あのときすきになったよ (教育画劇みんなのえほん)

著者 :
  • 教育画劇
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  • Amazon.co.jp ・本 (30ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784774604299

感想・レビュー・書評

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  • 内容と飯野和好さんの絵がぴったりでいいぞ。小学生の女子たちに友情が生まれる!きくちまいかー無口だけれどいい奴だぜ。

  • そこはかとなく教訓臭がするので読み聞かせには使わないが、好きなお話のひとつ。
    飯野さんのインパクトのある挿絵が、このストーリーによくマッチしている。
    特に主人公が「しっこさん」とブランコの奪い合いでケンカした時の悪口の場面が、びっくりするやら笑うやら。心の中で言うだけなのだが、あまりのユニークさに爆笑もの。
    まぁひとりで毒づく時の言葉なんてこんなものかもしれないな。約9分。
    主人公は小1だが、お話の中身は中学年くらいが共感しやすいように思える。
    全ページとも挿絵は左側でテキストは右側。読み聞かせを意識しているのかな。

    舞台は学校で「わたしの せきは はじっこで、うしろの せきにしっこさんが いる」で
    始まる。しっこさんとは本名「きくちまりかさん」で、おしっこばかり漏らすからそう呼ばれているらしい。このしっこさんと主人公の女の子が、どんなきっかけで仲良くなったかというと・・
    風邪で休んだ翌日の音楽の時間、どうにも我慢が出来なくてお漏らししてしまった主人公。その時しっこさんのとった行動が始まり。

    ラストの「まりかちゃん、ごめんね」「うん」の場面で不覚にもじわっと来た。
    しっこさんの眼に、涙が滲んでいるからだ。
    黙って主人公をかばい、決して言い訳をしなかったしっこさん。
    強い子は、優しい。優しい子は、強い。
    何かする時につい代償を求める私たち大人は、ここでよーく考えた方がいい。
    子どもというものは、本当に大人をよく見ている。そして真似る。
    誰かを思いやるとはどういうことか、この本でもう一度学ぶことになる。
    その時出来る最大限の方法で友だちの危機を助けたしっこさんは、とにかくカッコいい。
    主人公はもう決して「しっこさん」なんて呼ばないだろう。

    読み終えて初めに戻ると、花瓶に生けた紫陽花が大きく真ん中に描かれてあった。
    そうか、これがキーワードになっていたんだね。
    閉じるとタイトルが再度目に入り、その意味を確認する。良いお話だ。

  • 私の後ろの席に座っているのは「しっこさん」。
    おもらしばかりしているから、みんなにそう呼ばれている。
    でも私は「きくちさん」って呼ぶ。
    時々心の中で「しっこさん」って呼ぶけど、心の中でいうのは誰にも聞こえないからね。

    「しっこさん」のこと、好きではなかった。
    なぜか喧嘩してしまう。
    だけど、先生に怒られても「しっこさん」は意見をはっきり言うし、私もそうだなあと思ったりもする。

    一緒に帰るわけじゃないけど、一緒みたいに帰る。
    楽しい。

    熱が出て学校を休んだとき、お手紙を届けてくれたのは、近所の子じゃなくて「しっこさん」だった。
    そして、私がピンチになった時、「しっこさん」は…。

    もう「しっこさん」なんていわない。
    「まりかちゃん、ごめんね」

    絵本なのに、情報量がすごい。
    文章だけではなく、絵からも彼女たちの気持ちがぐんぐん迫ってくる。

    「きらい」「きらい」
    だけど「すき」
    そうやって仲良くなった友だちは、大切な宝物だ。

  • 「わたしの席の後ろは「きくちまりか」という、おしっこをもらしてばかりいる「しっこさん」。おこっているような顔をしているし、じゃまをするし、わたしは、心の中で悪口をいっぱい言います。だれにもきこえないから。
     でも、まことが金魚を死なせた時、「ごめんですめばけいさついらない」って。わたしが熱で休んだら手紙くれたし、おしっこをもらしてしまったて「どうしよう」と思ったら、花瓶の水をぶちまけてたすけてくれました。
     先生にしかられたのは、まりかさんだけ。わたしはもう、「しっこさん」なんて言いません。
     あなたには、どんなともだちがいますか?」

  • 最初はちょっと嫌いな子だったけど、いろんな出来事を通す間に、お互いのことがわかってくる、あああの時好きになったんだと思える出来事があるって、いいもんだ。

  • 嫌いだったけど、いつのまにか好きになっちゃってた仲良くなってたってあるよねえ。そんなこどもの気持ちの移ろいをダイナミックに、でも寄り添って描いた絵本。

  • こういうことあるよね。
    人の言葉だけで自分の感情を決めつけちゃいけない。
    ちゃんと自分で関わらないと分からない。
    その人のいいところも悪いところも、ちゃんと自分自身でぶつかって、話し合って、分かり合っていきたいものです。

  • 教科書にも紹介されているので読んでみた。
    教室でおしっこを漏らしたから「しっこさん」という残酷な綽名をつけられた少女と主人公の少女の友情物語。
    はじめは仲良しのふりしてるだけだったのが、真の友情にかわる瞬間が鮮やかに描かれている。
    薫くみこって今まで感心したことなかったけど、これはよかった。
    もしかしてこれに近い体験をしたんじゃないの?という真実味があった。
    こういう体験は、相手と疎遠になった後でも、人間の核の部分に深く刻まれる。
    いい本だった。

  • 道徳用に読了。
    友達って、なんなんだろうか。考えるためのきっかけになればいいな。

  • しっこさんの優しさの表現が大胆でかっこよかった。絵が印象的。
    (読んだ時期:6歳)

著者プロフィール

東京都生まれ。女子美術大学デザイン科卒業。「十二歳」シリーズの『十二歳の合い言葉』で日本児童文芸家協会新人賞、『風と夏と11歳』で産経児童出版文化賞、『なつのおうさま』でひろすけ童話賞(以上、ポプラ社)を受賞。その他の作品に『しらゆきちりか ちっちゃいな』(PHP研究所)、『みんなでんしゃ』他の「あかいでんしゃ」シリーズ、『ちいさいごみしゅうしゅうしゃ ぱっくん』(以上、ひさかたチャイルド)など多数ある。

「2022年 『ちいさいごみしゅうしゅうしゃ ぱっくんはどこだ?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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