川さんによるあとがきもあり、彼による写真サン=テグジュペリの像の写真などもある。
他の訳者のものもじっくりと読んでみたい。訳によってどれほど印象が変わるのか、楽しみだ。原文もトライするかな…詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
この本の世界観を理解するのに何回か読まないと分からなかったけど、読み終わると不思議な気持ちになりました。
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<「星の王子さま」複数訳読み比べ>
読みやすい文章。
一番印象に残るのは、実業家が関西弁で訳されていること。
コミカルさが強調されていて(これがドリアン助川氏の解釈なんだろう)、思わず笑った。
ただ、元々星めぐりで出会う大人たちはサン=テグジュペリが思う「世間一般の偏見的定型」を描いていると思うし、関西弁はそれに上手く乗っかりはするのだけど、訳者が更にバイアスを付け足すのは、わかりやすさのためには構わないことなんだろうか…。
もちろん、翻訳は大なり小なり、訳者の偏りを加えることにはなるのだけど、あんまりあからさまだったので。 -
ファンタジーが強くて伝えたいことがわかりづらかった。
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最初は表現がむずかしかった。けど、読み進めていくうちに本の世界観に慣れてきた。
多分自分はもう大人になってたことに気付かされた。
色々な例を通して、人生においての大事なことを学べた気がする。特に花の話はもう一回読んで深く理解したい。別の翻訳の本も読もうと思った。
本当に大切なものは目に見えない -
ほんとうに大切なものは目に見えない
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不思議な物語で困惑しながら読んだが、面白かった。
簡単な表現ばかりなのに、よく考えながら読まないとうまく理解できない本だった。
感想を書くのも難しいが、本を読んでから
・物事をひたすら単純にして、自分なりの本質をみつめよう
・自分の心の声をよく聞いて前向きに生きよう
と思えた。
読み手によって自由な解釈、理解ができそうだなぁと思った。
数十年後にもう一度読んだら違う感想が出てくるのか気になる。
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2021/08/19
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この本を子供の頃に読むのと、大人になってから読むのとでは受ける印象がかなり違ったものになるのかもしれません。
「ほんとうにたいせつなものは目に見えない」
そこに全てが凝縮されているのでしょうが、作者が生きていた時代背景を知ることで、家族や親しい人と離れる寂しさ、ほんの小さな出来事が知らず知らずのうちに取り返しがつかなくなること、戦争の醜さ、そして死。そういったものの比喩が物語の中に隠されていることに気づきます。