ぼくは戦争は大きらい: やなせたかしの平和への思い (小学館クリエイティブ単行本)

  • 小学館クリエイティブ(小学館)
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  • Amazon.co.jp ・本 (144ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784778035082

作品紹介・あらすじ

アンパンマンの作者が見た戦争

2013年10月13日に94歳で亡くなったマンガ家で、詩人で、『アンパンマン』の作者であるやなせたかしが自らの戦争体験を綴った本。やなせは1915年の春に召集を受け、小倉の野戦銃砲部隊に入隊。召集期間満了直前の16年12月8日の開戦により、召集延期に。その後、中国戦線に派遣され、上海郊外で終戦をむかえた。やなせは自伝などの中で簡単に戦争のことを語っているが、戦争体験だけをまとめて話すのは、これが初めて。人殺しも、団体生活も嫌だったというやなせにとっての軍隊はばかばかしいだけの世界。しかし、辛い中にも何か楽しみを見出していく持ち前の性格で、戦争と軍隊を内部から風刺していく。特攻に志願した弟との別れなど、辛く悲しい思い出にも持ち前のユーモアを交えながら語る笑いと涙の戦記。嫌いな戦争のことはあまり語りたくないと考えていたやなせが、90歳を超え、戦争体験、軍隊体験を語り継ぐことで、過去の戦争のことが未来を生きる世代の記憶に少しでも残ればいい、と亡くなる直前まで語ったラストメッセージ。

感想・レビュー・書評

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  • 終戦から68年たって、戦争を体験した人々がどんどんいなくなる中で、戦争体験者の話というのはやはり貴重で後世に語り継いでいかねばならない物だと思う。
    戦争体験者の中には悲惨な戦場を体験した人、捕虜になって死に直面した人、やなせさんのように運良く大きな戦場に行く事もなく復員した人もいるだろう。しかし、どの体験をとっても言える事は、戦争は繰り返してはいけないということ。今生きている人それぞれがちゃんと考え心に留めなければいけないと思う。無関心が一番怖い。
    やなせさんのこの本は、子供でも理解できるくらいやさしい口調で書かれており、短い文章で気軽に手にできると思うので、多くの人に読んでもらいたいです。

    ──戦争を語る人がいなくなることで、日本が戦争をしたという記憶が、だんだん忘れ去られようとしています。人間は、過去を忘れてしまうと同じ失敗を繰り返す生き物です。(「はじめに」より)

  • 亡くなる数か月前のやなせたかしさんのインタビューをまとめた本。

    徴兵されたやなせさんは暗号班の下士官となり、中国へと向かい、朱渓鎮で終戦を迎えた。
    同じ時期を日本の遥か南、ラバウルで過ごした水木しげるさんの手記を繰り返し読んでいるので、やなせさんの語る戦時中の中国の様子はとても興味深く感じた。ラバウルと中国はぜんぜん違う。しかし、どちらの場所においても軍隊のなかでは個人の存在が消されてしまうように思った。
    日本軍の一人ではあるけれど、やなせたかしという一人の人間の存在が曖昧になっていくような感覚。

    戦争はもちろんよくないことだと思う。なぜよくないのか。それは人が死んでしまうからだ。
    やなせさんや水木さんが戦争で亡くならなずに、戦後に沢山の作品を生み出してくれてよかった。

  • NHKテレビで、同氏のことを放映していた。戦争で弟さんを亡くされていたとのこと。


    ●2022年5月4日、追記。

    著者、やなせたかしさん、どのような方かというと、ウィキペディアには次のように書かれています。

    やなせ たかし(本名:柳瀬 嵩〈読みは同じ〉、1919年〈大正8年〉2月6日 - 2013年〈平成25年〉10月13日)は、日本の漫画家・絵本作家・詩人・元大日本帝国陸軍軍人。有限会社やなせスタジオ社長。高知県出身(詳細は後述)。作曲家としてのペンネームは「ミッシェル・カマ」。

    で、本作の内容は、次のとおり。(コピペです)

    2013年10月13日に94歳で亡くなったマンガ家で、詩人で、『アンパンマン』の作者であるやなせたかしが自らの戦争体験を綴った本。やなせは1915年の春に召集を受け、小倉の野戦銃砲部隊に入隊。召集期間満了直前の16年12月8日の開戦により、召集延期に。その後、中国戦線に派遣され、上海郊外で終戦をむかえた。やなせは自伝などの中で簡単に戦争のことを語っているが、戦争体験だけをまとめて話すのは、これが初めて。人殺しも、団体生活も嫌だったというやなせにとっての軍隊はばかばかしいだけの世界。しかし、辛い中にも何か楽しみを見出していく持ち前の性格で、戦争と軍隊を内部から風刺していく。特攻に志願した弟との別れなど、辛く悲しい思い出にも持ち前のユーモアを交えながら語る笑いと涙の戦記。嫌いな戦争のことはあまり語りたくないと考えていたやなせが、90歳を超え、戦争体験、軍隊体験を語り継ぐことで、過去の戦争のことが未来を生きる世代の記憶に少しでも残ればいい、と亡くなる直前まで語ったラストメッセージ。

