反省 私たちはなぜ失敗したのか?

  • アスコム
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  • Amazon.co.jp ・本 (293ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784776204350

感想・レビュー・書評

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  • 華々しい外交の世界とはうらはらに、そこには人の汚さ、醜さ、杜撰さがありました。

    鈴木宗男、佐藤優 彼らがすべて正しいとは決していえないとは思いますが、この一連の事件がなければ、公には、語られない何かが日露の間でおこり、そして、北方領土と、ロジアとの間の外交は現在とはちがったものになっていたに違いない。

    歴史には、イフはないといいますが、そんな世界も見てみたかったと読んでいて思いました。

    気になったことは以下です。

    ・今の日本に司法権の独立など存在しません。(佐藤)

    ・日本の裁判所は「お白州」です。近代的な裁判所と考えてはいけない。司法と行政が一体となった「御上」が裁判をするのです。(佐藤)

    ・私は自分でも長いこと「検察は正義だ」と信じていた。しかし、私自身が捕まってみると、検察が一方的に情報を流し始める。これは嘘だとか、あれは正確でないとか、誰も裏を取れず、そのまま受けざるを得ない。(鈴木)

    ・私は絶対外務省の世話にならない。官僚がいるときの飲食費は全部、私が支払いましたよ。(鈴木)

    ・やっぱり権力の側、あるいは権力のそばにいると、どうしても前しか見えないんです。横や後ろが見えなかった。(鈴木)

    ・(首相になれるかどうかで)1番は神のみぞ知る。2番目までは努力すればなれる。(鈴木)

    ・組閣のとき、天皇陛下は国務大臣の数だけ1枚1枚サインなさるから、時間がかかる。親任式の時間がずれるのは、それなんですね。(鈴木)

    ・男のヤキモチは、大変タチが悪い。(佐藤)

    ・政治家というものは普通、自分がやっていない分野でも、おいしそうだったら「オレに食わせろ」と言ってくるものです(佐藤)

    ・自分が置かれている位置を他人がどうみているのかということを、もっと、客観的に認識する必要があった。
     自己過大評価型 周囲から鼻つまみになるだけだから、あんまり心配はない
     自己過小評価型 自分が他人から警戒され、恐れられていることを外からの目で認識できない。
     だから、自分が口にするひと言の危うさとか、それを誤解される可能性に鈍感になってしまう。(佐藤)

    ・決断するときは、絶対に人の意見によって決めるな。一度自分で咀嚼し、少し時間を置いて、必ず自分の判断だと言って決めよ。一度決めたら、後で間違えたと思っても絶対に変えるな。これを繰り返していけば君主の座はとれる。(マキャベリのスタイル)(佐藤)

    ・自腹を切るのは立派なことだという風潮がある。しかし、そのようなかたちの滅私奉公が間違っていたことに気がついた。公金がたくさんはいってくると、かつて自分の線を超えたから、少し帰してもらっても文句なかろうとなう。そこからぐちゃぐちゃになっていく。(佐藤)

    ・「愛国心は悪人の最後の逃げ場」、官僚が国のためとか国益をかけてなどと大きな声で言った時信用してはだめ、疑ってかかるに限りますよ。(佐藤)

    ・ロシア人を動かすのは、駆け引きや圧力一辺倒ではダメで、毒饅頭が必要なんです。(佐藤)

    ・「北方領土ビジネス」このビジネスに携わる人たちは、北方領土問題がいつまでも解決しないことが、自分たちの利益にかなう。(鈴木)

    ・「外交は人だ」ということです。もっと人脈を作らなければならない。(佐藤)

    ・外務省の連中が一番弱いのは語学、その次に弱いのは人脈構築力(佐藤)

    ・人事がバカだと組織全体がバカになる

    ・一に国益、ニに国益、三、四がなくて、五に国益 外交はこれが基本です(鈴木)

    ・国際的なエゴ時代の外交は、これまでにないタフ・ネゴシエーションが必要です。日本という国は、もっと狡猾にならないといけない。

    結論:

    人生に挫折はつきもので、何事も自分の計算どおりにはいかない。
    本書は、この「まさか」の目にできるだけ遭わないために、また、そんな目に遭ったとしても被害を最小限にとどめるために役立つはずだ。

