・トップダウン・アプローチ方法とは:マクロの視点で景気のトレンド、方向性を予測し、予測した景気の下で投資リターンが最大化するセクターを選び出し、最後に選びだしたセクター内で最も高いパフォーマンスを示す個別銘柄を抽出する
・トップダウン・アプローチで銘柄を探すメリット:上から下を見ることで対象範囲が絞られ、狭い範囲の中で対象に体力・能力を集中させることができる(密度の濃いリサーチができる)、分析に必要な情報が収集しやすい。
①景気を予測する
-景気の変化を基準に<回復、拡大、後退、収縮>の4つに切り分けます。
-景気を表す生産指数は景気一致指数が用いられます。ただし数値の公表自体がかなり遅いので、早めに出てくる鉱工業生産指数を活用すると良いでしょう。
-予測には先行指標を使いましょう。
-在庫指数は生産指数に先行しますが、時間差のバラ付きが大きいため、使いづらい場合が多いです。在庫率指数は安定して1ヶ月ほど先行します。
-出荷・在庫バランスは生産指数に対するラグが3ヶ月から6ヶ月先行するので使いやすいです。
-非鉄金属工業出荷指数は生産活動全体に関して先行します(中間財は最終製品に先立って生産・消費)
-オールマイティな先行指標は存在しない
②予測した景気の下で投資リターンが最大化するセクターを選出
-セクター循環法とマクロバリュエーション法
-セクター循環法:それぞれの景気局面において、セクターの平均パフォーマンスを調べる
-マクロバリュエーション法:セクターの平均株価はマクロの利益に四半期ほど先行している。このことからマクロの利益を予測することで株価を予想できる
-マクロの利益は売上から各種コストを引いた値。コストは原料(単価×売上数量×α)・人件費(一人あたり賃金×雇用者数)
-<製造業について>原料の(売上単価-原材料単価×α)は製造業部門別投入・産出物価指数から把握することができます
-<製造業について>売上数量は、鉱工業生産の出荷指数に該当します。
-<サービス業について>売上単価は、企業向けサービス価格指数(CSPI)からわかります
③選んだセクター内から個別銘柄を選ぶ
-個別銘柄の株価はセクター平均株価と連動していますが、反応が鈍感な銘柄と敏感な銘柄があるので、景気局面に応じて使い分けましょう。
-<tips>セクターが下降局面に入るときは低固定費率企業、上昇局面に入るときは高固定費率企業(利益の変動幅が大きい)