UTOPIA 最後の世界大戦 (復刻名作漫画シリーズ)

著者 : 藤子・F・不二雄 藤子不二雄A

• 小学館クリエイティブ(小学館) (2011年8月25日発売)

作品紹介・あらすじ

藤子不二雄の出発点となった超幻の単行本

1953年に鶴書房が出版した、藤子不二雄の最初で最後の描き下ろし単行本。足塚不二雄名義で描かれ、富山から上京して複数の出版社に持ち込んだが採用されず、手塚治虫の紹介で同社で単行本化が決まった。しかし、表紙を大城のぼるが執筆し、他のマンガ家の作品とのカップリングで出版されたために、その後2度の復刻では藤子が新たに表紙を描き、カップリング作品は外した形でオリジナル通りではなかった。今回は、松本零士が保存していた原本などを元に本文2色を忠実に再現した完全復刻が実現した。
第3次世界大戦でS連邦が使った「氷素爆弾」により凍りついた地球。シェルターに閉じ込められ100年後に蘇った少年が見たのは、氷素爆弾の被害から立ち直り、科学文明の発達したユートピアとして再建された地球だった。終末SFとして現代にも通じる名作。

【編集担当からのおすすめ情報】
オークションでは400万円以上の値段がついたとされる超レア本の完全復刻。藤子ワールドのすべてが盛り込まれたまさに原点といえる作品。

感想・レビュー・書評

[tamao41さんの感想 · 2018年10月23日]

UTOPIA 最後の世界大戦
http://www.shogakukan-cr.jp/utopia/

コミックナタリー - [Power Push] UTOPIA
http://natalie.mu/comic/pp/utopia

[フラビオさんの感想 · 2015年3月18日]

2015年3月17日読了。「足塚不二雄」と藤子不二雄が名乗っていた頃のSF長編漫画を、発表当時と同じ形で復刻した漫画。ペンネームの通り、コマ運びやユーモア感覚、アクションには濃厚・パクりと言っていいほど手塚治虫の影響が感じられる…が、「手塚先生の他にもこれほどのSFが書ける新人がいたのか」と当時の漫画家たちには大きなショックをもたらしたらしい。表紙が別の漫画家、余計なコマが書き足されている、別の漫画家作品がカップリングされているなど現代からするとどうかと思う編集要素満載だが、当時のまんが事情をうかがい知るためにこの形式であることには意味があるとは思う。カップリング漫画も当時としては水準の出来で、手塚や藤子不二雄らのレベルが高すぎた、と解釈すべきか。

[kiyosiさんの感想 · 2012年9月26日]

原本は古本市場でも特に希少価値が高く、なかなかオリジナルを読むことはできませんでした。藤子ファンのみならず、多くのマンガファンが待望していた復刻です。さらに、藤子不二雄A、松本零士両先生へのインタビューや評論家の小野耕世先生の寄稿によって、『UTOPIA 最後の世界大戦』のマンガ史的な重要性について検証する「UTOPIA読本」が付録につきます。マンガファン、マンガ研究者の座右の一冊となるでしょう。

[のりさんの感想 · 2011年10月1日]

これが世界漫画遺産だ。超超幻の単行本を完全復刻。

まんが道を読んだときに、作中でユートピアが出て
きて、面白そうでした。藤子不二雄は、手塚治虫の
ファンとして、影響を受けたそうですが、手塚作品
の系譜を受け継ぐ作品は、意外と少なく、やがて、
藤子不二雄スタイル（少し不思議な、少年漫画）を
築いていきます。
世代的なものもあるでしょうが、内容としては、あま
り面白くありませんでした。

むしろ、まんが道の熱気というものが感じられてのが
楽しかったですね。作品の改変など藤子F不二雄氏に
とっては、不本意な作品のようですが、漫画遺産とし
て、そのまま復刻しようという、小学館の心意気は、
素晴らしいことだと思います。