トレーダーの精神分析―自分を理解し、自分だけのエッジを見つけた者だけが成功できる (ウィザードブックシリーズ126)
- パンローリング (2007年9月13日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (472ページ)
- / ISBN・EAN: 9784775970911
感想・レビュー・書評
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著者は、精神医学と行動科学を教える教授でありながらトレーダーでもあるスティンバーガー博士。タイトルは「精神分析」ですが、内容は、トレードスキルを向上させるためのプロセスや、メンタルコントロールが主です。トレードスキルは独学でも向上させられると説いており、個人投資家がトレードで成績を上げていくためには必ず心得ておくべき内容が満載の1冊です。
証券会社などの雇われのトレーダーの場合はメンターや上司がいるので成長しやすいかもしれませんが、メンターのいない個人投資家の場合は本書に沿って「学習ループ」を回していく必要があります。学習ループの要である「フィードバック」を得る手段としては、トレードする自分を撮影したビデオやトレード日記がおすすめされています。具体的なトレード日記の書き方も書かれているので、本書に沿ってまずは日記をつけ始めるのが成長の第一歩になるかと思います。
===以下本文から引用=============
・意図的な練習のベースは「学習ループ」。意図するパフォーマンス → 成否のフィードバック → 修正と新たな練習。トレードの場合、負けトレードの分析 → トレードミスの原因の追求 → トレード手法の修正 → 新しいトレード
・最も効果的な技術習得のプロセスは3つの段階から構成される
1.初期段階
・この段階では楽しくなければならず、練習を持続させることを重視する。
2.中期段階
・この段階では真面目に練習する分野を一つか2つに絞り込む
・才能を伸ばせるように能力開発に重きを置く
3.後期段階
・結果が出せるハイレベルの技術の習得がメイン。
・才能と技術をフルに発揮できるように育成
・家族などのサポートも引き続き大切ではあるが、もはやレベルアップは本人の内発的なモチベーションと意欲次第
・その分野を普通に学習すればその能力は身につくが、それに取り憑かれるほどでないとプロの技術には達しない
・模擬練習は知識と実際の行動のギャップを埋めるためのものである。
・自分で練習やフィードバックができる分野では、独学でレベルアップすることができる。
・独学を目指す多くの投資家にとってベストの上達法は実践的な模擬トレードである。
・各種の調査結果や経験の教えるところによれば、スキルを向上させるには優れたトレーディングソフトを活用するのがベストの方法である。
・プロの技術というのは、自分の中で習慣レベルにまでなったスキルである
・長期トレーダーにとって模擬トレードのメリットは、実際にトレードするよりも遥かに多くの試行錯誤の学習を経験できることである
・トレードしているときはマーケットを見ている。そうした自分を客観的に見えるにはビデオが一番である。
・プロのトレーダーは改善すべき点を常に意識し、それを是正するために努力している。それにはトレード日誌が最も効果的で、私も数年前の自分のトレード日誌を読むと、忘れていることが多いのには本当にびっくりする。
・大切なことはトレード日誌を単なる備忘録とするのではなく、継続教育のツールとすることである。人生と同じく、マーケットから得られる重要な教訓も繰り返して学習することによって身についていく。それにはトレード日誌が最も効果的である。
・トレード日誌はトレーダーではなく、自分の内なるメンターと対話する手段である。
・オーバートレーディングはトレーダーに軽度の外傷性ストレスを引き起こし、その結果、トレードの実行能力までも奪ってしまう詳細をみるコメント0件をすべて表示