ミリ-のすてきなぼうし

  • ビーエル出版
4.12
  • (66)
  • (52)
  • (34)
  • (5)
  • (1)
本棚登録 : 823
感想 : 89
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (32ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784776403630

作品紹介・あらすじ

おきにいりのぼうしがほしいミリーですが、おかねをもっていません。でも、ミリーはとびきりすてきなぼうしをてにいれました。ミリーだけのとくべつなぼうし!そのぼうしとは…。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ミリーちゃんの頭にあるのは、「今この時だけ」しかかぶれない帽子たちでした。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    「このぼうし、ください!」
    帽子屋さんに飛びこんだミリーちゃんでしたが、お財布のなかは空っぽ…

    それを見た店長さんは、ふっと天井を見上げたあと、こう言います。
    「あっ、あります!ちょうどよいのが、ひとつありました。しょうしょう、おまちください」

    店長さんが持ってきてくれた“帽子”をかぶり、うれしい気分で町を歩きだしたミリーちゃん。
    ミリーちゃんの“帽子”は、いろんなものをみるたびに、いろんな帽子に変わっていきます。

    ミリーちゃんは気づきます。
    ぼうしをかぶっているのは、じぶんだけじゃないと。

    お家に帰ってきたミリーちゃんの話を聞いたおかあさんは、こう言います…。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    淡い色合いの、とってもキュートなミリーちゃんの表紙が、小2娘の心をつかんだようで、「これ借りる!」と図書館でもってきました。

    ステキな帽子を見つけて、欲しかったミリーちゃんですが、空っぽのお財布ではなにも買えませんでした。
    そこでミリーちゃんを門前払いせず、ちゃんとお客さまとして丁寧に接し、ユーモアのある返しをする帽子屋の店長さんが、なんて素敵なんだろう!と思いました。

    ミリーちゃんの変化する“帽子”も、すごくかわいらしくて、ミリーちゃんの想像力の豊さにほっこりします。
    お話のベースは「はだかの王様」のようですが、「はだかの王様」は教訓めいたお話の一方で、「ミリーちゃんのぼうし」は子どもの想像力のすばらしさやミリーちゃんの優しい気持ち、そしてまわりのオトナたちのあたたかいまなざしが感じられるお話です。

    子どものやさしくあたたかい気持ちは、オトナのユーモアのあるやわらかなまなざしによって育っていくんだなあと、しみじみ思いました。

    子どもの話をうまく聴けなくて悩んだときは、「ミリーちゃんのぼうし」を読み聞かせしてみてください。
    このお話が、子どもの気持ちをきっと包みこんでくれますし、うまく応答できない親のかわりに、店長さんやミリーちゃんのママが“子ども”に声をかけてくれますからね。
    大丈夫大丈夫!

    【追記】
    この絵本を読んだ後日、小2の娘が「ミリーちゃんのぼうし、教科書に載ってるよ!」と国語の教科書を見せてくれました。

  • ミリーは学校の帰り、帽子屋さんで見かけた、色とりどりの羽のついた帽子を気に入り、買うことにしました。
    「おねだんは、きゅうまん きゅうせん きゅうひゃく きゅうじゅう きゅうえんに なります。」
    「あの、もうすこし やすいの ありますか?」
    ミリーのおさいふはからっぽです。
    そこで店長さんは、ミリーのために特別な帽子を持ってきてくれました。
    「おおきさも かたちも いろも じゆうじざい。おきゃくさまの そうぞうしだいで どんな ぼうしにもなる、すばらしい ぼうしです」
    早速その帽子をかぶって外へ出たミリー。
    さて、ミリーが買ったのはいったいどんな帽子だったのでしょうか?


    この本、以前にも読んだことがあると思うのですが、内容を忘れていて、今回改めてじっくり読んで、途中で「か、可愛いー!!」を連呼してしまいました。
    ミリーというからには、なんとなく外国の作家さんの絵本かと思っていたら、きたむらさとしさんという日本の方の作品。きたむらさんは30年近くイギリスにいらした方だそうで、外国ぽい作風に納得してしまったのでした。町並みも家庭もイギリスの風景なのでしょうね。この絵本も奥付が外国の絵本と同じような感じで入っているので、初出はイギリスだったのでしょうか。海外の絵本は、独特の雰囲気があって素敵ですよね。

    さて、好きなところがたくさんあるのですが、まず絵が可愛いです。
    線の描き方が素敵。色の塗り方も素敵。どうやって描いているのかな?
    ミリーがお金を持っていないと知って、天井を見上げてしまう店長。でもちゃんと、ミリーのための帽子を用意してくれる店長。さらに、「箱に入れてお包みしますか?」とまで言う店長。なかなかのイギリス紳士です。
    二人して天井を見上げてしまうところで、「おもしろい もようの てんじょうです。」もよかったです。ウケる。

    以下ネタバレですが、ミリーの帽子は想像の帽子。
    ミリーは素敵な帽子にするために、色々想像してみます。
    ほしかった羽根の帽子。でももっと羽がついてるの!
    ページをめくると、一面ミリーとくじゃくの帽子!
    ミリーの想像力がバッと羽根を広げた瞬間です。迫力。
    ケーキ屋さんの前を通るとケーキの帽子、お花屋さんではお花の帽子。
    でももっとすごいのが、ミリーが帽子をかぶっているのは自分だけじゃないと気づくところ。
    いろんな人の頭の上に、いろんな形の帽子が乗っている絵が本当に好き!ビジネスマンはビジネスの(ビル建設に関わる仕事?)、偉そうなおじさんには自分の銅像の、子どもたちには、恐竜やかたつむりやレーシングカーの帽子。喋りながら歩いている女の人の頭の上に、カンガルーや鳥の親子が乗っているのも面白い。野生動物の話をしているの?
    くらくて寂しいみずたまりを乗せたおばあさんが、ミリーに微笑みかけられることで、ミリーの帽子から鳥や魚が飛び出して、おばあさんの帽子に飛びうつるところは本当に素敵。こちらまで笑顔になります。