    目次

    はじめに

    第1章 国策操作のカラクリ
    第2章 権力の罠
    第3章 外務省の嘘
    第4章 「死んだ麦」から芽生えるもの
    第5章 見えてきたこと

    おわりに
    特別付録 本書に登場する外務官僚の皆さん

    ISBN:9784776204350
    出版社:アスコム
    判型:B6
    ページ数:293ページ
    定価:1600円(本体)
    発行年月日:2007年06月20日 第2刷

  • 『義理を欠く、人情を欠く、そして人前で平気で恥をかく』ともに失敗し、塀の中に落ちた二人が語りつくす。『なぜ私たちは失敗したのか?』にはじまり、日本外務省および高級官僚を徹底的にこき下ろす姿は驚嘆です。

    今、佐藤優さんがラジオでこの本についての対談を聞きながらこの記事を書いています。この本は数年前に一度読んだことがあるのですが、先日、某動画サイトで、この本が出版されたときのイベントを見たのがきっかけで、もう一度この本を読み返していました。

    いやはや…。本当にすさまじい。もはや怒りを通り越して笑うしかありませんでした。鈴木宗男のバッシング事件でともに『鬼の東京地検特捜部』に拘束され、「なぜ、私たちは失敗したのか?」ということについて、徹頭徹尾反省に名を借りて日本外務省の「ありのままの」姿について語り倒す一冊になっております。

    巻末に付録としてある実名の外務省の高級官僚の名前と経歴が暴露され、「料亭でのオムツ・プレイ」をはじめとするスキャンダルまたスキャンダルの嵐でよくもまぁここまで暴きに暴いて、一回も名誉毀損で訴えられたことがないということに衝撃を受けてしまいました。

    たぶん、ここに書かれてある外務省高級官僚の男の嫉妬、裏切り、嘘、陰口、媚へつらい、足の引っ張り合い、カネ、女、スキャンダル、つかい込み、恫喝、悪評、醜聞、セクハラ…。具体的に紹介すると掲載が出来ないということは明白なので、あまり具体的なことは本書に譲るとしても、彼らの身に降りかかったことは形を変えて、小沢一郎と石川知裕さんに起こっているような気がするのは果たして僕だけでしょうか?


    『悪』、もしくは人間のダークサイドというものを知るのについて、格好のテキストだと思いますが、非常に毒の強いものであることは明白ですので、よくお考えのうえで、お読みなっていただけるとありがたいと思います。

  • もう10年以上も前の本で、状況は変わっているのかもしれない。当初の報道を見聞きし、完全にこの2人は悪人だと思っていた。こういう本がずっと前に出ていたことは知らなかった。
    今の2人の活動を見聞きすると国政調査というのがわかる。そのままだったら、どういう風になっていただろうか?



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    【要約】


    【ノート】

  • 勉強不足で、登場する官僚のほとんどが分かりませんでしたが・・・
    外務省の内実であったり、二人が逮捕される経緯やその後のことがよく分かりました。

  • 働いていく上で、誰かに媚びたりしない人はかっこいいな。誰かを恨んだりしない人もかっこいいな。

  • 権力の舞台裏を知れて面白い。
    官僚の自己保身具合に驚いた。
    満足度6

  • タフガイ2人

  • 登場人物が多く、会話が内輪ネタのような話で進むので、ついていくのが難しいのだけど、佐藤氏、鈴木氏の人となりと志はよく理解できた。すべて本当であれば、外務省、検察、マスコミは本当に国益と言うものを考えていないのだと飽きれてしまう。目先のことにとらわれて、大きな事を考える人の落とす事で存在意義を出そうという考えは全く理解できない。
    宗男さんと千春さん好きになりました。応援していきたいです。

  • 鈴木宗男が復活当選を果たした後に対談形式でまとめられた一冊。佐藤優の引き出し方のすごさにとにかく圧倒される。鈴木宗男は実は本当にいろんな人に慕われている良い人だったのにメディアによってイメージが悪くされてしまったというのはこういう本を複数読むとよく分かる。外務省の伏魔殿ぶりも。しかしあの頃の騒動は鈴木と佐藤と田中ってありふれた苗字の方々で展開されていたんだなぁと妙なところに感心してしまった。

