AKB48の戦略! 秋元康の仕事術 (田原総一朗責任編集)

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  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784776207627

作品紹介・あらすじ

AKB48の真実、魅力を余すところなく伝えるとともに、AKB48を題材としながら、秋元康という希代の大作家・プロデューサーの発想術や仕事術を徹底的に解き明かす一冊。

感想・レビュー・書評

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  • にわかAKBファンと言っても、田原総一郎はやはり小林よしのりとは違い、「いかにAKB現象を大人の商売に活かすか」という発想から離れられない。まあ、だからこそ一般の人にもわかりやすいAKB論並びに秋元康論になっていたと思う。

    目次を少しだけ見ても、
    ●企画の原点は「根拠のない自信」。根拠を求めるから
    みんな同じところへ行ってしまう
    ●ネット時代の「口コミ」は、作り手の予想以上に急速に拡大する
    ●「共犯意識」がドミノ倒しのように広がるとき、ヒットが生まれる
    ●雑談の中にこそ、企画のヒントがある
    ●左右アンバランスのブラウス丈にも意味がある
    ●リーダーシップとは天性のものではなく、環境が作るもの
    ●成功する人は、成功しない理由を見つけない
    ●「戦略がない」のが戦略
    ●「秋元康、今日をもってAKBを卒業します! 」と言うときがくる

    等々と、ビジネスノウハウがいろいろあって面白い。以下、私なりに「ハッ」としたところを書き写したい。

    ●オーディションで完成した娘はとらない。一つだけいいところがあればいい。必ず変わってどんどん良くなっていく。やっぱり見られることが、彼女たちには何よりのエネルギーなんです。
    ●AKB劇場は予想よりもはるかに早く満員になった。
    →これは私には意外。250人の満員に四ヶ月かかっているが、1-2年の雌伏のときを考えていたらしい。その四ヶ月で第一期生は本気で辞めることを考えていたのに。反対に言えば、必ず当たるという自信が秋元康にはあった。これは彼の凄い処。
    ●チャンスは順番に回ってくる。ベランダに置いた鉢植えの様に、光の当たり方は時間や季節によって違う。順番があるんだと。(略)メンバーに「歌も芝居も何でもできる人になりたいですっていうのは無理だ。一つに絞り込め。自分のなかに、これだけはという武器を見つけなさい」と言っています。僕は研究生含めてAKB全員の名前を覚えていますけど、覚えた順番は、たぶん「この子はこんな努力を始めたのか」と気づいた順番なんですよ。
    ●「認知」と「人気」は違うと。テレビは何千万もの人ににさせることができるけど、それは「あ、知ってる」というだけのこと。「この人のためなら行列してもいい」とか「どこそこに出かけてこの人に会いたい」というのが人気で、そこまで刺さらなければ、ダメなんだと。
    ●400-500曲を聞いて1曲に絞って作詞する。
    ●企画書は書かない。奇を衒うのもしない。それも「裏なんだ」と予定調和になるから。何も制限をかけない。どんな提案でも、先入観を持たずに「いいんじゃないの」と考える。それをどこまで出来るかなんです。
    ●どんな仕事でも企画はある。仕事がたくさんくる人は必ず何かを考えています。
    ●大衆は、ある分野で1人のスターを作って、それで飽きてしまう。AKB48ブームが去っても、ポストAKBはなかなか生まれにくい。きっと、僕たちが予想もしなかったところからブームが起こりますよ。
    ●やっぱり人は、初めてのことが1番エキサイティングなんだ。
    ●でも、ドーム公演が終わって黄色いビルのふもとの橋を渡って帰る人が「あっちゃんとたかみなの歌が良かった」とか「指原のMC、おもしろいじゃん」という具体的なものが、やっぱり必要です。興奮冷めやらぬ状態で出て来て「いやあ、おもしろかった。」と思っても、冷静になってくると「さて、何が面白かったんだっけ?」というのでは、リピートを生まないんですよ。
    ●僕はリーダーシップを高橋みなみから教えられました。リーダーシップとは天性のものではなく、環境がつくるものだと。
    ●AKBに嫌がらせとかは最初はあったかもしれないけど、今はない。みんなで目標に向かって悪戦苦闘していたら、隣の子をいじめているヒマなんかないんです。
    ●テレビ露出を減らす選択もあるのだろうけど、それはしていない。このまま全力でメディアに露出し続けていたら、大衆はいつ飽きるんだろう、どこからAKBのほころびが始まるんだろうということを、実験しているようなものです。

    また、高橋みなみのインタビューもあって、彼女の以下のような「リーダーシップとしての認識」も素晴らしかった。
    ●キャプテンは、歌もダンスもみんなより一生懸命やらなくちゃいけない。それプラス「できすぎてもよくない」完璧すぎる人間には、やっぱり誰もついていきたくない。
    ●(リーダーとしてやってはいけないのは)「わからない」って言っちゃダメだな、と思っています。例えば、今日は何をやるのとか、この曲の次は何なのというとき。そういうときは必ず「ちょっと待ってもらっていい」と言って、私が聞きにいき、みんなに答えを教えるようにしています。

    若干21歳がこの真髄を分かっている。いかにAKBとして鍛えられたのか‥‥。凄い。

    私自身は「AKBという現象」を「日本の世直し」に活かせないかな、と考えている。少なくとも、「若い世代の大衆はこの様に動く」ということの見本がここにある。

    ●ネットの口コミというのは、数ヶ月から一年で「すべてを覆す」ほどの力がある。

    ●何か一つ、徹底的に訴える何かで輝くことが必要。後は「ファンが育ててくれる」

    ●幅広く自由な発想で、企画を考える。大きくなればなるほど、簡単に「人は酔う」。しかし、リピーターをつくるためには、「確実な何か」が必要である。認知と人気は違うのである。

