- Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
- / ISBN・EAN: 9784777934010
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
大型本で写真が多く、解説がわかりやすかった。
手元にあると便利な本だと思う。
神饌、御節料理についてあらためて知ることができた。 -
日本料理と和食は違う。そんな主張がしっかり伝わる一冊。やっぱり日本料理は奥深い。もちろん茶道との関係も深い!
-
帯文:”日本文化の本道は宮廷文化にあります。日本料理も宮廷から生まれたものです。いま知られざる日本の「和」の心が紐解かれます。”
目次:序章 稲作と天皇, 第一章 宮廷の年中行事, 第二章 神饌、日本料理の原点, 第三章 日本料理の系譜, 第四章 宮廷由来の京都の食材 -
大きくて重たい本なので、休みのうちに読めてよかった。
日本料理の原点は、とにかく御米。
そのため、天皇家の主な仕事というのは五穀豊穣を神に祈ることだった。
そんな天皇家と日本料理のかかわりについて書かれた本。
最近話題のドラマとは、全くの無関係。
古来、大御宝(おおみたから)という言葉は国民のことを意味していた。
国民あっての国であると。
国民の安心安寧を祈願するということ、これすなわち五穀豊穣を願うこと。
まず最初に紹介されるのが、神饌(しんせん)。
神さまに捧げる食事。
神事ごとに捧げられる食事内容も、食器も、盛りつけ方もすべて決まっています。
奈良時代から。
仏教の影響で、雉肉以外の肉はなく、魚と野菜と海藻の食事。
油を使うこともほとんどなかった日本では、生(刺身)か、焼くか、漬物か、塩辛(烏賊だけではなく)。
調理後に塩や醬、酢などで味をつけながら食べるスタイル。
素朴です。でも、その時その時、一番良いものを神様にお供えしているのです。
食器は、土器(かわらけ)。
大名や大商人が漆塗りの豪華な食器を使って食事をしている時代になっても、神様の食器は土器。
それは、使い捨てる物だから。
新しいを食器を神様に使っていただき、そのあとは捨てて、また次の食事の時には新しい食器を使っていただく。
神事の時の天皇の食事は、ほぼ神様と同じものだったそうです。(今はどうなんでしょう)
御米が大事だったからこそつくられた白みそ。(米麹で造る)
白みそ、丸もち(神さまの依り代である鏡を表わす)を使った雑煮。
小豆粥に七草粥。草餅と菱餅。素麺に土用餅(あんころ餅みたいなもの)。
一つ一つに意味があり、神様と大御宝への祈りがある。
旧暦の節分はお正月の前にありました。
今は鬼に向かって豆を投げつけますが、本来は桃の弓で葦の矢を射っていたそうです。
そ、それって…桃太郎伝説の元なのか…?
もともと神様にお供えしたものを、まず天皇がいただく。
天皇から臣下へふるまわれる。
祝いの膳というのはそういうものだったのが、時が下り武士の時代。
家臣が殿をお迎えして食事をもてなす。
このころから、今の日本食の御馳走に近くなってきます。
武家の食事=本膳料理、公家の食事=有職料理
そして茶道の隆盛により、お茶を美味しく喫するための食事「懐石」が千利休に考案され、お茶より酒や食事を主眼に置いた「懐石料理」へと和食は変わってきました。
懐石=茶懐石、懐石料理=京懐石
宮中で料理を司る人のうち、階級をもっている人を「包丁人」、階級のない人を「料理人」と呼ぶ。
包丁式=食材は生き物の死骸であり、それをそのまま食すことは野蛮極まりない行動であるため、死骸を清めることで食べ物へと変化させる儀式
明治維新のあと、政府から宮廷の正式な食事はフランス料理と決められ、また神社についても世襲を禁止されたことから日本料理の危機が訪れたのだそうですが、明治天皇の口添えにより日本料理や神社の在り方が多少元に戻ったそうです。
最後に『古事記』から「宣化天皇の詔」
食者(クヒモノ) 天下之本也(アメノシタモト) 黄金萬貫(コガネヨロヅハカリ) 不可療飢(イヤスイヒウエ)
(どんな黄金があっても、飢えを満たすことはできない。食べ物こそが世界の根本にある)