- Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
- / ISBN・EAN: 9784776209423
作品紹介・あらすじ
だましの手口を一挙公開。被害者救済の第一人者がその対策を徹底解説!占い師、霊能者、オレオレ詐欺、訪問販売…自分は絶対だまされないと思っているあなたに。
感想・レビュー・書評
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日本の3大カルト集団 オウム真理教、統一教会、SPGF(旧ライフスペース)に対峙する救済組織の代表の一人である弁護士が書いた、マインドコントールとは何か、そこからどうやったら抜け出すことができるのかを記した書です。XJAPANのToshlさんの救済にあたった方です。
おすすめにも、ありましたが、チャルディーニ著書の「影響力の武器」を合わせてお読みになられるのをお勧めします。
気になったのは以下です。
・カルトとは、熱狂的な宗教集団という意味です。
・マインド・コントロールではなく、共依存であるとの言い訳をしてくる。上下関係性の中で、依存する心と、それを利用する者との関係が、共依存、そもそも共依存になること自体が問題。
・脱会は、「心の問題」なので、司法手続きや警察に頼ることはほとんど効果がない。⇒公権力にたよれない。この時期から、脱会カウンセラーの意見を聞くことを平行して進める。
⇒人身保護請求はカルトの解決手段として使われることはなくなった。
・親が中途半端な方法をとればとるほど、かえって親に対する憎悪心が膨らみ、親との断絶がすすんでしまう。⇒慎重なアプローチが必要⇒マインド・コントロールを解くためには、引き離しこそがはじめの一歩になる。
・脱会カウンセリングの基本は、被害者の心を、教祖なり、教団なり、霊能者なりと引き離すこと。とりあえず、場所を離れたからといって安心するのは早計で、場所の次に心を引き離すプロセスが重要。
・どちらの言い分が現実に近いのはわからなくなる。⇒ 「動かない事実は何か」をつねに調査して確定する地道な努力が必要。
・カルトは、先進国に多くみられる、「先進国病」というべき現象。
・マインド・コントロールか、そうでないかの基準。⇒目的、方法、程度、結果をみて、法規範や、社会規範から大きく逸脱している場合は、マインド・コントロール
・マインド・コントロールされた信者の行為は、性格のよい素直な子供が心底「よいことだ」と信じてやっている悪。
・マインド・コントロールの類似語
マインド・アビューズ 心の虐待
マインド・レイプ 日本のみで使用されている。
破壊的マインド・コントロール 海外で使用されている。
・マインド・コントロールの領域
①広義のマインド・コントロール 違法ではない
②民事訴訟の対象となるもの マインド・コントロール
③犯罪と認められるもの マインド・コントロール
・洗脳とマインド・コントロール
洗脳:隔離、拘束、監禁、暴力、薬物使用を伴う外形的行為、監禁状態でなければ解けやすい
マインド・コントロール:魅力的、好ましいアプローチから始まる心惹かれるもの
・マインド・コントロールのテクニック
セールス、広告でも使われている、心理的テクニックを使ってくる
・6つの原理:チャルディーニ 影響力の武器より
①返報性 恩義をうけたら返さなければならないという原理
②コミットメントと一貫性 自分が何かしたら、その後も以前にしたことと一貫しつづけたい。
③社会的証明 人は他人が何を正しいと考えるかに基づいて、物事が正しいかどうかを判断する
④好意 自分に好意を抱いている人からの頼みを受け入れやすい
⑤権威 権威にはよわく、命令や指示を深く考えずに実行してしまう
⑥希少性 手に入りにくいものであるほど、それを得る機会が貴重と思える。
・拒否したら譲歩 拒否前提で大きな要求をだし、拒否されたときに譲歩して小さな要求をだせば受け入れやすい
・知覚のコントラスト 高価なものを見せた直後に安価なものを見せると実際以上により安いと感じてしまう。
・マインド・コントロールは、対人カウンセリング的な要素があり、人によって方法が異なる。マインド・コントロールのプロは人をみて手口を変えてくる。
・マインド・コントロールを駆使されたときに受ける感情は、強迫観念と依存心。不安にさせておいて、依存心を生じさせて、自分でものを考えられなくさせる。
・ダブルバインド ①教祖の指示が反することの恐怖+②反した行為をしたときの心を抑える働きかけ、これを解くには二段階に分けて対応しなければならない。
・統一教会は女性1人を落とすため、10人のチーム「サミット」でやってくる。資産を調査する人、資産を評価する人、女性に最初に話しかける女、声掛けを補佐する女、霊媒師のの人、霊媒師を補佐する人、教義を教え込む教師など。
・霊媒師の4つのプロセス ①訪問、②該当、③FF(ファミリー&フレンド)、④広告
・悪徳商法 催眠商法 さくらが次々に商品をかってゆくので、気分が高揚してしまい、つられて買ってしまう。⇒クリーンオフ期間に返品可能なので必ずしも、詐欺とはいえない。
・脱マインド・コントロール ①本人が気持ちよく戻れる環境を整えて、そのことを伝える。②手紙などで、連絡を絶やさず、こちらの様子を伝え、いつでも待っていると伝える。
・脱会カウンセリングの3段階 ①親や家族に対する家族カウンセリング ②子供に対する脱会カウンセリング、③子供に対する脱会後のカウンセリング
もくじは以下です。
まえがき
プロローグ 「マイルド・コントロール」は決して他人事ではない
第1章 「マインド・コントロール」とは何か?