  • 佐藤優氏、鈴木宗男氏に興味がある人は読んでみましょう。
    対談形式なので内容もライトな感じに書かれていますが、読み進めていくにつれ、ハマってきます。

    特に実名で外務官僚の不届きな実態について書かれている部分は、まさに驚かざるをえない内容です。

    真面目な体裁の本には書きにくい内容が満載であるところに、この本の価値があるように思います。

  • 『国家の罠』の次に読んだ。順序としては◎。国家の罠の説得力により、彼の言葉は信頼できると踏んだうえでのこちらの書。例の事件を知るうえでの必読の書。

    お二人は時代の大変な波にのまれて、とんでもない経験をさせられ、明るく反省し、病んだ外務省の内部を暴き、国民に問うている。その転んでもただでは起きない前向きさに尊敬する。鈴木宗男氏の印象が180度変わった。

    最後に笑ったのが、『特別付録』。
    ふろくの内容は、『本書に登場する外務官僚の皆さん①、②』ここに28名外務官僚の皆さんが顔写真つきで掲載されている。凄すぎる。

    それにしても、彼はここまで外務省の内部事情を暴き(機密情報は暴きませんが)、夜ひとり歩きできるのか心配になってしまう。でも、存命なので杞憂ですね。

  • 二度目の読了。面白いと同時に、何度読んでも腹立たしい!

  • 図書館で借りてきた本。一気に読んでしまいました。外務省の体質が描かれているとおりだったら我が国は本当にマズい。いや、もうすでに気付かないうちにマズいことになっているかもしれない。

  • 鈴木宗男 と 佐藤優の対談

    2人とも国策調査で結果的に有罪となったが、なぜ国家ために働きながら、国家によって犯罪者となったか、そこには人間の嫉妬などを想像以上に低く見積もったからではないかと考えている。

    どこまでいっても、人間は理性的な動物にはならないんだと改めて思える良書。

  • 嫉妬する人間の恐さ。

  • 鈴木宗男と佐藤優の共著。国策捜査に巻き込まれた二人の反省が書かれている。普通の反省ではない。そこから得られる知見はすばらしいものがある。
    まず、国策捜査のからくりが説かれる。国民世論に基づき、建設が時代のけじめをつけるべく国策捜査を行う。検察がそこまでやるとは思わなかったと振り返る。そしてその杜撰さに驚いている。また、裁判所の検察べったり体質についても批判する。さらに国家権力とメディアとの関係についてもふれ、情報操作によりメディアを巧みに操る国家権力の姿を見る。少なくとも警察・検察に関しては、メディア支配を巧みに行っている。これは深刻な事態だ。
    そのほか、人の嫉妬に鈍感すぎた、自分の力を過小評価しすぎた、外務省の反ユダヤ勢力に足下をすくわれた、外務官僚の無能力が想像外だった、外務官僚の金の汚さが想像を超えた、外務省で横行する賭け麻雀に見て見ぬふりをした、外務省が仕組んだ田中真紀子とのけんかに乗せられた、共産党に外務省が情報を流すとは思わなかった、外務省にはびこる自己保身、無責任体質を見て見ぬふりをした、アメリカの力に鈍感すぎた、仲間に迷惑を掛けた等々。
    一番感じたのは同じ公務員として国益を第一に考えること。そして信じれる仲間を作ること、自分の信じた道を進むこと、あまり人を信じすぎないこと。この本は再度読み返す必要がある。

  • 当時はあまりよく分からなかった鈴木宗男事件について詳細に書かれている。
    テレビでは宗男叩き一色で、この本にあるような考慮すべき情報は全く報道されていなかった。

    外務省は国益(ロシア外交)よりも自らの利益を選んでこのようになったようだが、
    国益を優先しなかったことが残念でならない。

  • 関連本を読んでいると、くどい。

  •  「ムネオハウス」などの疑惑で逮捕された鈴木宗男と佐藤勝の両氏が対談形式で外務省の病理、裏側を暴露する。大勢の外務官僚が実名と写真入りで登場し、大丈夫なのかと心配になるほど赤裸々だ。

