- Amazon.co.jp ・本 (147ページ)
- / ISBN・EAN: 9784775990124
感想・レビュー・書評
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当時読んだ時は全然わからなかったが、今読むと全て答えられる。なんなら正解が今の時勢だと間違っていることも指摘できる。成長を実感した。
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・原油価格が高騰した
・日本の消費者物価指数がインフレ傾向になった
・アメリカの雇用統計が上向いた
このようないかにもありそうな(実際に発生しているものも含めて)ニュースが流れたときに、為替相場はどのように反応するか、それはなぜかという相場のセオリーを理解させてくれる本。
全体の約150ページ中、前半約40ページの「説明編」では基本的な相場の構成要因や相場が動く仕組みを理解させ、後半約90ページの「ドリル編」ではそれを身につけるための練習問題と解説が37問用意されています。
この本で特にためになったのは、
“実需”によってトレンドが作られ
“仮需(投機)”によってボラティリティ(価格の振幅)が作られる
という教え。
実需とは、例えば日本の自動車会社がアメリカに自動車を輸出するような行為。
このとき、アメリカのディーラーは日本の自動車会社に代金を支払うために円を買います。この円買いは買いきりであって、円を買うために売ったドルを買い戻すことはありません。
こういった買いきり・売り切りは、実需の取引量以上には為替取引が発生しないので、金額の変動の大きさに与える影響は少ない=ボラティリティへの影響へは少ないものの、長期的に円/ドル相場の方向性には大きな影響を与える=トレンドを作ります。
一方仮需(投機)とは、例えばアメリカのヘッジファンドが日本企業に短期の投資をするような行為。
このとき、アメリカのヘッジファンドは日本株を日本の株式市場で買うためにドルを売って円を買います。しかし、ここで買った円は、日本株を売って得た円をドルに換金して投資家に還元する際にはまた売られるわけです。
こういった期限付きの投機筋の取引は、豊富な資金量によって為替相場の金額の変動に大きな影響を与える=ボラティリティへの影響は大きいものの、投資家に結果を還元する期限がくれば取引は手仕舞いされるので、円/ドル相場の方向性=トレンドには本質的な影響を与えないというわけです。
この考え方を持っていると、毎日浴びせられるセンセーショナルな経済ニュースに一喜一憂することなく、冷静に世の中を見られるようになるんじゃないかなと思います。
それともう一つ。日本人であり日本で一生暮らすことを前提にした場合、外貨建ての資産をどのくらいの割合で持っているべきか。
先日のエントリでも書いたとおり、外貨建て資産の保有割合は私の最近の大きな関心事なのですが、著者の矢口さんは「インフレヘッジのために3〜4割持つべき」とおっしゃっていて、確かに、とうなずかされました。その考え方を紹介するのはちょっと長くなるので・・・P63〜64に書いてあります。是非読んでみてください。