    うちに帰って、「ママ、わたしの あたらしい ぼうし、みて!」と言われたママの応えも素敵です。
    (私なら絶対、「は?帽子?どこにあるん?」って言うと思います。)
    (そして、サラダを持って、夕食の手伝いをしているパパも推せる。)

    「そうです。
    だれだって もっているのです。じぶんだけの すてきな ぼうしを。」

    結びの文も素敵だし、なんなら頭にペンギンを乗せているパパもいいですね。

    読み聞かせ、約7分です。

    さて、『ミリーのすてきなぼうし』は光村の2年生の国語教科書に載っているのですが、教科書なので、きっとイラストもかなりカットされているだろうと思います。
    この素敵さを伝えるためには、ぜひカットせずに見てほしい~!
    絵本って、やっぱり絵と文と合わせて一つの作品だもの、と思うのでした。

  • とにかくまず絵が素敵!
    この絵本で初めてきたむらさとしさんを知りました
    絵本の世界にグッと引き込まれてしまう、独特の絵のタッチ
    子供の絵本だけにするには勿体無いくらい
    これは図書館で出会った絵本だけどちゃんと買っていつでも読みたい絵本のひとつになりました

    想像力をかきたてられる夢のあるお話で、読んだあとは息子とどんな帽子がいい?って話します
    実際に好きな帽子を絵に描くとさらにワクワク楽しくなります

  • 「だれだって もっているのです」

    ただ想像すればいい。思いの力は、自由なんだ。素晴らしい帽子の話。(5分)#絵本 #絵本が好きな人と繋がりたい #ミリーのすてきなぼうし #きたむらさとし #BL出版

  • ミリーも素敵だし出てくる大人も素敵です。絵もとても綺麗。子どもも自分も見えるよ!自分はユニコーンの帽子!と。

  • ミリーは、すてきなぼうしを買いたがっていました。そしてミリーはすてきなぼうしを手に入れました。
    家にかえっておかあさんに見せびらかしました。おかあさんも「すてきなぼうしをもっているんだよ」と言いました。
    ミリーのそのぼうしはあるくたびにかわるのです・・!

    とてもすてきなお話しなのでぜひよんでみてください。 

  • 3歳10ヶ月。絵の色合いがとても可愛い。ミリーの伸び伸びとした想像力や登場する大人たちの対応が素敵で心温まる。

  • お気に入りの帽子がほしいミリーだが、お金を持っていない。でもミリーは、とびきり素敵な帽子を手に入れた。その帽子は目に見えないから、自分で想像した。くじゃくの帽子、ケーキの帽子、花の帽子、噴水の帽子。他の人たちもそれぞれ違った帽子を持っていることに気づく。ミリーが微笑むと、おばあさんの帽子が楽しく変わる。家族もそれぞれ帽子を持っている。(32ページ)
    ※ミリーの何も見えない帽子に対して、ママが「まあ、すてきね。ママもそんな帽子、ほしいな。」と言うのがいい。

  • お話の始まり、ミリーの気持ちに応え想像の帽子をかぶせてくれるお店のおじさん。お話の最後に、ミリーの想像の帽子を見てくれるお母さん。
    ミリーの周りには素敵な大人がたくさんいるな。
    私も、いつまでも想像の帽子を被れる人でありたい。

  • 親である自分が、きたむらさとしさんの作品が大好きで、
    図書館で見つけて借りてきました。

    世界観がとてもすてきです。
    音楽的で、美しい…

    “とくべつなぼうし”を売ってくれる
    帽子屋さんもすてき
    ミリーの想像力もすてき
    街のみんなも‥‥

    娘に読もうとしたら
    「わたしがミリーのところ(セリフ部分)、読むね」
    みんなも帽子をかぶっているところで、
    どんな帽子がよいか聞いてみたら
    「わたしは、しゃぼんだまがいい!」
    ラストの場面では、
    (それまでとちがうものが頭にあり)「あはは」
    読み終わったあと
    「やっぱり、宝石がついてるのがいいかな〜」と
    いろいろ考えているようでした。

    始めの 帽子屋さんの場面の文章量が
    多いのですが、
    ちいさい子にも、
    すてきな帽子をかぶれることを知ってほしいな…
    おしゃれな絵なので、絵本を卒業した
    中高生や、大人にも…!

全89件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

訳者:きたむらさとし
1956年東京生まれ。19歳のときから広告や雑誌のイラストの仕事をはじめ、1979年にイギリスへ渡る。初めての絵本『ぼくはおこった』(ハーウィン・オラム[文]、評論社)で英国の新人画家に贈られる「マザーグース賞」、「絵本にっぽん賞特別賞」を受賞。その他の絵本に、『ぼくネコになる』(小峰書店)、『ミリーのすてきなぼうし』(BL出版)、『スマイルショップ』(岩波書店)、『ことばとふたり』(ジョン・エガード[文]、岩波書店)など。「ぞうのエルマー」シリーズ(デビッド・マッキー、BL出版)の翻訳も手がける。また、朝日新聞土曜日版『be』の「悩みのるつぼ」のイラストを担当している。中南米をはじめ各国のブックフェアでワークショップをおこなってきた。

「2022年 『大きな 大きな 大きな 足あと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

きたむらさとしの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ユージーン トリ...
なかがわ りえこ
川端 誠
モーリス・センダ...
くすのき しげの...
長谷川義史
エリサ クレヴェ...
マージェリィ・W...
ティエリー ロブ...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×