     ここで取り上げられている事件がマスコミを賑わしてた頃はあまり政治に興味もなかったので、何かスキャンダルらしきことで騒然としていたことはぼんやりと覚えている程度だ。しかし結局誰が何をしてどういう罪になったのかはっきり聞いた覚えはないので、彼らが言うように“国策捜査”だったのかもしれない。

     彼らがここで述べていることが真実かどうか知るすべも無いので評価はしづらいが、本当だとしたら日本の将来はかなりみっともないものになるだろう。昔に比べて日本が精神的にも凋落していることは産業界について常々感じているので、官僚がそうだとしても驚くに当たらないと思う。

     謀略に関する話を読むと、現在進行形で起きているテーマについても疑心暗鬼になってくる。折しも防衛庁関連で汚職が取り沙汰されているが、果たして誰がどこまで真実を語り、どんな着地点が用意されていることか。

     ただ本書を読んでひとつ足りないと感じたのは、今後の世界についてグローバル化による影響には触れられていない点だ。政治家と官僚という肩書きを持つ彼らは冷戦終結によって世界情勢が変わったという点までは認識しているものの、その世界理解はあくまでも「国家」を中心としたものに留まっている。国家に比肩しうる影響力を持つ「多国籍企業」の台頭をどう見ているか、そこが気になった。

  • 失敗をまっすぐ大胆に振り返るのも大事ですが。。。

    佐藤さんの数ある本のサマリーというのが、この本か。
    これから入っていくと、結構ラクだったかもしれない。

    動きに対する批判とか、いろんなものがあるけれど、
    組織の中でどう生きていくか、どう活動してればよかったか、
    こういった点まで書かれている。

    嫉妬のマネジメントという考え方は頭に入れておこう。
    「組織の上の人間というのは、むしろ人に嫉妬している
     ヤツに飯でも食わせて、(中略)と声をかけて、大切に
     するくらいしかないんじゃないかと思うんです。
     嫉妬されているヤツを守るんじゃなくて、嫉妬している
     方を救済すると。」

    あとはコレ。
    「自腹を切るのは立派なことだという風潮がある。私は、
     逮捕され、檻に入ってから、そのような形の滅私奉公が
     間違っていたことに気づいたのです。
     たしかに、「私」のおカネを「公」のところに使うのは
     誰からも文句は出ない。しかし、論理的に考えると、じ
     つは公私の線を超えているんですよ。逆向きの公私混同
     ですから、どこか浸透膜がおかしくなっちゃう。
     (中略)
     システムとして、滅私奉公型の公私混同も認めてはいけ
     ないと思います。」

    公私のケジメをきっちりつける仕組み、片側だけでなくて。
    こういうのを構築しないといかんのでしょうね。

  • それにしても、こともあろうに外務官僚が共産党に情報をリークしたというのは口あんぐり。本当に売国奴の群だな。

  • かつての鈴木宗男に対するバッシングにはものすごいものがあった。テレビも新聞もわりとよく見ていたつもりだけれど、何がそんなに問題なのかよくわからなかった。この本を読んでもその辺のことはやっぱりよくわからなかったけれど、外務省ってところの何がよろしくないのかは少しわかったかも。

  • 元外務省職員、佐藤優と鈴木宗男の対談集。
    佐藤優氏は今一番私が興味のある書き手の一人です。
    今までに「国家の罠」「インテリジェンス 武器なき戦争」(手嶋龍一との対談集)を読みましたがとてもおもしろく知的好奇心を満足させてくれます。

    お二人は自虐的に「反省」と言ってますがむしろ外務省、マスコミ、そのマスコミに踊らされた国民に「反省」を求めているといっていいでしょう。
    この本の巻末についている実名写真入の外務省職員のリストには辟易しないでもありませんが二人の強烈なあくの強さの面目躍如たるところでしょうか。

    このお二人の今後の「生き方」に興味津々といったところです。

  • あえて歴史ジャンルに登録した。「国策捜査」により拘留・告訴された政治家の鈴木宗男氏と元外務省国際情報分析官の佐藤優氏がタッグを組んで著したもの。過去の外務官僚の行動を実名で暴露しているそうだ。「反省」という語感とはかなり離れた「攻めの姿勢」の書籍と見た。組織のなかで上を目指すビジネスマン必読の書………とも書かれているので、ベストセラー狙いか?

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