第2章 「霊感商法」のマイルド・コントロールの手口
第3章 「カルト」のマインド・コントロールの手口
第4章 「脱マインドコントロール」の手法
第5章 「マインド・コントロール被害」を減らすための提言
あとがき
巻末資料1 ぜひお読みいただきたい主な文献リスト
巻末資料2 トラブルに巻き込まれたときの相談窓口
(記載されている19の窓口のうち、連絡先が携帯以外で、全国組織と思われるものを独断で4つ転記しました)
日本霊感商法対策弁護士連絡会 03-3358-6179
日本弁護士連合会 03-3580-9841
国民生活センター 0570-064-370
カルト問題キリスト教連絡会 日本キリスト教団 事務局 03-3202-0544 他多数詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
日本人独特の信仰というか、何も信じていないから何でも信じる。縁起の善し悪しといったこの不安定な価値観。精神的な支えの無さ、能動的な思考能力の無さ、規制する法の無さというのがカルトが広がりやすい一因なのかもしれません。
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クエンティン・タランティーノの映画
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』
で描かれていた、
ハリウッド女優シャロン・テートがカルト集団チャールズ・マンソン・ファミリーに殺害された事件について書かれている部分があり、
観直してみようと思いました。
カルト問題について多少なりとも理解が進んだ状態の今では作品の理解度が異なるのではないかと思います。 -
政治家の皆さんにこの本を1人1冊ずつ買ってもらって、勉強会を開いて欲しい。
特に「何が問題なのか分からない」などという政治家には、カルト宗教の「広告塔」として芸能人や政治家が利用されることでカルト宗教への入口が広くなっていることを学んで欲しい。
統一教会からの被害者を「自己責任」と嘲笑う人もいるが、「マインドコントロール」とは自己責任でどうにかなるほど簡単なものではない。
悪意を持って相手を食い物しようとする団体が、チームを組んでターゲット(被害者)から金を巻き上げるために事前に情報を集め、多人数で分担して計画的に巻き上げていく。偶然を装って近づいてきた時にはもう全て計画が進んでいる。そして人間の心理の弱点を突いていく。
政治家や芸能人がそれの広告塔になることで、「政治家が褒めるなら安心だ」と、なってしまう(権威)など、今回の政治絡みの問題点もはっきり分かる。
なお、この本は1000円。利益はほぼないらしい。弁護士は被害者を減らすために、尽力している。 -
オウム真理教や統一教会などの信者がなぜマインドコントロールされてしまったのか?を心理的観点から書かれた本。ルポのようでもあり、我々もふとした生活の中で出会う人からマインドコントロールされてしまう危険性を説いた本。
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マインドコントロールとは実は心理学に設定がない。線引きが困難。宗教団体のうちカルト教団とはなにか、マインドコントロールとはなにか、実際何が起こるのか、を書いた本。引っかからないように誰にでも理解出来る形でTIPSまで紹介。自分の子供に伝えたいことリストを作りたいと感じた。
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チャルディーニ博士の『影響力の武器』にある返報性、コミットと一貫性、社会的証明、好意、権威、希少性がとっかかりに使われているがマインドコントロールは対人カウンセリング要素があり相手によってやり方が異なる、つまり心を操るのに長けた人は相手を見抜く能力があるということ。自分なら直ぐにでもマインドコントロールされそうだな…。
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人の心を操るマインドコントロールとは何か?本当に人に通用するのか?と言う興味を持ってこの本を読んだが、かなり昔から宗教法人が悪用している事実をこの本で知って本当にびっくりしている。宗教に全く興味のない人間ではあるが、この様な悲惨な現状がある事は、お金の教育同様に必修科目として追加した方が良いと思う。
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カルトのマインドコントロール入門書
被害を減らすための提言の章が一番良かった。
日本が世界的に見てカルトの穴場であること、その理由など気づきがあった。