    著者は、弟さんを戦争で亡くされていますが、その辺のことは、p35~p39に書かれています。
    弟さんは、作戦のために、輸送船で戦地に向かう途中、フィリピン沖のバシー海峡で、敵の攻撃を受けて戦死したとのこと。
    輸送船とともに沈んでしまったとのこと。
    当然ながら、遺骨はないです。

  • ・高知県のやなせたかし記念館(アンパンマンミュージアム)でやなせたかしさんの略歴を知って興味が出て読んでみた。

    ・純粋なやなせさんの戦争体験ということで、政治的な主張や考察等は無いのである意味安心して読めた。

    ・悲惨は戦争体験本はたくさんあるが、この本は純粋に著者の体験ということで、もちろん大変な体験をされているのだが、大きな戦闘やシベリア抑留のような捕虜体験等は無く、地味といえば地味だが、リアルな一つの戦争体験を垣間見ることができた。

    ・最も感じたのは、人間にとっての「娯楽の重要性」である。昨今、エッセンシャルワーカーといった言葉があるが、娯楽・エンターテイメント・文化こそ、人間にとって不可欠な活動だと思い知らされる。また、著者の持つ「人を楽しませたい」という精神やユーモアを垣間見ることが出来て、こういう人間こそが集団にとって最も価値のある人間の一人であり、それは戦時中でも戦時中ではなくても変わらないのだと実感した。

    ・戦争体験としては、中国の福州というところで戦闘に入るために村に住み込んだらしいが、このへんの事情がよく分からない。。無理やり占領したということだろうか、だが、村人とは関係は良好だったようで、どういう関係性なのか。しかも福州の村人は戦争中であったことを知らなかったらしい。どういう状態・・?

  • 馬に蹴られて前歯をおったり、やたらと殴られる軍隊での生活。やなせ先生のユーモアのあるお人柄のお陰か戦争体験なのにどこかあたたかい気持ちで読むことができました。万事塞翁が馬。何が幸せに繋がるか分からない…としみじみ感じました。

  • #ぼくは戦争は大きらい
    #やなせたかし
    #小学館
    #読了
    戦争を体験した人が高齢になっていく。思い出したくないという理由で語らない人もいるという。やなせさんもその一人だった。今こそ再び同じ過ちを繰り返さぬよう、知ろうとする時じゃないだろうか、と読了してさらに思った。風化させてはいけない。

  • 戦争の最中にも、仲間との盃の時間や敵国で現地の人々との友好関係があったことなど、今まで焦点が当てられていなかった戦争中の人々の生活が正直に書いてあってびっくりすると同時に興味深かった。そしてそれと共にどれだけ戦争が酷いものかをリアルに書いていたから今までで一番読みやすく、心に響く戦争の本だった。やなせたかしさんのユーモアは素晴らしい。

  • ふむ

  • やなせたかしさんのやさしさがどこから来ているのか、この本を読んでよくわかりました。

  • 2013年に94歳で亡くなった『アンパンマン』の作者、やなせたかし氏。彼は1915年に召集を受け、その後上海郊外で終戦を迎えています。子どもの頃から団体行動の得意ではなかった彼が召集され、親族の間では脱走してきたらどう匿うかを真剣に話し合ったというエピソードも。しかし、辛い中にも何か楽しみを見出せた彼は、軍隊の中で要領よく過ごすことができました。その一方で、海軍で特攻に志願した弟との別れもありました。その彼に捧げた詩「おとうとものがたり」は詩人谷川俊太郎に称賛されたほどだったそうです。やなせ氏は戦争の原因の一つを飢えと考え、『アンパンマン』の作品の中で、分け与えることで飢えはなくせるというメッセージを伝えようとしました。彼の戦争体験記にはユーモアの中に軍隊や戦争そのものに対する批判がこめられています。そんなラストメッセージをこの機会にどうぞ。

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著者プロフィール

1919年生まれ、高知県出身。百貨店宣伝部にグラフィックデザイナーとして勤務の後、漫画家・絵本作家として活動を始める。絵本の作品に『やさしいライオン』『チリンのすず』『あんぱんまん』(フレーベル館)など多数。2013年永眠。

「2022年 『アンパンマンかみしばい③』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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