森からの伝言 (NEKO MOOK)

著者 :
  • ネコ・パブリッシング
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本棚登録 : 28
感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (215ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784777021208

作品紹介・あらすじ

自然派作家・田渕義雄さんの新刊「森からの伝言」
手間をかけて作っていく道具、外遊び、木工、農園芸、養蜂などなど
本書は雑誌HUNTで4年間にわたり連載してきた内容を一冊にまとめ加筆したものです。
田渕義雄さんが紡ぎだした文章と、フルカラーのビジュアルを掲載し、
豊かな森暮らしの生活を紹介しています。
日本のアウトドア界を牽引したレジェンドが長野県川上村に移り住んで36年。
外遊びの達人は森暮らしの達人となり、これからの生活提案として
退行的進化論を論じています。

感想・レビュー・書評

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  • ここのところゆっくりページを繰る時間が全然とれなかったので、さらっと読めそうな本書を手元に置いて少しずつ、読んだ次第。

    「ヘンリー・D・ソロは“ウォールデン”でこう書いている。

    「簡素にしたまえ。簡素に。一日三回の食事を、必要なら一回にしたまえ。百皿の料理のかわりに五皿にしたまえ。ほかのことども、これにならって少なくしたまえ」と。退化とは、Simplicityということである。

    もっと、シンプルに。もっと、辺境で。もっと、自給自足で。もっと、孤立無援で。もっと、低収入で。しかし、もっと豊かに。

    今、我々が進化だと思っている道は、進行的退化だ。退化は嫌でしょ。なんだか格好悪いし、人類の自尊心にそぐわない。だから、ポスト資本主義のビジョンは退行的進化だ。退行的に進化していこう。哲学的だし格好いいじゃないか。我々は鳥になろう。

    秋来りなば、野菊の季節。庭に道端に野菊の花が咲きほこっている。花は原種。なんにもしないのに季節が巡れば野菊は綺麗に咲く。その野菊を手折って、夏に飲んだジュースの空き瓶に差す。それを貧者の食卓に飾る。そのとき人は、自分を自分で祝福しているんだ。

    他人の視線の中に自分を置こうとするな。Be Romantic. ロマンチックであれ。時代や人がどうであれ、ロマンチックであることは自分らしく自由に生きるための力になる」(p.214 「あとがき」より)

    ある人はインテリヒッピーの戯言というに違いない。あるいは文筆の才に恵まれた人間の特権的な生活だ、というかもしれない(実際その通り、ではある)。そこで思考を断ち切ってしまうのもまた、ひとつの考え方。

    でも時には立ち止まって、「自分にとっての「豊かさ」とは何か?」について考えることは必要だと思う。

    本文中には著者が三十余年積み重ねた山村生活の技法が散りばめられていてとても楽しい。読み進めながら「ああ、きっとあの人に渡したら面白がるだろうな」「あの人のやっていることはこれだな」といろんな人の顔が浮かんだ。

  • 他人の視線の中に自分を置こうとするな。ロマンティックであれ。人がどうであれ、ロマンティックであることは自分らしく自由に生きるための力になる。

  • 森での暮らしの素敵な写真がたくさん添えられた、森暮らしの指南書的な本。

    手作りの家具や家、ガーデンキャビン、料理、野菜や草花など、どの写真もとっても素敵でハイセンス。コールマンのアウトドア用品なども紹介されているけど、どれも年季が入って愛用されているし、お飾りではなく真に必然性があって納得。

    文章が独特で、私には読みにくかった。けれども好きな章から流し読みをしても、目に入ってくるフレーズは力強く、メッセージとして伝わってきた。

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著者プロフィール

東京生まれ、日本を代表するナチュラリスト。八ヶ岳の麓に永らく暮らし、アウトドアに関する著作多数。2020年1月没。

「2021年 『フライフィッシング教書』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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