    等々。
    2013年7月3日読了

  • 本作だけではなくてTVや雑誌などの取材でも「予定調和を壊す」という言葉を秋元さんが使っているのをよく目にします。

    それを見て「予定調和を壊すには固定されている選抜メンバーを変えることではないのかな!?」と思うのは私だけなのでしょうか。

    現時点での知名度や今までの貢献度も考慮する必要はあるけど「この子を入れてきたんや」と思わせてほしい。

    ただ無名な子だと「誰なの!?この子は??」となるでしょうが。(笑)

    今まで予定調和を壊してきたから支持されてきた。

    でも予定調和を壊した状態が普通になると予定調和をしていることになる。

    そろそろAKB村で一番のグループをCDの売り上げで決めるとか、じゃんけんではなくて相撲で選抜を決めてほしいな。

    しかし秋元さんの考えることは面白いと思う。

    同じものを見ていても着眼点が違うのだと読んでいて感じた。

    そういう感性があるからAKBが爆発的に売れたんだろうな。

  • 田原総一朗氏と秋元康氏の対談本。田原氏が妙にTwitterでAK48Bについてはしゃいでいると思ったら、対談本が出たので読んでみた。

    秋元康氏は、成功した芸能プロデューサーというだけでなく、どちらかというと一流の経営者と言える。企業経営者の役割が、社員の意欲を喚起しよく働いてもらい、より高い成果を出すことだとすれば、秋元康氏のやっていることは、全く同じだ。AKB48メンバーの成長を促し、その成長をしていく過程そのものをドキュメンタリーとして顧客に提示していく。実に調和の取れた見事なマネジメントというよりほかない。

    秋元語録の中から気に入った4つを選んでみる。

    ・根拠のない自信
    ・戦略なき戦略
    ・時代との合気道をする
    ・成功しない理由を見つけない


    <目次>
    第一章 AKB48の誕生
    第二章 秋元康の思考
    第三章 AKB48劇場
    第四章 東京ドーム講演
    第五章 AKB48のプロデュース
    特別対談 高橋みなみx田原総一朗
    第六章 AKB48はどこへ行く?

    ・根拠のない自信。根拠を求めたらみんなが思いつくようなものにしかならない。
    ・AKB48は未完成品である。一生懸命スライディングする高校野球のようなもの。
    ・AKB48には、臨床心理士やスクールカウンセラーもついている(41)。
    ・継続的に育てていくには、テレビではなくライブ(51)
    ・シングル1曲を決めるのに400〜500曲を聴く。
    ・予定調和を狙わない。
    ・マーケティングより自分が信じること
    ・AKB48はドキュメンタリー
    ・「頑張ればあそこに行けるんだ」というモチベーションマネジメント。250名全員が東京ドームに立った意味。(129)
    ・戦略がないのが戦略
     最初の海外がジャカルタなのは、ジャカルタからの声が圧倒的に強かったから(195)
    ・「ヒットを出すには、ちょっとあざとい言葉を使うと、時代と合気道をしなければいけない」(195)
    ・自分がドキドキすればみんなもドキドキする。
    ・隣の子をいじめている暇なんてない。
    ・野茂は「成功しない理由を見つけなかったから」成功した。(198)


    2013.02.01 田原氏のブログで見つける。
    2013.02.23 予約
    2013.05.02 読了

  • 面白かったかな。考えを実践しているAKBというのが目に見えているので、具体的でわかりやすい。いろいろと個人的には面白いヒントが受け取れたと思う。示唆に富む。にわかでもファンだから余分に多くを有意義に受け取れたかなと思う(笑)

  • おもしろかった。AKBの戦略が垣間見れた感じ。秋元さんはよく考えておられる。インタビューをされた田原さんの質問力もできるようになりたい。

  • なんだかんだ秋元康ってすごいんだなーとか。AKB嫌いな人とかに読んでみて欲しい。たかみなの対談もよかった。たかみな本当しっかりしててかっこいーです。

  • 秋元康の仕事術というほどのテクニックは披露されていない様に思う。但しあれだけの数の作詞を1人でやってるというのには、驚愕する。ワタシはてっきり何人かの作業員の秋元康工場で作られているとおもっていた。今でもその疑念は拭いきれていない。

  • 当たった後の話なので、好きな事言えるのだが、興味があったので読んでみた。所有に関しての価値観が変わった。テレビは「最大公約数」これはダメ。大衆はある分野で一人のスターを作ってそこで飽きる。つまり第二のAKBが生まれる事はない。それしにてもシングル1曲決めるのに、400~500曲のデモを聞くってのは凄いが、選ばれなかった曲が大量に出来るわけで、作る人はたいへんだなあと思った。201312

  • 秋元の仕事、メンバーへの接し方、AKBの行く先、いろいろ垣間見れて面白い。AKBは表面だけみててもつまらないが、意外と奥が深い。田原総一朗の切り込み方が上手い。俯瞰して多面的に聞いているので、AKBというシステムを立体的に理解できる

  • 秋元康氏の職業人としての世間へのアプローチの仕方がわかる興味深い本。この本を読んでインタビュアーとしての田原総一朗の才能も素晴らしい。

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著者プロフィール

音楽プロデューサー、作詞家、放送作家。AKB48グループや坂道グループのプロデューサーとしてそのほとんどの曲の作詞を手掛ける。また2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会理事を勤める。
美空ひばり生前最後のシングル「川の流れのように」を作詞。

「2020年 『あれから』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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