日本国債先物入門 (現代の錬金術師シリーズ 88)

著者 :
  • パンローリング
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784775990957

感想・レビュー・書評

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  •  巷にあまり情報が出回っていない日本国債先物に関する入門書。

     書きぶりから類推するに、本書の想定読者はある程度の投資経験を持つ個人投資家のようだ。にしては、債券取引一般論の話や国債現物に関する説明が多かった。その結果、本筋である日本国債先物に関する議論が少ない印象をもった。本点を考慮し、4点とした。

     この本を読んで学べた点は4つある。
    (1)国債先物(*10年物)の価格は必ず0円~160円の範囲内
     国債先物の原資産である「標準物」は、年利6%を想定している。また、日本国債は単利計算で付利する。そのため、理想状態であれば、額面100円および利息6円×10年分の160円となる。当然下限値は0円。

    (2)海外投資家の出来高が多い
     2009年の出来高を見ると、証券会社・海外投資家がそれぞれ全体の約40%を占めている。

    (3)国債先物取引の情報が少ないのはプロ向けだから
     一般人や個人投資家にとって、日本国債先物の問題点は、市場動向等がメディアに出づらいという意味で、他の金融商品に比較して開示情報が少ない点である。
     本書を読んでその解答が得られた。主要参加者である銀行が手口を開示しないから、という事らしい。基本的にプロ向け市場なので当然と言えば当然だ。

    (4)国債先物(*10年物)で実質的にヘッジできる現物は7年物である
     差金決済せず現物授受を行う場合、割安債が選ばれる。これは、実際に授受する現物債の時価と交換比率で先物価格から算出された理論値に鞘が生じるからだという。
     銘柄の決定には、先渡価格から先物価格×CF(Conversion Factor)を差し引くことで鞘を計算する。CFの大小は利率と残存期間で決まる。現行の金利環境では後者の影響の方が大きい。その結果、受渡適格銘柄の内、最も残存期間の短い7年債となる。

  • [ 内容 ]
    草創期から14年以上にわたってJGB先物ディーラーとして活躍し、今も最前線で情報を配信する債券アナリストである著者が、トレーダーの視点から債券・国債・JGB先物の仕組みと市場構造について分かりやすく解説。
    経験者だからこそ語れるトレードで生き残るためのコツとJGB先物の激動の歴史を惜しみなく紹介する。

    [ 目次 ]
    第1章 JGB先物の魅力
    第2章 債券の基礎知識(債券とは;債券市場と短期金融市場;債券価格の変動要因)
    第3章 国債の基礎知識(国債の発行;現物市場)
    第4章 JGB先物の仕組み(JGB先物とは;取引所取引;決済と証拠金;JGB先物プレーヤー)
    第5章 JGB先物市場を知る(ディーラーの1日;JGB先物のデイトレード;JGB先物市場の歴史)
    付録A JGB先物オプション
    付録B 海外の債券先物

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著者プロフィール

1958年、神奈川県生まれ。慶應義塾大学法学部卒。証券会社の債券部で14年間、国債を中心とする債券ディーリング業務に従事する傍ら、1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音のベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。専門は日本の債券市場の分析。特に日本国債の動向や日銀の金融政策について詳しい。現在、金融アナリストとしてQUICKなどにコラムを配信している。著書に「図解入門ビジネス 最新債権の基本とカラクリがよ~くわかる本」(秀和システム)などがあります。

「2023年 『イラスト図解 知っているようで知らない 国債のしくみ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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